引立つ(読み)ヒキタツ

デジタル大辞泉 「引立つ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐た・つ【引(き)立つ】

[動タ五(四)]
勢いがよくなる。活気が出る。「気持ちが―・たない」「商況が―・つ」
ひときわよく見える。一段とよく感じられる。「黒を着ると肌の白さが―・つ」「少量の塩で味が―・つ」
しりぞく。浮き足立つ。
正尊かなはじと―・ちけるを」〈謡・正尊
[動タ下二]ひきたてる」の文語形
[類語](2目立つ際立つ顕著水際立つ著しいめぼしい光る目を引く人目を引く人目につく目に立つひときわおも立つとりわけ値千金掛け替えのない群を抜く卓抜卓出卓越卓絶逸出素晴らしい素敵見事立派最高絶妙秀逸結構目覚ましい輝かしい妙なるえも言われぬ上手巧みうまい巧妙老巧達者器用賢い上出来上上物の見事結構尽くめ何より・申し分が無い・言う事無し天晴れナイスワンダフル目の覚めるよう目に染みる冴える抜群抜きん出る飛び抜けるずば抜ける頭抜ける並外れる人並み外れる度外れ断トツ非凡出色傑出一日いちじつの長素人離れ玄人はだし超人的

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精選版 日本国語大辞典 「引立つ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐た・つ【引立】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 タ行五(四) 〙
    1. 勢いがよくなる。
      1. (イ) 状況がさかんになる。活発になる。
        1. [初出の実例]「東京物価表〈略〉売方弗々買埋め旁漸々引立ち」(出典:朝野新聞‐明治一五年(1882)五月一八日・附録)
      2. (ロ) 気分・気力の勢いがよくなる。元気づく。気力が加わる。
        1. [初出の実例]「お雪にだに是等の始末を、秘しかくして語ることなく、気のひき立(タタ)ぬも理なり」(出典人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)三)
    2. 一段とみごとに見えるようになる。特に目立つ。きわだつ。
      1. [初出の実例]「初幟田も引立ぬ引立ぬ」(出典:俳諧・八番日記‐文政三年(1820)五月)
      2. 「眉が美事で自然に顔を引立たせたので」(出典:武蔵野(1887)〈山田美妙〉中)
    3. しりぞく態勢になる。逃げ腰になる。浮足立つ。
      1. [初出の実例]「是程に引立たる大勢の中より」(出典:太平記(14C後)八)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙ひきたてる(引立)

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