デジタル大辞泉 「某」の意味・読み・例文・類語
なに‐がし【▽某/何▽某】
[代]
1 不定称の指示代名詞。人・事物・場所などについて名などがはっきりしないことを表し、あるいはそれをぼかしたままに示す。どこそこ。だれそれ。何とかいう人・物。「鈴木―という男性」
「―の右馬四郎とかや云ふ者ありけり」〈沙石集・六〉
2 一人称の人代名詞。わたし。それがし。拙者。卑下した気持ちで用いる。
「―らが、私の君と思ひ申して、頂きになむ捧げて奉るべき」〈源・玉鬘〉
[類語]多少・少し・少ない・幾らか・幾分・やや・何等か・大なり小なり・多かれ少なかれ/(1)誰それ・誰誰・誰がし・それがし・某・某氏・何某/(2)我が輩・
ぼう【某】
[代]一人称の人代名詞。男性が自分をへりくだっていう。わたくし。それがし。
「―稽首敬白」〈明衡往来〉
[類語]誰それ・誰誰・なにがし・誰がし・それがし・某氏・何某/わたくし・わたし・あたくし・あたし・あたい・あっし・
それ‐がし【▽某】
1 不定称の指示代名詞。その名がわからない人や事物をさす。また、その名をわざとぼかしていう場合にも用いる。だれそれ。なになに。
「内大臣、右大将藤原朝臣―」〈宇津保・楼上下〉
2 一人称の人代名詞。わたくし。
「―が栗毛の馬は」〈沙石集・八〉
[補説]2は中世以降の用法。もとは謙譲の意であったが、のちには尊大の意を表す。主に男子の用語。
[類語](1)誰それ・誰誰・なにがし・誰がし・某・某氏・何某/(2)我・吾人・余・我が輩・自分・わたくし・わたし・あたくし・あたし・あたい・あっし・
ぼう【某】[漢字項目]
人や物の名、場所・時などがわからないとき、または、わざと隠すときに添える語。「某国・某氏・某所・某女・某地・某年・某某/
[名のり]いろ
[難読]
くれ【▽某】
「なにの
[補説]「くれがし」「なにくれ」と熟しても用いる。