先手(読み)センテ

デジタル大辞泉 「先手」の意味・読み・例文・類語

せん‐て【先手】

他より先に始めること。また、先回りして自分の立場を有利にすること。「先手を取る」⇔後手ごて
囲碁将棋用語
㋐先に着手すること。また、その人。先番。⇔後手
㋑相手が応手しなければならない局面で、好所に先んじて打つこと。⇔後手
[類語]前前かねてかねがね何時か既往これまで従来従前し方先年当年一時一頃その節先に当時古来あらかじめ年来旧来在来その昔前以て先立ってかつてすでに見越し先刻早め根回し手回し早手回し手を回す地固めなら布石事前手当て準備下準備段取り手筈てはず下見予習備え伏線つとにとうにとっく示し合わせる言い合わせる申し合わせる打ち合わせる口裏を合わせる

さき‐て【先手】

本陣の前に位置する部隊。また、一番先に進む部隊。先陣先鋒せんぽう
行列供揃ともぞろなどの先頭をつとめる者。
柱引はしらび

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「先手」の意味・読み・例文・類語

せん‐て【先手】

〘名〙
① 事を行なうのに他の人の先を越すこと。他の人より先に行なうこと。また、相手より先に攻撃すること。
※天草版金句集(1593)「タイリャク モノワ xenteuo(センテヲ) スル モノガ カツゾ」
② 先頭に立って戦うこと。また、その軍勢。先陣。
※上杉家文書‐年未詳(室町)七月一七日・太田道誉資正書状「御越山可為何比候哉、先手之御取扱に極候」
③ はじめのもの。最初のほうのもの。
※和英語林集成(初版)(1867)「アツラエモノヲ sente(センテ)カラ ジュンニ ヤル」
④ 囲碁や将棋で、二人の対局者のうち先に着手する人。〔運歩色葉(1548)〕
⑤ 囲碁や将棋で、攻めの主導権を得ること。また、その着手。
太閤記(1625)二一「将棊の上手は〈略〉或せんて、或しかけなどの宜しき行出来ぬれば」

さき‐て【先手】

〘名〙
① 陣立で、本陣の前にある部隊。また、先頭を進む部隊。先陣。先鋒(せんぽう)。さき。
嘉吉記(1459‐67頃)享徳三年「一方の先手と頼切たる勝元逐電の上は、今夜の征伐は止にけり」
② 行列などの先頭をつとめる者。先頭を行く供人。
※俳諧・西鶴大句数(1677)一「行龝や道せばからぬ一里塚 三人ならびに先手の者ども」
③ 江戸時代、将軍護衛の役。
随筆・胆大小心録(1808)一〇八「大田蜀山子、今はおさきての御旗本にめされし也とぞ」
④ 船具。和船帆柱を起こしたり、倒したりするとき、船首船尾へ引く綱。柱引。〔和漢船用集(1766)〕

せん‐しゅ【先手】

〘名〙
① 人より先に手を付けること。せんて。
② 先陣。さきて。せんて。〔蘇軾‐送周正孺知東川詩〕
③ 囲碁、将棋などで相手より先に打ち始める方。また、主導権を握ること。せん。せんて。〔耶律楚材‐過済南和香山居士詩〕

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