然り(読み)シカリ

デジタル大辞泉 「然り」の意味・読み・例文・類語

しか・り【然り/×爾り】

[動ラ変]副詞しか」にラ変動詞「あり」の付いた「しかあり」の音変化》そのようである。そのとおりである。そうである。「―・り、君の言うとおり」
俗語などは、はかなきもののようなれども、なかなかに―・らず」〈逍遥小説神髄
[類語]もってこい便宜好都合便利利便タイムリー有り難いうれしいおんの字重宝ちょうほう有用有益簡便軽便至便程よい絶好願ったり叶ったり願ってもない渡りに船格好頃合ころああつらえ向き打って付けぴったり好個好適適する適う適える合う沿うそぐう向く似合う似つかわしいふさわしいしっくり当てはまる適合する適当する合致する即応する同調するフィットする相応即する肌が合う適格適材くみし易いしかるべきマッチ究竟くっきょう合い口合目的文句無しリーズナブル好条件見合う匹敵言い得て妙あたかもよし三拍子そろ似合わしいジャストミート思いがけない当を得る馬が合う息が合う順当どんぴしゃり所を得る最適つぼにはまる水を得たうおのよう結構尽くめ

さ・り【然り】

[動ラ変]《副詞「さ」に動詞「あり」の付いた「さあり」の音変化》そうである。そのとおりである。そのようである。
おい、―・り、―・りとうなづきて」〈玉鬘

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精選版 日本国語大辞典 「然り」の意味・読み・例文・類語

しか・り【然有・然・爾】

  1. 〘 自動詞 ラ行変 〙 ( 副詞「しか」にラ変動詞「あり」の付いた「しかあり」の変化した語 )
  2. そうである。そのようである。その通りである。
    1. [初出の実例]「日月は 明しといへど 吾(あ)がためは 照りや給はぬ 人皆か 吾(あ)のみや之可流(シカル)」(出典万葉集(8C後)五・八九二)
  3. 漢文訓読で、文末の「爾」を「ことしかり」と読むのを流用した言い方。以上のごとくである。文末の「…(の)事」を受けて用いる。
    1. [初出の実例]「云ふこと爾(シカリ)」(出典:南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一)
    2. 「命にまかせ、時しも秋の蛍にかたらひて、月をしるべにしるす事しかり」(出典:歌謡・閑吟集(1518)序)

然りの語誌

「しか」と同様、上代から用いられ、中古以降は漢文訓読系の文章を中心に用いられた。その用法は「しからば」「しかり」「しかるに」「しかるを」「しかれども」など多様であるが、多くは「然」「爾」「而」などの字を訓じて接続詞のように用いられた。

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