(読み)ホウ

デジタル大辞泉 「放」の意味・読み・例文・類語

ほう【放】[漢字項目]

[音]ホウ(ハウ)(呉)(漢) [訓]はなす はなつ はなれる ほうる
学習漢字]3年
外に向けて出す。はなつ。「放火放散放射放出放送放逐放電放流追放
束縛を解いて自由にする。「放免開放解放釈放
思うままにする。ほうっておく。「放言放縦ほうしょう・ほうじゅう放置放蕩ほうとう放任放漫豪放粗放奔放
(「ほう」の代用字)ほうり投げる。「放棄放物線
[名のり]ゆき・ゆく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「放」の意味・読み・例文・類語

はなし【放】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 動詞「はなす(放)」の連用形から ) 動詞の連用形に付いて、その動作を行なったままで放置しておく意をあらわす。近世から明治初期頃までは、連濁して「…ばなし」の形をとることも多かったが、近時は、前に促音が挿入されて、「…っぱなし」の形をとることが多い。
    1. [初出の実例]「この坊様を殺しばなしでもよいかえ」(出典:歌舞伎・桜姫東文章(1817)五幕)
    2. 「どうも車の乗ッ放(パナ)しで、無言で逃るといふ訳にもいくまい」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇)

はなり【放】

  1. 〘 名詞 〙 少女の、結い上げずにふりわけに垂らした髪。また、その少女。ふりわけ髪。うない。うないはなり。はなりの髪。
    1. [初出の実例]「橘のこばの波奈里(ハナリ)が思ふなむ心愛(うつく)しいで吾(あ)れは行かな」(出典:万葉集(8C後)一四・三四九六)

はなち【放】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はなつ(放)」の連用形の名詞化 ) はなすこと。また、はなされたもの。
    1. [初出の実例]「蒼生とは、民のもとどり、はなちにしている、髪のあをいを云ぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「放」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ホウ(ハウ)
[字訓] はなつ・はなす・ならう

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
方+攴(ぼく)。方は架屍の形。これを殴(う)って邪霊を放逐する共感呪術的な呪儀。〔説文〕四下に「ふなり」と訓し、方(ほう)声とするが、方は殴撃を加える対象物である。その架屍に頭部の形を加えたものは(きよう)で、徼の初文。巫女を殴つものは(微)、長髪の人を殴つものは(徴)・傲。邪霊を微(な)くし、徼(もと)めるところを徴するもので、敵に傲る相似た呪法をいう。みな古代祭梟(さいきよう)(首祭)の俗を示す字である。

[訓義]
1. はなつ、おう、さる、しりぞける、つきはなす。
2. ほしいまま、ときはなす、のべる、ひろげる、あらわす。
3. おく、すておく、やめる。
4. 倣(ほう)と通じ、ならう、まねする、のっとる、にかよう。

[古辞書の訓]
名義抄〕放 ハナツ・ユルス・ホシイママ・アカス・イタル・アラハニ・マカス・ママニ・ナラフ・ヲシフ・ミダリカハシ・オク 〔字鏡集〕放 アソブ・イタル・アラハル・オク・ハナツ・ナラフ・スタル・コロホヒ・マナブ・ミダリガハシ・ヲシフ・マカス・ウルカ・ホシイママ・イタム・ナゾラフ・ママニ・ユルス・スツ・チル・ツヒニ・ヨル

[部首]
〔説文〕に敖(ごう)・の二字を属する。ともに相似た祭梟の呪法をいう。敖声・声の字はみなその声義を承ける。

[声系]
倣は放声。後起の字で、古くは(ほう)・效(効)を用いた。

[語系]
方・放piuangは同声。通用の義が多い。效he、學(学)heukも声義の通ずるところがあり、放効のように用いる。

[熟語]
放依・放意放佚・放逸・放・放遠・放下・放歌・放仮・放過・放課放衙・放懐・放鶴・放学放款・放還・放給・放牛・放狂・放放吟・放遣・放言・放古・放鼓・放工・放光・放効放曠放告・放債・放殺・放散・放志放恣放弑・放士放支放肆・放・放失放赦・放釈・放囚・放出・放春・放縦・放生・放従・放餉・放情・放心・放臣・放神・放賑・放人・放酔・放斥・放絶・放銭・放走・放鏃・放率・放惰・放対・放大・放達・放誕・放逐・放黜・放糶・放・放灯・放盪・放・放任・放念・放廃・放髪・放伐・放飯・放屁・放飄・放紛・放米・放辟・放歩・放俸・放烽・放牧・放・放慢・放民・放免・放洋・放鷹・放埒・放懶・放溜・放流・放慮・放良・放浪・放論
[下接語]
放・遠放・横放・遐放・開放・解放・閑放・虚放・宏放・拘放・荒放・高放・曠放・豪放・遨放・罪放・恣放・肆放・奢放・邪放・釈放・放・舒放・縦放・清放・粗放・疎放・怠放・放・誕放・黜放・超放・追放・通放・天放・任放・廃放・奔放・遊放・嬾放・流放

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【流刑】より


[中国]
 単に〈流〉ともいう。刑罰の中でも最も古い起源をもつもので,古典に〈放〉〈逐〉〈殛(きよく)〉などとも記される。追放であって,共同体との結びつきを絶たれ,生命は全うしがたい。…

※「放」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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