ウェーバー(読み)うぇーばー(英語表記)Bruce Weber

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウェーバー(Bruce Weber)
うぇーばー
Bruce Weber
(1946― )

アメリカの写真家。ペンシルベニア州グリーンズバーグ生まれ。オハイオ州デニソン大学で美術と舞台芸術を修め、1960年代にニューヨーク大学へ移り、映画製作を学ぶ。ニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ(学問の自由を求める研究者によって1918年にニューヨークで設立された教育機関)で写真家リゼット・モデルの授業を受けたことで写真と出会い、同じくモデルに師事した写真家ダイアン・アーバスとも親交を結ぶ。1973年、業界誌『メンズ・ウェア』Men's Wearの写真を撮りはじめたことで、プロのファッション写真家としてのキャリアをスタートさせ、ボストンのメーカーに依頼されたカタログが広告写真の年度賞を受賞したことで認知されると、カルバン・クラインやラルフ・ローレンといったアメリカを代表するファッション・デザイナーからの仕事が舞い込むようになった。以降1980年1月号のイギリス版『ボーグ』誌に初めて作品が掲載されたのをはじめ、さまざまなファッション誌のグラビアを飾るとともに、愛犬を写した『ベア・ポンド』Bear Pond(1990)など、秀逸な写真集を発表しつづけている。そんな彼の人気を決定づけたのは、1980年代に開始されたカルバン・クラインの一連の広告キャンペーンだ。特に1982年水泳で鍛えられたギリシア彫刻のような素人をモデルに起用した男性下着の広告は衝撃的で、ウェーバーは一躍時代の寵児となった。
 ウェーバーは、1980年代初期から世界でもっとも多忙で、有名なファッション写真家として活躍してきた。その代表的な作品は、写真集『ブルース・ウェーバー』Bruce Weber(1983)や『ジ・アンディ・ブック』The Andy Book(1987)に見られるような若く美しい、白人アメリカ青年のヌードであり、その肉体が放つ透明感のある無垢さと内からにじみ出る官能性は、男性、女性を問わず引きつけたのである。『オ・リオ・デ・ジャネイロ』O Rio de Janeiro(1986)などこうした初期の写真集は現在も非常に人気が高い。ウェーバー自身、学生時代にモデルを経験したことが、彼の得意とするモデル・セレクションとキャスティングのベースにある。
 ウェーバーの写真は、マイナー・ホワイト、ジョージ・プラット・ラインズGeorge Platt Lynes(1907―1955)らの撮った従来のメール・ヌードがもち合わせていたゲイの雰囲気を払拭(ふっしょく)し、フェミニズムやゲイが社会的に受容される時代の空気と相まって広く親しまれるようになった。また彼の成功は、クライアントの制約に縛られず写真家が自らコンセプトを打ちだすというように、ファッション写真のあり方そのものをも変化させたといえる。加えて87年にはアメリカ人アーティストのファイン・アートを集めたホイットニー美術館(ニューヨーク)のビエンナーレ展の出品作家にも選出され、アーティストの仲間入りを果たした。また、映画製作にも取り組んでおり、敬愛するジャズ・トランペッター、チェット・ベーカーChet Baker(1929―1988)を取材した記録映画『レッツ・ゲット・ロスト』Let's Get Lost(1988)は、アカデミー最優秀ドキュメンタリー賞にもノミネートされた。2001年には、若きレスラーでモデルのピーター・ジョンソンPeter Johnsonが少年から青年へと変化する過程を4年の歳月をかけて撮影した『チャプスイ』Chop Sueyが公開され、そのほか名優ロバート・ミッチャムRobert Mitchum(1917―1997)の全編インタビューによる記録映画が用意されている。[中村浩美]
Bruce Weber (1983, Twelvetrees Press, Los Angeles) ▽O Rio de Janeiro; A Photographic Journal (1986, Knopf, New York) ▽The Andy Book (1987, Doeisha, Tokyo) ▽Bear Pond (1990, Bulfinch Press, New York) ▽Hotel Room with a View (1992, Smithsonian Institution Press, Washington/London) ▽The Chop Suey Club (1999, Arena Editions, Santa Fe)』

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