デジタル大辞泉
「斑」の意味・読み・例文・類語
まだら【▽斑】
[名・形動]
1 違った色が所々にまじっていたり、色に濃淡があったりすること。また、そのものや、そのさま。ぶち。「黒と白の斑な(の)猫」
2 (比喩的に)ある現象が現れたり、現れなかったりすること。はっきりした部分とそうでない部分があること。また、そのさま。「時間の経過とともに記憶が斑になる」→まだら呆け
[類語]斑・斑点・ぶち
はだら
[名・形動]
1 (「斑」とも書く)雪などが不規則に濃淡になっているさま。まだら。
「川岸の―に消えかかった道を行った」〈犀星・幼年時代〉
2 「はだれ」に同じ。
「夜を寒み朝戸を開き出で見れば庭も―にみ雪降りたり」〈万・二三一八〉
ぶち【▽斑/×駁/×駮】
《古くは「ふち」か》地色と異なった色がまだらになって入っていること。また、そのような毛並みの動物。「―の犬」
[類語]斑・斑・斑点
ふ【▽斑】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
むら【斑】
〘名〙
① (形動) 色の濃淡・物の厚薄があって一様でないこと。また、そのさま。まだら。
※名語記(1275)三「ぬる物をば、うへをよくよくなづれば、むらもなく、
きらもいでくる」
② (形動) 物事の揃わないこと。
統一のないこと。一定しないこと。また、そのさま。不斉。不ぞろい。
※雑俳・二重袋(1728)「鈴の音、馬のちんばにむらが有」
※
風姿花伝(1400‐02頃)六「それ程に達者にもなく、物少ななる為手の、申さば初心なるが、
大庭にても花失せず、〈略〉さのみにむらのなからんは、為手よりは能を知りたる故なるべし」
④ 気の変わりやすいこと。むら気。
もどろ・く【斑】
[1] 〘自カ四〙
① まだらになる。
② まぎれ乱れる。
※宇津保(970‐999頃)
藤原の君「我をはからしめんとて、もどろかしむるにはあらずや」
③ 舟がためらって進まなくなる。
※顕輔集(1155頃)「
諸越のたまつむ舟のもどろけば思ひ定めん方もおぼえず」
④ だれる。だらける。元気がなくなる。
※東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)二四「身懶(モトロク)ときに心も亦た随ひて懶くがごとき」
ふ【斑】
※
散木奇歌集(1128頃)冬「御狩するまのの萩原こゐにしては
ぶしに鷹のふやかはるらむ」
[
補注]
本来は
縞目(しまめ)をいい、「ふち」が斑点の意を表わすとする説もある。
まだら【斑】
〘名〙 (形動) 種々の色が入りまじっていたり、色の濃いものと淡いものとがまじっていること。また、そのものやそのさま。ぶち。
※
書紀(720)推古二〇年是歳(岩崎本訓)「其の面身
(むくろ)、皆斑白
(マタら)なり」
※
徒然草(1331頃)一八四「皆をはりかへ候はんは、はるかにたやすく候べし。まだらに候も見ぐるしくや」
もどろか・す【斑】
〘他サ四〙
① まだらにする。もどろける。
※枕(10C終)一一九「
すりもどろかしたる
水干といふ袴」
② まぎらわしくする。まぎらす。まどわす。みだす。
※
今昔(1120頃か)四「心を
もとろかし、人の物を計り取る」
もどろ【斑】
〘形動〙 まだらなさま。また、乱れまぎれるさま。
※経信集(1097頃)「み狩するかきのねすりの衣手に乱れもどろにしめる我が恋」
※浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)道行「心にくさとゆかしさと、都の空の恋しさと、しどろもどろのまだら牛」
はん【斑】
〘名〙 まだら。ぶち。
※天寵(1915)〈森鴎外〉「足の辺に赤と緑との、稍大きい斑(ハン)がある」
まんだら【斑】
〘名〙 「まだら(斑)」の変化した語。
※浄瑠璃・小栗判官車街道(1738)二「俺が飼たまんだらめに轡を銜て」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の斑の言及
【染色】より
…しかし,布片の遺物はあっても,今のところ繊維に対する染色の事実を証明するものはない。それが明らかになるのは古墳時代になってからだが,《魏志倭人伝》によると,魏の景初3年(239)倭の女王から男女10人と斑布2匹2丈が魏王に献じられ,魏王からは赤や青の錦や絹,小文様の紋染のフェルトをはじめ,金や刀や鏡,朱,鉛丹など多くの品物が倭の女王へ贈られ,それから4年後の正始4年(243)には再び倭王から倭錦や赤や青の絹等を貢物としたことが記されている。これらの記事によって,弥生時代後半には,すでにさまざまな錦や彩絹(いろぎぬ)がつくられていたことがわかるが,錦といえば,少なくとも2,3色の彩糸でなんらかの文様を織り出したものであろうし,また赤や青の絹も,それらの色に染めた絹と解される。…
※「斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」