敵・仇(読み)かたき

大辞林 第三版の解説

競い合う相手。競技などの相手。現代では多く、「がたき」の形で他の語と複合して用いる。 恋- 商売- 飲み- 碁- 御碁の-に、召し寄す/源氏 宿木
(「仇」とも書く)深い恨みをいだいていて、いつかその恨みをはらしたいと思っている相手。仇敵きゆうてき親の-を討つ -を取る
敵対する相手。てき。 -の手にはかかるまじ/平家 11
結婚の相手。配偶者。 -を得むずるやうは/宇津保 藤原君あだ補説欄

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 遊んだり、わざを競ったりする相手。遊び相手や競争相手。
※蜻蛉(974頃)下「露ふかき袖にひえつつあかすかなたれながき夜のかたきなるらん」
※源氏(1001‐14頃)宿木「碁盤召しいでて、御碁のかたきに、召し寄す」
② 戦争の相手。敵対者。てき。
※枕(10C終)二一六「太平楽、太刀などぞうたてあれど、いとおもしろし。唐土(もろこし)にかたきどちなどして舞ひけんなど聞くに」
※平家(13C前)五「源氏の陣の遠火の多さよ。げにもまことに野も山も河も海もみなかたきでありけり」
③ 深い恨みを抱いている相手。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「汝等が首、ただ今とりて。汝は我がかたきとする大臣の方によりて、はからしむる奴なり」
※浮世草子・武道伝来記(1687)八「童子(わらべ)心にも親の敵(カタキ)を心かけける」
④ (男女それぞれの相手になる人の意) 配偶者。むこ。よめ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「おうなは早うより、さは見奉れど、さもえ聞こえざりつるなり。よし御かたきをば知り奉らじ。いつよりか御けがれはやみ給ひし」
⑤ 心を悩ませる相手。恋しい人。
※浮世草子・忘花(1696)五「過ぎし夕は初ての御げん、いまにそのうつり香にくらしまいらせ候、いかなる君は敵の種ぞ」
⑥ 「かたきやく(敵役)」の略。
※役者論語(1776)舞台百ケ条「今の立役のきっぱをまはして、かたきをきめるは、かたち斗にて心のきっぱをまはさず」
[語誌](1)「三巻本色葉字類抄」や「観智院本名義抄」で、偶数の「二・両」、奇数の「一・隻・参」に、それぞれ、カタキアリ、カタキナシと付訓されていることなどから、もともと広く対となる相手をいう語だったと思われる。
(2)相手の種類を限定するために碁ノカタキのように修飾語が添えられたり、アソビカタキなど他の語と複合したりして用いられた。しかし、次第に②③の意が多用され、漢語の「讎敵」や「仇敵」の影響やアタカタキの同義関係などに基づきカタキ自体が「敵」と強く結びつくようになった。

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