(読み)コウ

デジタル大辞泉 「皇」の意味・読み・例文・類語

こう【皇】[漢字項目]

[音]コウ(クヮウ)(漢) オウワウ)(呉) [訓]きみ すめらぎ すべら
学習漢字]6年
コウ
天の偉大な神。造物主。「皇天
天子。王。君主。「皇帝教皇
天皇。「皇居皇后皇室皇族皇太子上皇
日本のこと。「皇紀皇国
(「こう」と通用)あわただしい。「倉皇
〈オウ〉天皇。「皇子天皇てんのう人皇にんのう法皇
難読皇孫すめみま天皇すめらみこと皇子みこ皇女みこ

すめ【皇】

[接頭]神や天皇に関係ある語に付いて、尊び、褒めたたえる意を表す。すべ。「神」「御祖みおや」「みま
[補説]「すめら」は、多く天皇に関して用いられるが、「すめ」は、諸神に関しても用いられる。

すめ‐ら【皇】

[接頭]天皇に関する事柄を表す語に付いて、敬意をこめてほめたたえる意を表す。すべら。「御軍みくさ

すべ【皇】

[接頭]すめ(皇)」に同じ。「神」

おう【皇/黄】[漢字項目]

〈皇〉⇒こう
〈黄〉⇒こう

すべ‐ら【皇】

[接頭]すめら」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「皇」の意味・読み・例文・類語

すめ‐ら【皇】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ら」は接尾語 ) 天皇、あるいはこれと深い関係のある人や神の意を、敬意をこめて表わす。すべら。「皇辺(すめらへ)」、「天皇(すめらぎ)」、「皇御国(すめらみくに)」など他の語と複合して用いることも多い。
    1. [初出の実例]「現つ御神と大八島国知ろしめす天皇(すめら)が大命(おほみこと)らまと詔(の)りたまふ大命」(出典:続日本紀‐文武元年(697)八月一七日)

皇の補助注記

この語形の基になる「すめ」は、地方神的な神をさす用例が多いが、「すめら」の形では、大部分が天皇、特に現在の天皇をさしていう表現に用いられている。


すめ【皇】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞の上に付いて、それが、神または天皇に関することであることを表わし、尊び、ほめたたえる気持を示す。「皇神(すめかみ)」「皇弟(すめいろと)」「皇御神(すめみかみ)」など。すべ。

皇の補助注記

( 1 )「すべ」という形を後世とることもあり、語源は動詞「すぶ(統)」と考えられていたが、上代特殊仮名遣いの上からは、「すぶ」の語尾は乙類、「すめ」は甲類なので、疑問である。
( 2 )「すめ」と「すめら」については「すめら(皇)」の補注参照


すべ‐ら【皇】

  1. 〘 名詞 〙すめら(皇)
    1. [初出の実例]「あはれ、たづきありせば、百敷の大宮仕へつとむとて、すべらの御垣(みかき)面馴(おもな)れ、あした夕べとも馴らさまし」(出典:為相本曾丹集(11C初か))

すべら‐ぎ【皇】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「すべらき」とも ) =すめろき(天皇)
    1. [初出の実例]「いま、すべらきのあめのしたしろしめすこと、よつのとき、ここのかへりになんなりぬる」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)

すべろ‐ぎ【皇】

  1. 〘 名詞 〙すめろき(天皇)

すべ【皇】

  1. 〘 造語要素 〙すめ(皇)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「皇」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] コウ(クヮウ)・オウ(ワウ)
[字訓] きみ・かがやく

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
王の上部に玉飾を加えている形。王は鉞頭の象。刃部を下にして玉座におき、王位の象徴とする。その柄を装着する首(きようしゆ)の部分に玉を象嵌して加え、その光が上に放射する形であるから、煌輝の意となる。〔説文〕一上に「大なり」と訓し、字形を自王に従うものとし、自は鼻首、はじめの意で、はじめて王たるもの、三皇の意とするが、上部は玉の光輝を示す形である。神霊をいうときの美称に用い、〔楚辞、離騒〕に「皇(神霊)、(えんえん)として其れ靈を揚ぐ」とは、神霊のかがやくことをいう。金文の〔宗周鐘〕に「皇上、余(われ)小子を保つ」とあり、皇天のほか、皇祖・皇考・皇文考・皇祖皇妣のように祖考の上に加えていう。また聖職者に対して、召公(せき)を「皇天尹大保」のようにいい、辟君にも皇辟君のようにいうことがある。〔競(きようゆう)〕に「競(人名)を皇(かがや)かさんとして官に各(いた)る」のように動詞に、また〔詩、小雅、楚茨〕に「先是れ皇(おほ)いなり」のように形容詞に用いる。

[訓義]
1. 王位の象徴たる玉飾の鉞(まさかり)、きみ、王、天子、神、神霊。
2. その関係の語に修飾語として加える。
3. かがやく、ひかる、美しい、はなやか。
4. 大きい、かざる。
5. 匡と通じ、ただす。
6. 遑・徨と通じ、いとま、あわただしい。
7. 惶と通じ、あわて、おそれる。
8. 況と通じ、いわんや。

[古辞書の訓]
名義抄〕皇 タダス・オホイナリ・オホキナリ・キミ・タダシ/皇天 スベラキ/皇矣 オホイナルカナ

[声系]
〔説文〕に皇声として・煌・惶など十字を収める。煌は皇の声義を承ける。は小児の声で擬声語。惶・遑は形況の語である。

[語系]
皇・・徨huangは同声。徊hui、桓huanも声近く、方皇(彷徨)・盤桓などの畳韻の語は、その系列の語である。

[熟語]
皇威・皇維・皇・皇彝・皇胤・皇運・皇裔・皇王・皇媼・皇恩・皇化・皇駕・皇・皇基・皇器・皇畿・皇機・皇・皇儀・皇穹・皇急・皇宮・皇舅・皇居・皇遽・皇恐・皇業・皇極・皇懼・皇衢・皇家・皇京・皇軒・皇乾・皇姑・皇・皇后・皇考・皇綱・皇皇・皇号・皇佐・皇尸・皇子・皇嗣・皇慈・皇室・皇質・皇寿・皇州・皇上・皇城・皇情・皇神・皇親・皇仁・皇枢・皇政・皇清・皇聖・皇祚・皇宗・皇族・皇孫・皇代・皇沢・皇闥・皇冑・皇・皇張・皇鳥・皇朝・皇帝・皇廷・皇弟・皇邸・皇天・皇図・皇都・皇度・皇統・皇堂・皇道・皇徳・皇波・皇伯・皇駁・皇妣・皇妃・皇舞・皇風・皇墳・皇辟・皇眄・皇・皇命・皇明・皇・皇・皇輿・皇陵・皇僚・皇綸・皇霊・皇路
[下接語]
皇・王皇・皇・娥皇・漢皇・戯皇・教皇・玉皇・勤皇・軒皇・元皇・后皇・三皇・紫皇・女皇・上皇・神皇・人皇・聖皇・先皇・前皇・倉皇・尊皇・大皇・太皇・皇・張皇・天皇・東皇・武皇・方皇・法皇・鳳皇・列皇

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