デジタル大辞泉 「稍」の意味・読み・例文・類語

やや【×稍/漸】

[副]
いくらかその傾向を帯びているさま。少しばかり。「今年は昨年より―暑い
少しの間。しばらく。「―間をおいて話し始める」
状況が少しずつ進むさま。しだいに。
「風冷やかにうち吹きて、―更けゆくほどに」〈紅葉賀
[類語](1少ない少し少しく少少ちょっとちょいとちとちっとちょっぴりいささかいくらかいくぶん心持ち気持ち多少若干二三少数少量僅僅きんきんわずか数えるほどたったただたかだかしばらくなけなし低い手薄少なめ内輪軽少軽微微弱微微微少僅少きんしょう些少さしょう最少微量ちびちび一つまみ一握り一抹一息紙一重すずめの涙鼻の差残り少ないちょこっとちょこんとちょっこりちょびちょびちょびっとちょぼちょぼちょろりちょんびりちょんぼりちらり爪のあか小口ささやか寸毫すんごうプチほのかささやか幾ばくせいぜいたかが微塵みじん些細ささいまばらほんのあるかなきか一縷いちる心ばかりしるしばかり形ばかり/(2しばらくしば少しちょっと一時いっとき一頻ひとしき暫時ざんじ少時しょうじ寸時須臾しゅゆ

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精選版 日本国語大辞典 「稍」の意味・読み・例文・類語

や‐や【稍・漸】

  1. 〘 副詞 〙 ( 副詞「や(彌)」を重ねてできた語 )
  2. ある物事が少しずつ進むさまを表わす語。徐々に。次第に。順を追って。だんだん。
    1. [初出の実例]「念誦すること稍(ヤヤ)勤むるに、其の光漸く大きなり」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
    2. 「消え残りたる雪、山深く入るままに、やや降りうづみたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  3. 他と比べて、物事の程度を表わす語。ある物事の状態が、大小長短上下明暗・良悪などの対比的な比較において、少しどちらかの傾向を帯びているさまを表わす。いくぶんか。いくらか。ちょっと。すこし。
    1. [初出の実例]「児らが家路差(やや)間遠きをぬばたまの夜渡る月に競ひあへむかも」(出典:万葉集(8C後)三・三〇二)
  4. 特に、いくらか時間的な経過のあるさまを表わす。
    1. (イ) しばらくの間。ちょっとの間。
      1. [初出の実例]「人々もそら寝しつつやや待たせたてまつりて、ひき上げたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. (ロ) 時のたつうちに、どうかすると。ややもすると。ともすれば。
      1. [初出の実例]「今の世の歌をばすずろ事の様に思ひて、やや達磨宗などいふ異名をつけてそしりあざける」(出典:無名抄(1211頃))
    3. (ハ) 実現し難かったことが、しばらくして、どうにか成り立つさま。やっと。
      1. [初出の実例]「芦の枯葉の夢とふく風もやや暮過るほど」(出典:俳諧・夢三年(1800))

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普及版 字通 「稍」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] ショウ(セウ)
[字訓] すえ・やや・ようやく・すくない

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(肖)(しよう)。末端細小なるものをいう。〔説文〕七上に「物を出だすに漸るなり」とあり、次第にあらわれることをいう。「ようやく」は「やややや」、次第にあらわれることをいう。

[訓義]
1. すえ、木には梢といい、稲の茎などには稍という。
2. やや、やややや、ようやく。次第を以て、順次にあらわれることをいう。
3. すくない、すこし、つきる、なくなる。
4. ふち、食禄。

[古辞書の訓]
名義抄〕稍 ヤヤ・ヤウヤク・メグル・スヱ・スコシ 〔字鏡〕稍 ヤウヤク・ヤヤ・イヨイヨ・スヱ・ハハツル・スコシ・スクナクモ・ムギカラ

[語系]
稍she、少sjiは声義近く、小siと同系の語。年齢のときには叔sjiukという。

[熟語]
稍紅稍殺・稍子稍事・稍漆稍稍稍食稍息稍帯稍天稍微稍物稍秣
[下接語]
家稍・稍・芻稍・廩稍

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