取付く(読み)トリツク

デジタル大辞泉 「取付く」の意味・読み・例文・類語

とり‐つ・く【取(り)付く】

[動カ五(四)]
しっかりとつかまる。すがりつく。とりすがる。「救命ブイに―・く」
しっかりと組みつく。組みかかる。「岩場に―・く」「一人に五、六人が―・く」
新しく物事を始める。着手する。とりかかる。「家の普請に―・く」
きっかけをつかむ。手がかりを得る。「―・きようのない難問
(「取り憑く」とも書く)心霊魔物が乗り移る。つきものがつく。「怨霊が―・く」
(「取り憑く」とも書く)ある感情などが根付いて離れなくなる。「強迫観念に―・かれる」
[動カ下二]とりつける」の文語形
[類語]4すがる取りすがる寄りすがるすがり付く追いすがる負んぶに抱っこ杖とも柱とも藁にもすがる溺れる者は藁をも掴む/(6物狂おしい狂わしい狂おしい悩ましい熱狂的身を焦がす悶悶もんもん惑乱切ないやりきれない思い乱れる思い悩む思い焦がれるめろめろぞっこん首ったけのめり込む入れ込む夢中血道を上げる骨抜きいかれる溺れるふける凝る耽溺たんでき惑溺執心頓着とんじゃく執着固執偏執我執とらわれる深入りはまるはまり込む入れあげる病み付きとりこ心酔心ここにあらず心を奪うむな苦しい息苦しい重苦しい苦痛る瀬無い憂さ憂い不如意堅苦しい気詰まり忍びないエキセントリック逆上のぼせるのぼせるアブノーマル常軌を逸する乱心術無い辛酸をなめる心を痛める艱難かんなん思い煩う

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精選版 日本国語大辞典 「取付く」の意味・読み・例文・類語

とり‐つ・く【取付】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. 人、物などにしがみつく。すがりつく。とりすがる。つかみつく。
      1. [初出の実例]「大君の命(みこと)かしこみ出で来れば吾ぬ等里都伎(トリツキ)て言ひし子なはも」(出典万葉集(8C後)二〇・四三五八)
    2. ( 「取憑」とも ) 心霊や魔物などが乗りうつって祟る。つきものがする。
      1. [初出の実例]「御物怪のとりつき奉りにければ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)楚王の夢)
    3. 相手を倒そうとして組みつく。
      1. [初出の実例]「同死にを、此老僧に取付て死なむと思て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二〇)
    4. 手がかりを得る。なれ親しむ端緒をつかむ。頼りにしてすがる。
      1. [初出の実例]「関白摂政の子なりとも申さむにしたがふべしなど云ただの御詞の有ける。これにとりつきて、又もとより義村が思よりて」(出典:愚管抄(1220)六)
    5. 着手する。しはじめる。とりかかる。
      1. [初出の実例]「後撰上巻書はて畢。やがて下巻にとりつく也」(出典:言国卿記‐文明一三年(1481)四月一九日)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙とりつける(取付)

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