(読み)ジュン

デジタル大辞泉 「純」の意味・読み・例文・類語

じゅん【純】

[形動][文][ナリ]まじりけや偽りのないさま。人柄や気持ちがすなおで、けがれたところがないさま。「な心」「な男」
[ト・タル][文][形動タリ]に同じ。
「―たる天保てんぽう度の人間だから」〈逍遥当世書生気質
[接頭]名詞や形容動詞に付いて、そのものだけ、また、その状態だけで、他の要素がまじらない意を表す。「日本ふう」「客観的な報告」
[類語]純粋純正純一純良至純じゅん無垢むく無雑むざつ真正シンプル純正単一純化プレーンっ粋生一本生え抜きちゃきちゃき単純質素簡素つましい地味つづまやかつつましいつつましやか質実清貧素朴純朴朴訥ぼくとつ質朴真率清楚実直実体じってい朴直篤実まじめ生まじめ大まじめ真摯愚直連体修飾語として)純然たる醇乎じゅんこたる

じゅん【純】[漢字項目]

[音]ジュン(呉)
学習漢字]6年
まじりけがない。「純益純情純真純粋純然純毛純良至純清純単純不純
[名のり]あつ・あつし・あや・いたる・いと・きよし・すなお・すみ・つな・とう・まこと・よし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「純」の意味・読み・例文・類語

じゅん【純】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動ナリ・タリ )
    1. まじりけがないこと。また、そのさま。純粋。
      1. [初出の実例]「是純なる和流の始祖にして」(出典:日本教育史略(1877)文芸概略〈榊原芳野〉)
    2. もっぱらなこと。専一なこと。また、そのさま。純一。
      1. [初出の実例]「是此前より、漸々元嘉暦を廃し、純に儀鳳暦を用ゐられしが」(出典:文芸類纂(1878)〈榊原芳野編〉六)
      2. [その他の文献]〔書経‐酒誥〕
    3. 自然のままで、つくりかざらないこと。いつわりのないこと。また、そのさま。純朴。
      1. [初出の実例]「しかし時は既にかの女の小さな純な心を砕いてゐた」(出典:一兵卒の銃殺(1917)〈田山花袋〉二〇)
    4. 完備していること。完全なこと。また、そのさま。〔礼記‐郊特牲〕
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 ( 名詞などの上につけて ) そのものだけで、また、その状態だけで、他の要素がまじらない意を添える。
    1. [初出の実例]「宴会の一座が純客観的に僕の目に映ずる」(出典:ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「純」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] ジュン・トン
[字訓] いと・よい・へり・もっぱら

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は屯(じゆん)。屯は織物の糸の末端を結びとめた形。〔説文〕十三上に「絲なり」とし、屯声とするが、金文に屯を純の意に用い、「玄衣黹屯(黻純(ふつじゅん))」「を秉(と)ること共屯(恭純)」のようにいう。屯は純の初文。のち屯を屯集、純を純一の意に用いる。

[訓義]
1. いと、生糸
2. よい糸、よい、美しい、大きい。
3. へり、へりかざり、たばねる。
4. 完全な、まじらない。
5. もっぱら、すべて、みな。

[古辞書の訓]
名義抄〕純 モハラ・スミニ・ハルカナリ・オモヘラク・ウルハシ・スリキヌ・メグル・オホキニ・オホキナリ・アツク・イト・サナガラ・ツツム

[語系]
純・淳・醇zjiunは同声。みな純一の意がある。粹(粋)siutも声義に通ずるところがある。

[熟語]
純渥純懿・純一・純縁・純純愨・純気純犠純金純謹・純潔純乎・純行・純孝・純厚・純至純疵純摯・純質・純実純儒・純淑・純熟・純如・純飾純臣・純真・純仁・純粋・純誠・純正・純然・純素純飭・純篤・純徳純帛・純美・純風・純茂純樸純吏・純良・純麗・純和・純束
[下接語]
衣純・懿純・温純・画純・純・翕純・至純・真純・清純・精純・単純・忠純・貞純・徳純・不純

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

コンビニ交付

マイナンバーカードを利用して、自治体が発行する各種証明書をコンビニやスーパー、郵便局などで取得できるサービス。申請から受け取りまでの手続きがマルチコピー端末で完結する。2023年12月からはマイナカ...

コンビニ交付の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android