直に(読み)すぐに

精選版 日本国語大辞典 「直に」の意味・読み・例文・類語

すぐ‐に【直に】

〘副〙
① 時をおかず。ただちに。じきに。
東寺百合文書‐に・寛正五年(1464)一一月一七日太田行頼書状案「彼下地分之事、惣田数年貢配当分は、すぐに沙汰可申候由」
滑稽本浮世床(1813‐23)初「何でもちらりと見たばかり直(スグ)に出て行く」
② 間にほかのものをはさまずに。じかに。そのままに。
※米沢本沙石集(1283)一〇本「なになにすくにいわれよ、思様ありて問ふなりと云へども」
[語誌](1)副詞「すぐ」に助詞「に」が付いてできた語とする説もあるが、形容動詞「すぐなり」の連用形から派生したとする考え方もある。
(2)近世においても、直線的の意の形容動詞の連用形の「すぐに」は見られるが、次第にすたれ、近年では、「まっすぐに」に代わられている。「すぐに」は、副詞「ただちに」と同義に用いられるのが一般的である。→「じきに」の補注

ただち‐に【直に】

〘副〙 間を隔てたり、間に何かをはさんだりしないさまをいう。
① じかに。直接に。まっすぐに。
※百座法談(1110)三月二六日「此経を一偈一句にてもかきよみたてまつらむ人はたたちに尺迦牟尼仏のとかせたまうをきき」
② 時を移さず。すぐに。
※冥報記長治二年点(1105)「(タタチニ)慈寺の坐仏堂の中に至りて」
徒然草(1331頃)九二「何ぞ、ただ今の一念において、ただちにする事の甚だ難き」

じき‐に ヂキ‥【直に】

[1] 〘副〙 時をあまりおかないで物事が行なわれるさま。
咄本・蝶夫婦(1777)足留の盃「あれ程にいいなんした物が、直(ヂキ)きげんが直って」
青年(1910‐11)〈森鴎外〉四「もう直(ヂキ)に帰って参りませう」
[2] 〘形動〙 ⇒じき(直)(二)
[補注]現代語では、「すぐに」が即刻・直接の気分が強いのに対して、「じきに」は、特に時間の場合、ある程度の余裕がある。その違いは「薬がすぐに効いてくる」と「薬がじきに効いてくる」でわかる。ただし、地方により語感の差がある。

じか‐に ヂカ‥【直に】

〘副〙 間に人や物を入れないで直接にするさま。じきじき。じきに。
※雑俳・軽口頓作(1709)「はなさしゃれ・一の富より直に銀」
田舎教師(1909)〈田山花袋〉三八「校長から直下(ヂカ)に聞いたといふ訳でもないんですけれど」

じっき‐に ヂッキ‥【直に】

〘副〙 「じきに(直)」の変化した語。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五「イヤじっきに、このさきじゃわいな」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「直に」の意味・読み・例文・類語

じか‐に〔ヂカ‐〕【直に】

[副]間にほかのものを入れないで直接にするさま。「ワイシャツを肌に直に着る」
[類語]直接じかじき・無媒介・ダイレクト直直じきじきなまストレート直接的ちょく単刀直入直截ちょくせつ率直露骨ずばりざっくばらんずけずけあけすけ歯にきぬ着せぬ手ずからみずから身を以て自発的親しくアクティブアグレッシブ故意作為作為的意識的意図的未必の故意ことさら自主的主体的意欲的能動的積極的精力的好んであえて進取進んで求めて喜ぶ喜んで前向き乗り気我先我勝ちえいやっと我劣らじとわざとらしいむに止まれぬ及ばずながら献身的強気強引押して努めて曲げて断固断然思い切ってるか反るか思う様思う存分存分思いのまま力一杯精一杯率先果敢惜しみない意気込む本腰本腰を入れる入れ込むひたむき誓って活動的わざわざわざと強いてたって我も我もしゃかりきしゃにむにどしどしポジティブ

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