デジタル大辞泉
「我」の意味・読み・例文・類語
わ【我/×吾/和】
[代]一人称の人代名詞。われ。わたくし。
「大野山霧立ち渡る―が嘆くおきその風に霧立ち渡る」〈万・七九九〉
[接頭]名詞・代名詞に付く。
1 親愛の情を表す。「―おとこ」「―ぎみ」
「保つべき様を知らねば、―主の為には益あらじ」〈今昔・二七・四〇〉
2 軽んじあなどる気持ちを表す。
「―法師めが、人あなづりして」〈著聞集・一〇〉
が【我】
1 われ。自分。自我。「我の意識」
2 自分の意志や考えを言い張って、人の言葉に従わないこと。わがまま。「あくまでも我を張り通す」
3 《〈梵〉ātmanの訳》仏語。人間の個体そのもの。また、その個体の中心生命。
[類語]意地・我意
わろ【▽我】
[代]「われ」の上代東国方言。
「―旅は旅と思ほど家にして子持ち痩すらむ我が妻かなしも」〈万・四三四三〉
わぬ【▽我/×吾】
[代]一人称の人代名詞。「われ」の上代東国方言。
「うべ児なは―に恋ふなも立と月のぬがなへ行けば恋しかるなも」〈万・三四七六〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
わ【我・吾・和】
- [ 1 ] 〘 代名詞詞 〙
- ① 自称。男女ともに用いる。格助詞「が」を伴うことが多いが、上代では、助詞「は」「を」「に」をも伴う。あ。われ。また、反射代名詞のように用いることもある。→わが(我━)。
- [初出の実例]「嬢子(をとめ)の 寝(な)すや板戸を 押そぶらひ 和(ワ)が立たせれば 引こづらひ 和(ワ)が立たせれば」(出典:古事記(712)上・歌謡)
- 「敷栲(しきたへ)の衣手離れて玉藻なす靡きか寝らむ和(ワ)を待ちかてに」(出典:万葉集(8C後)一一・二四八三)
- ② ( 反射指示 ) その人自身。自分自身。→わが(我━)。
- [初出の実例]「宇津の山に至りて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに」(出典:伊勢物語(10C前)九)
- ③ 対称。相手を親しんで呼びかける語。また、軽んじ卑しめる場合もある。→わが(我━)。
- [初出の実例]「ゐんで、わが、さかさまに、いわふはしらぬ、連歌にあいて、もどったと云たらば」(出典:天理本狂言・箕被(室町末‐近世初))
- [ 2 ] 〘 接頭語 〙 名詞・代名詞に付けて対称の代名詞をつくる。多くは目下に用いる。親愛感や、身近な者への軽い敬意、また軽侮の気持を表わす。
- [初出の実例]「わおきなの年こそきかまほしけれ」(出典:大鏡(12C前)一)
我の補助注記
( 1 )「わ」は必ず助詞を添えて用い、単独の場合は「われ」を用いた。また、上代では「わどり」のように、名詞とも複合した。
( 2 )「わが」の形で連体修飾語となるものは、便宜上別項として扱った。
われ【我・吾】
- 〘 代名詞詞 〙
- ① 自称。わたくし。あれ。わ。
- [初出の実例]「須須許理が 醸みし御酒に 和礼(ワレ)酔ひにけり 事無酒 笑酒に 和礼(ワレ)酔ひにけり」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「我なくなりぬとてくちをしう思くづほるな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- ② ( 反射指示 ) その人自身。自分自身。
- [初出の実例]「昔、いやしからぬ男、我よりはまさりたる人を思かけて、年へける」(出典:伊勢物語(10C前)八九)
- 「和田小太郎がわれにすぎて遠矢射るものなしとおもひて」(出典:平家物語(13C前)一一)
- ③ 対称。多く中世以後に用いられ、目下や身分の低い者に呼びかける語。そなた。のちには、相手を卑しめて用いる。おまえ。
- [初出の実例]「われさへ、かくの給ふこそ心憂けれ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
- 「シュクラウ vareua(ワレワ) ドコエ ユクゾト トウニ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
が【我】
- 〘 名詞 〙
- ① 仏語。人間の個体全体。また、その個体の中心生命。存在の構成要素としての実体。⇔無我(むが)。
- [初出の実例]「其身長大、譬二我大色少一」(出典:法華義疏(7C前)譬喩品)
- ② 考えや決意などを固く守り抜こうとする心。意地。
- [初出の実例]「せひともがを御いたし候て、御なけきをやめられ、両人のこともたちのき御きもをいられ候はは」(出典:池田宣政文書‐天正一二年(1584)四月一一日・羽柴秀吉書状)
- ③ 自分勝手なことを主張して、人に従おうとしない心。わがまま。我意。
- [初出の実例]「私は此点に於ても充分私の我(ガ)を認めてゐます」(出典:こゝろ(1914)〈夏目漱石〉下)
- [その他の文献]〔論語‐子罕〕
- ④ 認識、意志、行動の主体として、他から区別される自分。自我。〔哲学字彙(1881)〕
- ⑤ インド哲学におけるアートマンのこと。→アートマン
わろ【我・吾】
- 〘 代名詞詞 〙 自称。「われ(我)」の上代東国方言か。一説に、代名詞「わ」に接尾語「ろ」の付いたものとも。
- [初出の実例]「和呂(ワロ)旅は旅と思(おめ)ほど家(いひ)にして子持(め)ち痩(や)すらむ我が妻(み)愛(かな)しも」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三四三)
わぬ【我・吾】
- 〘 代名詞詞 〙 自称。「われ(我)」の上代東国方言。
- [初出の実例]「うべ子なは和奴(ワヌ)に恋ふなも立と月(つく)のぬがなへ行けば恋ふしかるなも」(出典:万葉集(8C後)一四・三四七六)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「我」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 
世界大百科事典(旧版)内の我の言及
【アートマン】より
…サンスクリット語で,インド哲学において自我をあらわす術語。〈我(が)〉と漢訳される。…
【無我説】より
…固定的実体的な自己(我,アートマンātman)は存在しないとみる仏教独自の思想。サンスクリットでナイラートミヤ・バーダnairātmya‐vāda。…
※「我」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
Sponserd by 