(読み)カ

デジタル大辞泉 「化」の意味・読み・例文・類語

か【化】[漢字項目]

[音](クヮ)(漢) (呉) [訓]ばける ばかす
学習漢字]3年
〈カ〉
前と違った姿・状態になる。「化合化石悪化羽化開化気化激化硬化消化進化退化同化孵化ふか風化分化変化緑化老化
教育で人をよい方に変える。「感化教化徳化
自然が万物を育てる働き。「化育造化
「化学」の略。「化繊/理化」
〈ケ〉
1に同じ。「化粧化身
2に同じ。「教化能化
怪しい姿に変わる。ばける。「化生けしょう権化ごんげ変化へんげ
[名のり]のり
[難読]時化しけ

か〔クワ〕【化】

[名]影響を他に及ぼすこと。
「恵を施し、道を正しくせば、その―遠く流れん事を知らざるなり」〈徒然・一七一〉
[接尾]主として漢語に付いて、そのような物や事、状態に変える、または変わるという意を表す。「映画」「合理」「近代
[類語]

け【化/仮/花/家/華】[漢字項目]

〈化〉⇒
〈仮〉⇒
〈花〉⇒
〈家〉⇒
〈華〉⇒

け【化】

仏語。教え導くこと。教化きょうけ
仏・菩薩ぼさつが人々を教化するために、姿を変えて現れること。
高僧が死ぬこと。遷化せんげ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「化」の意味・読み・例文・類語

クヮ【化】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 徳によって人民を善良に導くこと。感化。
      1. [初出の実例]「堯舜(げうしゅん)無為の化をうたひ」(出典平家物語(13C前)五)
      2. 「恵をほどこし、道を正しくせば、その化遠く流れん事を知らざるなり」(出典:徒然草(1331頃)一七一)
      3. [その他の文献]〔呂氏春秋‐士容〕
    2. 自然が万物を生育するはたらき。造化。施化。
      1. [初出の実例]「必代天而闢化、儀北辰者、亦順時以涵育」(出典:続日本紀‐養老七年(723)二月己酉)
    3. 形、性質、状態などがうつり変わること。変遷。進歩。
      1. [初出の実例]「文明の化を平和の治に求め、事を外国に構ふるの極めて不可なるを信し」(出典:清国に対する宣戦の詔勅‐明治二七年(1894)八月一日)
      2. [その他の文献]〔淮南子‐人間訓〕
    4. 他のものに姿をかえること。ばけること。
      1. [初出の実例]「木の根に打つけて、折檻しければ、今は化をあらはし面はとがりて狐のごとく」(出典:談義本・豊年珍話(1760)四)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 名詞の下に付けて、そういう物、事、状態に変える、または、変わるという意を表わす。
    1. [初出の実例]「抽象的概念を具体化しようと云ふ技巧は」(出典:自然主義論(1908)〈生田長江〉八)

化の語誌

( [ 二 ]について ) 「文化、教化、変化、造化」などは漢籍に見える中国の古典語だが、幕末・明治初期に「醇化、美化、悪化、緑化、強化、硬化、液化、気化」など「化」付きの新語が多く造られ、明治後期から大正にかけて「化」の接尾語化が進み、「機械化、国有化、一般化、一元化」などの三字語を生み出した。


け【化】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。
  2. 教え導いて良い方に転化させること。また、転化すること。→教化(きょうけ)
    1. [初出の実例]「菩薩周遊都鄙衆生。道俗慕化。追従者、動以千数」(出典:日本往生極楽記(983‐987頃)行基菩薩)
    2. 「余皆随之助其化云」(出典:空華日用工夫略集‐観応二年(1351))
  3. 仮りに別の姿を現わすこと。また、別の姿を現わしたもの。→化身(けしん)化生(けしょう)
    1. [初出の実例]「観念の床の上には、妄想の化(ケ)のみ立ち副ひて」(出典:太平記(14C後)三七)
    2. [その他の文献]〔六十華厳経‐二一〕

ばけ【化】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ばける(化)」の連用形の名詞化 )
  2. ばけること。異形のものに姿を変えること。
    1. [初出の実例]「畠山狐の皮の腰当にばけの程こそ顕(あらは)れにけん」(出典:太平記(14C後)三五)
  3. ばけもの(化物)」の略。
    1. [初出の実例]「どうでもこりゃア、化(バケ)だな」(出典:歌舞伎御摂勧進帳(1773)二番目)
  4. 人をたぶらかすこと。あざむくこと。だますこと。
    1. [初出の実例]「またすぐばけをいふわいの」(出典:評判記・難波鉦(1680)一)
  5. 歌舞伎の所作事で、役者が数回姿を変えて演じる場合、その一つ一つの称。〔浪花聞書(1819頃)〕

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普及版 字通 「化」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(旧字)
4画

[字音] カ(クヮ)・ケ・ゲ
[字訓] かわる・しぬ・したがう

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
人+(か)。〔説文〕八上に「へ行はるるなり~は亦(えき)聲なり」と、教化の意とするが、字は死人の倒錯している形。がその初文。生死によって、ものの化することをいう。

[訓義]
1. かわる、しぬ。
2. 教え導いて道にしたがわせる、したがう。
3. 自然が物を育成すること、造化。
4. うつりかわる、変化。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕 、古なり。オモフク・ヤスシ・ヲコナフ・アラタム・ヲシフ・オツ・ミダル・ウル・ウゴク・ウツクシブ・タカラ・ユク・カハラ(ル)・ワタル・ワタス

[声系]
〔説文〕に声として(貨)など五字を収める。おおむね変化の意を含む。訛の本字は譌に作り、僞(偽)と声義が近い。

[語系]
xuai、鬼kiuiは声義近く、死ぬこと、鬼変をいう。

[熟語]
化育・化感・化期・化機・化居・化訓・化言・化現・化工・化作・化者・化醇・化淳・化象・化人化成・化迹・化俗・化沢・化転・化風・化変・化流・化生・化身・化度・化導
[下接語]
悪化・羽化・衍化・王化・欧化・改化・開化・感化・簡化・帰化・教化・薫化・激化・幻化・硬化・権化・純化・淳化・順化・馴化・醇化・消化・浄化・神化・進化・随化・成化・声化・聖化・宣化・遷化・造化・俗化・大化・退化・転化・電化・同化・道化・徳化・軟化・万化・美化・孵化・風化・物化・文化・変化・慕化・冥化・遊化・融化・流化・良化・礼化

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「化」の意味・わかりやすい解説


仏教用語。 (1) 衆生を教え導いて正しい教えに転向させること。教化。他を教える者すなわち仏,菩薩を能化といい,教えられる衆生を所化という。転じて,寺院に住込んで修行する弟子僧を所化といい,また一宗の学頭を能化という宗派 (新義真言宗) もある。 (2) 仏,菩薩が衆生を教化するため神通力で種々の姿を化作すること,あるいはみずから化して他の姿をとること (化身,権化など) 。 (3) 遷化すなわち有徳の僧が死ぬこと。

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