(読み)フ

デジタル大辞泉 「浮」の意味・読み・例文・類語

ふ【浮】[漢字項目]

常用漢字] [音](慣) ブ(呉) [訓]うく うかれる うかぶ うかべる
水面または空中に漂う。うく。「浮上浮沈浮動浮遊浮力
根拠実質がない。「浮世浮説浮薄浮浪軽浮
梵語の音訳字。「浮屠ふと閻浮えんぶ
[名のり]ちか
難読浮子うき浮塵子うんか浮腫むく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「浮」の意味・読み・例文・類語

うかし【浮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「うかす(浮)」の連用形の名詞化 ) 浮かすこと。また、浮かしたもの。
  2. 汁の実。
    1. [初出の実例]「雪汁につまぬ若菜もうかし哉〈如貞〉」(出典:俳諧・沙金袋(1657)春)
  3. 浮標。ブイ。
    1. [初出の実例]「伊王嶋より千本の間に標舟(ウカシ)之」(出典:大日本船路細見記(1873)〈加藤祐一〉肥前伊王島電信線浮標の布告并に図面)
  4. ( 近世、大坂の操り人形師が楽屋で使った語 ) 船。
    1. [初出の実例]「『うかし(〈注〉舟)』を『しこらへ』」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下)

うかれ【浮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 浮かれること。興に乗った状態。
    1. [初出の実例]「そでをひかれてきた八すこしうかれがきて」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)七)
  3. うかれめ(浮女)

ふ【浮】

  1. 〘 名詞 〙 漢方の脈状の一種。指を軽くあててもすぐにわかる脈で、力を入れて圧すと抵抗がなく消えそうになる脈。
    1. [初出の実例]「脈とては浮中沈をも弁ぜず」(出典:咄本・醒睡笑(1628)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「浮」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)
10画

[字音] フ・フウ
[字訓] うく・うかぶ・ただよう・すぎる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は孚(ふ)。〔説文〕十一上に「氾(うか)ぶなり」、また氾字条に「濫(はびこ)るなり」とあって氾濫(はんらん)の義とするが、浮漂・浮流のように、水上に漂い流れることをいう。氾・泛・はみな浮かぶ意であるが、すべて流屍の象、氾は俯(うつ)むけ、泛は仰むけ、は上から手を加えている形。なお漂・(流)もまた流屍の象。古い時代には、大氾濫のときに夥(おびただ)しい被害を生んだのであろう。よるべなく、根拠のないものをすべて浮といい、浮雲・浮言のように用いる。

[訓義]
1. うく、うかぶ、うき流れる、ただよう、もと流屍をいう。
2. かるい、うわつく、おちつかぬ、根拠がない。
3. すぎる、まさる。浮浮は、さかんなさま。

[古辞書の訓]
和名抄橋 宇波之(うきはし) 〔名義抄 ウカブ 〔立〕 トル・ウカブ・ヌク 〔字鏡集〕 ウカル・ウカブ・ヌク

[語系]
biuは漂phiと声義が近い。漂(ひよう)は票に従い、票の初形は屍(しかばね)を焚(や)く象。その火勢によって吹きあげられることを票といい、水に移して漂という。・漂はともに流屍をいう語である。桴phiu、phioはいかだ。氾(はんぷ)ともいわれるように、水勢によって流されるものをいう。

[熟語]
浮埃・浮・浮・浮浮・浮雲・浮栄・浮影・浮・浮・浮仮・浮家浮華・浮・浮寄・浮・浮偽・浮蟻・浮客・浮橋・浮響浮景・浮月浮喧・浮懸・浮幻・浮言浮誇・浮戸・浮語・浮光浮槎・浮子浮侈・浮思・浮詞・浮辞・浮舟・浮称浮腫浮觴浮冗・浮食・浮心・浮塵・浮世・浮生・浮説・浮浅浮簽浮蛆・浮・浮躁・浮藻・浮惰・浮誕・浮湍・浮沈・浮・浮図・浮・浮・浮騰・浮動・浮熱・浮・浮杯・浮薄・浮白・浮泛・浮費・浮靡・浮漂・浮標・浮・浮文・浮弁・浮没・浮末・浮名・浮・浮游・浮誉・浮嵐・浮利・浮麗・浮浪・浮穢
[下接語]
浮・煙浮・閻浮・蟻浮・虚浮・魚浮・澆浮・軽浮・光浮・香浮・清浮・浮・沈浮・飛浮・浮・飄浮・碧浮・浮・羅浮・浪浮

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