無い(読み)ナイ

デジタル大辞泉 「無い」の意味・読み・例文・類語

な・い【無い】

[形][文]な・し[ク]
物事が存在しない。「あやしい節は―・い」「読書に飽きることは―・い」
持っていない。「金が―・い」「子供が―・い」「信用が―・い」「品が―・い」「魅力が―・い」
時間・数量などが、その表示された数に達していない。「開演まで五分も―・い」「海岸まで一〇〇メートルと―・い」
気持ちをもたない。心がはっきりしていない。「正体―・く酔っている」「まるでやる気が―・い」
経験していない。「見たことが―・い」
同じ物が二つと存在しない。類がない。「またと―・い珍品」
(「亡い」とも書く)すでに死んで、この世にいない。「母の―・い子」「私は―・い者と考えてください」
留守である。不在である。
「老いらくの来むと知りせば門さして―・しと答へて逢はざらましを」〈古今・雑上〉

形容詞型・形容動詞型活用の語の連用形に付いて、打消しの意を表す。「あの映画はおもしろく―・い」「そんな話は聞きたく―・い」「後悔なんて君らしくも―・い」「人が言うほどきれいで―・い」「申し出は受け入れられそうに―・い」「見た目ほど忙しいようでは―・い」
㋑(「…ないではない」「…ないこともない」などの形で)すっかり否定しきらないで、いくらかは認めるさま。「言い分はわからないでも―・い」「条件によっては承知できないことも―・い」
㋒(「…ではないか」などの形で)確認したり念を押したりする意を表す。「あれほど説明したでは―・いか」「やればできるじゃ―・いか」
㋓(「…しようではないか」などの形で)勧誘したり催促したりする意を表す。「ともに頑張ろうでは―・いか」「やってみせようじゃ―・いか」
㋔(「…のではない」などの形で)否定・禁止の意を表す。「人をからかうものでは―・い」「頭で覚えるんじゃ―・い、からだで覚えるんだ」
㋕(「…ともなく」などの形で)はっきりしないままそれが行われるさま。「聞くとも―・く話を聞く」「降るとも―・く降り続く雨」
㋖(「お…でない」などの形で)禁止の意を表す。「調子に乗っておふざけで―・い」
10 名詞に付いて、否定の意を含む形容詞をつくる。「こころ―・い」「違い―・い」「面目めんぼく―・い」
[派生]なげ[形動]なさ[名]
[下接句]味も素っ気もないありい出るすきもない合わせる顔がない生きた空がない痛くもかゆくもない一言いちごんもない応接にいとまがない影も形もない神も仏もない薬にしたくもない芸がない是非もないただより高いものはない血も涙もない・取り付く島がない・鰾膠にべもない根も葉もない恥も外聞もない非の打ち所がない方図ほうずがない枚挙にいとまがない身の置き所がない身もふたもない身も世もない見る影もない目がないもとも子もない油断も隙もない欲も得もないらちもない立錐りっすいの余地もない渡る世間に鬼はないうりつめあり爪に爪なし可もなく不可もなし稼ぐに追いつく貧乏なし顔色なし眼中人無し看板に偽りなし鬼神に横道おうどうなし国に二君なし恋に上下の差別なし恒産なきものは恒心なし触らぬ神にたたりなし三界に家無し山中暦日なし死人に口なし備えあればうれいなし大事の中に小事なし玉磨かざれば光なし天に二日にじつ無し名ありて実なし武士に二言無し目に一丁字なし名所に見所なし名物にうまい物なし本木もときにまさる末木うらきなしに遺賢無し勇将の下に弱卒無し行くとして可ならざるはなし
[類語]無くなる無くす影も形も無い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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