(読み)サワ

デジタル大辞泉 「沢」の意味・読み・例文・類語

さわ〔さは〕【沢】

浅く水がたまり、草が生えている湿地。
山あいの比較的小さい渓谷。「登り」
[類語](1沼沢湖沼泥沼小川細流せせらぎ河川大河大江江河大川おおかわ大川たいせん山川谷川渓流流れ川面水面どぶ川氷河湖水淡水湖鹹水湖塩湖河跡湖三日月湖火口原湖火口湖陥没湖人造湖川面かわづら/(2峡谷渓谷幽谷空谷谷間たにま谷間たにあい渓間狭間谷地・谷戸・やつ山峡雪渓谷底窪地低地クレバス

たく【沢〔澤〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]タク(漢) [訓]さわ
〈タク〉
湿地。さわ。「沢畔/山沢沼沢藪沢そうたく
物が豊かにあること。うるおい。「沢山潤沢贅沢ぜいたく
人に施す恵み。「恩沢恵沢徳沢余沢
つや。「光沢色沢手沢
〈さわ〉「沢辺沢水涸沢からさわ
[名のり]ます
[難読]沢瀉おもだか沢庵たくあん

たく【沢】

めぐみ。恩恵。恩沢。
「海内久しく穏かにして人民泰平の―を楽みたりしかども」〈田口日本開化小史

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精選版 日本国語大辞典 「沢」の意味・読み・例文・類語

さわさは【沢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 浅く水がたまり、草の生えている湿地。水草の生えている地。
    1. [初出の実例]「遂に従(めく)りて林泉に憩(いこ)ふて藪沢(やふサハ)相羊(もとほりあそ)ひて」(出典日本書紀(720)雄略二年一〇月(前田本訓))
  3. 山間の谷。また、そこを流れる水。渓流。谷川。
    1. [初出の実例]「さ寝(ぬ)らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士高嶺の鳴る佐波(サハ)のごと」(出典:万葉集(8C後)一四・三三五八)

たく【沢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 低くて草がしげっている湿地。さわ。野地(やち)。〔春秋左伝‐宣公一二年〕
  3. うるおっていること。また、たくさんあること。潤沢。〔易経‐夬卦〕
  4. めぐみ。恩恵。恩沢。
    1. [初出の実例]「豈に昌平の沢ならずや」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)二)
    2. [その他の文献]〔書経‐畢命〕
  5. つや。ひかり。光沢。〔春秋左伝‐襄公二八年〕

さわさは【沢】

  1. 姓氏一つ

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普及版 字通 「沢」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(旧字)澤
16画

[字音] タク
[字訓] さわ・うるおす・つや

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
旧字は澤に作り、(えき)声。に擇(択)・鐸(たく)の声がある。〔説文〕十一上に「光潤なり」とあり、〔玉〕に「水停まるを澤と曰ふ」の語を加える。〔風俗通、山沢〕に「水錯の處」とし、水沢をいう。〔礼記、玉藻〕に「の書を讀むこと能はず。手澤存するのみ」とあり、手のふれたよごれをいう。その本を「手沢本」という。

[訓義]
1. さわ、湿地、水と草の交わるところ。
2. うるおう、うるおす、しめり、めぐみ、なさけ。
3. つや、よごれ、てあか、しる、あせ。
4. 択と通じ、えらぶ。
5. 釈と通じ、とける。

[古辞書の訓]
和名抄〕澤 水を澤と曰ふ。佐波(さは)/澤 人の髮恆に枯悴す。此れを以て濡澤せしむるなり。俗に脂綿の二字を用ふ。阿布良和太(あぶらわた)と云ふ 〔名義抄〕澤 ウルホシ・アブラワタ・サハ・ウツクシイ・メグム・ヨロコブ・モム・ホドコス・ミヅノオリ・シボル・キヨシ・シル・シタラカナリ・マミレ・アラフ・ナダラカナリ・ハラカナリ 〔字鏡集〕澤 シル・キヨシ・マミル・アラフ・サハ・アブラワタ・ウツクシイ・ウルホス・ヒカリ・タヅヌ・ヨロコブ・ホドコス・シボル・メグル・ナメラカナリ

[語系]
澤deak、(濯)dikは声義に通ずるところがあり、濯濯は美しくかがやくようなさま、沢とは光潤をいう。

[熟語]
沢衣・沢雨・沢器・沢魚・沢虞・沢湖・沢国・沢湿・沢手沢濡・沢潤沢浹・沢地沢田・沢畔沢陂・沢風・沢物沢陵・沢梁沢鹵
[下接語]
遺沢・雨沢・王沢・恩沢・嘉沢・滑沢・乾沢・顔沢・恵沢・慶沢・口沢・光沢・膏沢・済沢・施沢・脂沢・慈沢・手沢・濡沢・潤沢・沼沢・色沢・仁沢・水沢・聖沢・贅沢・川沢・沢・池沢・霑沢・徳沢・肥沢・福沢・芳沢・野沢・余沢・耀沢・蘭沢・麗沢・林沢・烈沢

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沢」の意味・わかりやすい解説


さわ

山地斜面を刻み込んでいる小さな谷で、尾根に対する語。普段は多少湿っている程度で、雨が降ったときだけ水流がみられる。地方によってはかなり大きな谷でも沢とよぶことがある。恒常的に水が流れていても沢とよぶ場合があり、沢、谷、川などはそれほど厳密に区別して用いられていない。谷川岳の一ノ倉沢、マチガ沢、北穂高岳の涸沢(からさわ)などのように登山ルートとして稜線(りょうせん)沿いのコースよりも有名になっている所もある。水面や湿地を沢とよぶこともあり、沼沢地という場合がこれに相当する。

[髙山茂美]

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【髪油】より

…現代では狭義にはヘアオイル,香油であるが,広義にはヘアクリーム,ポマード,チック,ヘアリキッドなどもいう。中国では古くから,ゴマ油やクルミ油を綿にしみ込ませて広口の壺に入れた髪油を,沢(たく)とよんでいた。日本でも奈良時代以降,沢を阿布良和太(あふらわた)とよんでいたことが《和名抄》にみえる。…

※「沢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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