(読み)トリコ

デジタル大辞泉 「虜」の意味・読み・例文・類語


りょ【虜】[漢字項目]

常用漢字] [音]リョ(慣) [訓]とりこ
生け捕りにした者。とりこ。「虜囚囚虜俘虜ふりょ捕虜
敵、特に敵対する異民族の称。「胡虜こりょ醜虜

りょ【虜】

とりこ。捕虜。虜囚。
野蛮人。また、奴隷
「前は燕然えんねんの―に対し」〈太平記・一七〉

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精選版 日本国語大辞典 「虜」の意味・読み・例文・類語

とり‐こ【虜・擒・俘・囚・俘虜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 捕われた人。生けどりにされた人。捕虜。
    1. [初出の実例]「是に其の将を殺(ころ)し其の兵を虜(トリコ)にして」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  3. 転じて、あることに熱中したり、心をうばわれたりしている人。また、そうなること。→とりこにするとりこになる
    1. [初出の実例]「縄なくて十重に括る虜(トリコ)は、捕はれたるを誇顔に」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石一二)

りょ【虜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とりこ。いけどり。捕虜。虜囚。〔漢語便覧(1871)〕 〔史記‐項羽本紀〕
  3. えびす。蛮族。また、奴隷。
    1. [初出の実例]「前対燕然之虜(リョ)、後有宛城之軍、攻守之間進退失度」(出典:太平記(14C後)一七)
    2. [その他の文献]〔史記索隠‐李斯伝〕

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普及版 字通 「虜」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
人名用漢字 13画

[字音] リョ・ロ
[字訓] とりこ・いけどり・しもべ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(りよ)。盧・慮などの従うところと同じ。〔説文七上に「たるものなり」とあって、軍獲、すなわち捕虜をいう。字形について「(くわん)に從ひ、力に從ふ。虍(こ)聲」とするが、声が合わない。力を以て捕らえ、これを貫して率いる意とするものであろうが、金文に盧をに作ることからいえば、声とすべきであろう。〔詩、大雅、常武〕は淮夷を伐つことを歌うもので、「仍(しき)りに醜を執(とら)ふ」とあり、主として外族をいう語であろう。金文には外族のことを(しゆう)(獸の初文)といい、のちの虜(しゆうりよ)・醜虜という語にあたる。の字は、文献に至ってみえる字である。

[訓義]
1. とりこ、いけどり、とりこにする。
2. 外族、えびす、敵人。
3. しもべ、やっこ、奴隷。
4. と通じ、つよい。
5. 鹵と通じ、うばう。

[古辞書の訓]
名義抄 ヲロカナリ・ツカフ・(カ)タキ・カスム 〔字鏡集〕 ヲロカナリ・カタキ・ウバフ・トリコ・ツカフ・カスム

[声系]
〔説文〕に声としてなど三字を収める。は膠(にかわ)をる器。また慮(りよ)声・盧(ろ)声の字も多いが、それらの間に共通義を求めがたい。

[語系]
laは同声は〔説文〕十二上に「拏持(どぢ)するなり」とあり、引くようにして収めることをいう。鹵loと声近く、鹵掠(ろりやく)の意に用いる。

[熟語]
虜営・虜役・虜獲・虜騎・虜・虜醜・虜囚・虜人・虜陣・虜塵・虜奪・虜地・虜廷・虜庭・虜浮・虜民・虜掠・虜略
[下接語]
逆虜・驕虜・胡虜・降虜・首虜・囚虜・臣虜・遷虜・敵虜・奴虜・蛮虜・俘虜・捕虜・亡虜・僕虜

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