デジタル大辞泉
「早い」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
はや・い【早・速・疾・捷】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]はや・し 〘 形容詞ク活用 〙 - [ 一 ] 速度が大である。すみやかである。また、敏速で激しい。⇔おそい。
- ① 動作や作用に時間がかからない。行動や変化の実現に要する時間が短い。迅速である。
- [初出の実例]「遠くありて雲居に見ゆる妹が家に早(はやく)至らむ歩め黒駒」(出典:万葉集(8C後)七・一二七一)
- 「はやくこなたにいり給へ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ② 動く速度が大である。スピードが大である。
- [初出の実例]「婦負川の波夜伎(ハヤキ)瀬ごとに篝(かがり)さし八十伴の緒は鵜川立ちけり」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇二三)
- 「五月雨をあつめて早し最上川」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)最上川)
- ③ 人の行為、頭や心の働きが鋭くすぐれている。敏捷である。鋭敏である。すばしこい。さとい。
- [初出の実例]「ちはやぶる宇治の渡りに棹取りに波夜祁(ハヤケ)む人しわがもこに来む」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「今夜アノ娘をぶっちめて見せよふ。はやいおとこだ」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二)
- ④ 勢いが激しい。また、心の状態などが、はやって、激しい。
- [初出の実例]「たぎつせのはやき心をなにしかも人めつつみのせきとどむらん〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋三・六六〇)
- ⑤ ( 香について ) 激しい。きつい。鋭い。
- [初出の実例]「梅花はなやかに今めかしう、少しはやき心しらひを添へて、めづらしきかをり加はれり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
- [ 二 ] 時間的に先である。時間が少ししか経過していない。時機がまだ来ていない。⇔おそい。
- ① ある期間にはいってから間がない。早期である。また、時期や時間的に、ふつうより前である。
- [初出の実例]「朝烏(あさがらす)早(はやく)な鳴きそ吾が背子が朝明(あさけ)の姿見れば悲しも」(出典:万葉集(8C後)一二・三〇九五)
- ② その時期に達していない。適当な時間までにまだ間がある。
- [初出の実例]「此君の御位余りに早し」(出典:延慶本平家(1309‐10)二中)
- 「コレコレ飯を喫するのははやイではないか」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉六)
- ③ ( 「…するがはやいか」「…するよりはやく」の形で ) 物事が時間をおかないで続くさまを表わす。…するやいなや。
- [初出の実例]「此磔(はっつけ)めといふが速いか握り拳で脳天をポントくらはす」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
早いの語誌
( 1 )平安時代、「はやし」は、「とし」とともに、和文において用いられ、漢文訓読語「すみやか」と対立的であったとされる。しかし、これら三語は微妙に意味の重点を異にしていた。平安仮名文学作品や「今昔物語集」などの説話集について見るかぎり、「とし」が時期・時刻に重点を置いて早いことをいうのに対し、「はやし」は、動作そのものに重点があって敏速であることを表わす。また、「すみやか」は、遅滞なく、躊躇せずに、といった表現主体の心的作用に重点の置かれる語であるといった傾向がうかがえる。
( 2 )連用形の「はやく」「はやう」は副詞や名詞に転成することがある。→はやく・はよう。
早いの派生語
はや‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
早いの派生語
はや‐さ- 〘 名詞 〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 