精選版 日本国語大辞典 「敵・仇」の意味・読み・例文・類語
かたき【敵・仇】
〘名〙
① 遊んだり、わざを競ったりする相手。遊び相手や競争相手。
※蜻蛉(974頃)下「露ふかき袖にひえつつあかすかなたれながき夜のかたきなるらん」
② 戦争の相手。敵対者。てき。
③ 深い恨みを抱いている相手。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「汝等が首、ただ今とりて。汝は我がかたきとする大臣の方によりて、はからしむる奴なり」
※浮世草子・武道伝来記(1687)八「童子(わらべ)心にも親の敵(カタキ)を心かけける」
④ (男女それぞれの相手になる人の意) 配偶者。むこ。よめ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「おうなは早うより、さは見奉れど、さもえ聞こえざりつるなり。よし御かたきをば知り奉らじ。いつよりか御けがれはやみ給ひし」
⑤ 心を悩ませる相手。恋しい人。
※浮世草子・忘花(1696)五「過ぎし夕は初ての御げん、いまにそのうつり香にくらしまいらせ候、いかなる君は敵の種ぞ」
⑥ 「かたきやく(敵役)」の略。
※役者論語(1776)舞台百ケ条「今の立役のきっぱをまはして、かたきをきめるは、かたち斗にて心のきっぱをまはさず」
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