妻・夫(読み)つま

精選版 日本国語大辞典 「妻・夫」の意味・読み・例文・類語

つま【妻・夫】

〘名〙
[一] (「つま(端)」と同じく、本体・中心からみて他端のもの、相対する位置のものの意で、人間関係では配偶者をいう)
① 夫婦、恋人が互いに相手を呼ぶ称。現代では、(ロ)の用法だけが用いられる。
(イ) 女性にとって夫、恋人である男性。
古事記(712)上・歌謡「吾はもよ 女にしあれば 汝を除て 男は無し 汝を除て 都麻(ツマ)は無し」
(ロ) 男性にとって妻、恋人である女性。
※古事記(712)上・歌謡「八千矛の 神の命は 八島国 都麻(ツマ)(ま)きかねて」
(ハ) 配偶者または恋人を男女どちらかに限定しないで、一方の相手をさしていう場合。
万葉(8C後)一五・三六二五「夕されば 葦辺騒き 明け来れば 沖になづさふ 鴨すらも 都麻(ツマ)とたぐひて」
婚姻関係にある女性。特に法律では、婚姻届の出された正式の女性だけをさし、内縁関係にある女性は含まない。
民法(明治三一年)(1898)七八八条「妻は婚姻に因りて夫の家に入る」
③ 鹿と萩、秋風と荻など、深い関係にある一組のものの一方を①にたとえていう。
源氏(1001‐14頃)匂宮小牡鹿(さをしか)のつまにすめる萩の露にも、をさをさ御心うつし給はず」
[二] ⇒つま(端)(一)②
[三] (添え加えるものの意)
料理に添えて出す少量の海藻野菜。味を添えるためにつけ足したもの。
※俳諧・桜川(1674)春二「娌がはぎや本のこころを汁のつま〈未及〉」
② 一般的に、主たるものに添えたもの。
※胸より胸に(1950‐51)〈高見順〉二「ダンシングチームは、そして宮島志津子は、こうした裸踊りのツマに成っているのだ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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