敵・的(読み)てき

精選版 日本国語大辞典 「敵・的」の意味・読み・例文・類語

てき【敵・的】

[1] 〘名〙
① 自分にあだとなるもの。自分と対立して争う者。特に戦争でたたかう相手。敵方。
※高野本平家(13C前)五「戦場にして敵(テキ)にたたかふ時身をわする」
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉三「貧乏人には時候の冬が敵だといふことは」 〔孟子‐梁恵王・上〕
② 一般に、競争相手。敵方。また、「敵なし」「敵ならず」などの形で、比較の対象となるものをさしていう。
随筆・胆大小心録(1808)一一九「其代に薄情・無心の段が又天下に敵なし」
※家族会議(1935)〈横光利一〉「彼はここ二三年のゴルファーなので、やはり高之の敵ではなかった」
中世、訴訟の相手方の称。敵方。敵人。
※大塔物語(1466頃か)「爰大文字一揆人々者、為故敵当敵上者、廻思案、一切不之、可請別守護人旨、内々令評儀畢」
④ 遊里で、相手をいう語。遊女が客を、客が遊女をいう語。相方(あいかた)。おてき。〔評判記・色道大鏡(1678)〕
[2] 〘代名〙 (的) ((一)④から転じたもの。江戸末期、主に上方で、遊里に限らず用いた)
① 他称。話し手や相手以外の人をややさげすんでさす。あいつ
滑稽本・客者評判記(1811)上「浄瑠璃がえらいといふたら李冠ぢゃ。李冠とは嵐吉がこっちゃ。ア的(テキ)与次郎を見せたいな」
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉六「敵(テキ)は首尾よくわが術中に陥った」
対称。相手をややさげすんでさす。おまえ。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「的(テキ)めもゑらい痴呆(へげたれ)めじゃ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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