望(漢字)

普及版 字通 「望(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)
11画

(異体字)
14画

[字音] ボウバウ
[字訓] のぞむ・ねがう

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(亡)(ぼう)。卜文は、大きな目をあげて遠くを望み、挺立する人の形で、象形。聞の初文が、大きな耳の下に挺立する人の形であるのと同じく、特定の行為を示す字である。のち金文字形にはを加えて月相の関係の字となり、また目の形(臣)がの形にかかれて形声となる。〔説文〕十二下に「出して外に在り、其のるをむなり」とあって、を亡去の意に解する。また別に(てい)部八上を収め、「滿ちて日と相ひむ。以て君にするなり。に從ひ、臣に從ひ、(てい)に從ふ。なり」とする。その重文としてを録し、「古の省なり」というが、そのが卜文にみえるで、の初文である。は人が挺立して遠く望む形で、眼の呪力によって敵を圧服し、あるいは望気を行う意の字であった。卜辞に「媚人(びじん)三千をして、方をましむること勿(なか)らんか」のように卜するものがあり、媚飾を加えた三千の巫女が、一斉に山西北方の異族である苦方に、その呪儀を行った。はまた山川祭祀の名となる。のち日月相望む意によって月を加え、朔望となり、望より一週の月相を既望という。

[訓義]
1. のぞむ、遠くをのぞんで、望気・圧服を行う。
2. 山川のまつり。
3. ねがう、まちのぞむ、あおぐ。
4. ながめ、ようす。
5. ほまれ、よい家柄、名望。

[古辞書の訓]
和名抄 此のに云ふ、毛知豆(もちづき) 〔名義抄 ネガフ・ミツ・ウラム・アフグ・ノゾム・ワスル・ホシキ 〔字鏡集〕 ウカガフ・ミツ・ウラム・アフグ・ワスル・ノゾク・ネガフ・ノゾム・モチ

[声系]
〔説文〕に声としてとを収めるが、は一字。は金文に「十世まで(わす)れず」のように、忘の義に用いる。〔説文〕三上に「責するなり」とあるのは、のちの用義であろう。

[語系]
miuangは同声、もと同字異文。またmiuangも同声。望の呪儀を、呪詞によって行う意で、やめる、なくする意のある字であろう。ゆえに金文にを忘の意に用いる。

[熟語]
望意・望雲・望影・望・望遠・望眼・望気望郷望緊・望空望霓・望月・望見・望懸・望候・望高・望幸・望祭・望歳・望察・望祀・望子・望視・望日・望実・望春望舒望蜀・望色・望夕・望絶・望族・望尊・望台・望達・望断望地望秩望鎮・望帝・望頭・望拝・望八望閥・望表・望風望氛・望慕・望誉・望羊望佯・望洋・望履・望櫓・望楼
[下接語]
位望・威望・倚望・恚望・異望・意望・懿望・延望・怨望・遠望・雅望・望・渇望・閑望・観望・企望・希望・祈望・既望・跂望・期望・冀望・覬望・望・旧望・郷望・仰望・翹望・勲望・群望・顧望・郊望・曠望・懇望・才望・柴望・朔望・士望・四望・志望・俟望・姿望・思望・資望・時望・失望・衆望・重望・宿望・春望・所望・属望・矚望・信望・人望・声望・清望・勢望・責望・切望・絶望・羨望・瞻望・素望・想望・族望・大望・待望・悵望・眺望・騁望・展望・覘望・登望・徳望・熱望・非望・弥望・標望・布望・俯望・風望・本望・民望・名望・門望・野望・有望・憂望・誉望・輿望・要望・遥望・欲望・令望

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android