予て・兼て(読み)かねて

精選版 日本国語大辞典「予て・兼て」の解説

かね‐て【予て・兼て】

[1] 〘連語〙 (動詞「かねる(兼)」の連用形に助詞「て」の付いたもの)
① 将来のことを見越す心情を表わす。将来まで続かせようという気持にも、将来のことを先まわりして行なう気持にも用いる。…を見越して。…までも。ゆとりを持たせて…。
※古今(905‐914)雑上・九〇七「梓弓いそべのこまつたが世にかよろづよかねてたねをまきけん〈よみ人しらず〉」
② (日数、期間を表わす語を受けて) …前から。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「ふた月ばかりかねてむまれ給はん日まで」
[2] 〘副〙 ((一)が一語化したもの)
① 将来の状態を見越して、今からそのような状態になっている、という気持を表わす。今からもう。早くも。
※万葉(8C後)一〇・二三五〇「あしひきの山の嵐は吹かねども君なきよひは予(かねて)寒しも」
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「『人のみかどまでおもほしやれる御后ことばのかねても』とほほゑまれて」
② 一つの行為、状態を基準に、それに先立つ時点を漠然(ばくぜん)と示す。事前に。前もって。
※万葉(8C後)一七・三九五九「かからむと可禰弖(カネテ)知りせば越の海の荒磯(ありそ)の波も見せましものを」
※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中「兼(カネ)てお春にも親類始め郷里の人々に交際する注意を示し置きたれば」
③ 以前からずっとその状態を続けてきたという気持を表わす。前から。今までずっと。
※古今(905‐914)哀傷・八六一「つひにゆく道とはかねてききしかどきのふけふとは思はざりしを〈在原業平〉」
※ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉「何か書いて見ようといふ、兼ての希望が」
④ 過去のある時点を示す。以前に。かつて。
※破戒(1906)〈島崎藤村〉一六「一ぜんめし、御酒肴、笹屋、としてあるは、かねて敬之進と一緒に飲んだところ」
⑤ 一つの事柄をこれと並行するもう一つの事柄に合わせて示すのに用いる。一方。あわせて。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)分別功徳品第十七「いはんや、また、この経を、たもち、かねて、布施・持戒・忍辱、ありて、禅定をねがひ、いからず、悪口せず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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