訝しい(読み)イブカシイ

デジタル大辞泉 「訝しい」の意味・読み・例文・類語

いぶかし・い【×訝しい】

[形][文]いぶか・し[シク]上代は「いふかし」》
物事が不明であることを怪しく思うさま。疑わしい。「その説には―・い点がある」「―・そうな目つき」
知りたく思われて心が引かれるさま。
「あはれなりつる有り様も―・しくておはしぬ」〈若紫
気がかりである。おぼつかない。
「相見ずて長くなりぬこのころはいかにさきくや―・し我妹わぎも」〈・六四八〉
[派生]いぶかしがる[動ラ五]いぶかしげ[形動]いぶかしさ[名]
[類語]疑わしい怪しいいかがわしい胡散臭いおかしい臭い怪訝眉唾物不明朗邪推深い疑い深い慎重手堅い用心深い大事を取る石橋を叩いて渡るプルーデント疑心暗鬼疑心暗鬼を生ずいぶかるいぶかしむ勘繰るもやもやぼけっと朦朧もうろうぼやける雲をつかむ不確か曖昧曖昧模糊ファジー茫乎ぼうこぼうっとなんとなくなんだかそこはかとないほんのりなんとはなしどことなくそれとなしに心なしなにかしら思いなしかほのか模糊茫茫ぼうぼう漠漠不明瞭茫漠ぼうばくもやくやもやつくぼんやり彷彿ほうふつ不鮮明憂鬱憂さ鬱気気鬱鬱鬱陰鬱鬱然鬱陶しい物憂い暗鬱沈鬱くよくよくしゃくしゃ重苦しいくさくさ滅入る塞ぐ塞ぎ込む気塞ぎ悶悶もんもんやるせないくすぶるわだかまる意気消沈暗澹あんたん胸騒ぎ辛気歯がゆいいらいら

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精選版 日本国語大辞典 「訝しい」の意味・読み・例文・類語

いぶかし・い【訝】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]いぶか〘 形容詞シク活用 〙 ( 古くは「いふかし」 ) 物事の不明で、はっきりしない状態を、明らかにしたいという気持を表わす。
  2. 物事が不明で気がかりである。不明な点について知りたい、見たい、聞きたい。
    1. [初出の実例]「未審(イフカシ)〈略〉数歳(しばしばのとし)の間に慨然(うれ)へて志を失ふ」(出典日本書紀(720)欽明二年七月(北野本訓))
    2. 「あはれなりつる有様も、いぶかしくて、おはしぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  3. 疑わしい。よくわからない。不審に思われる。また、そういう状態が気にかかる。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「いぶかしうて、首さしのべて侍るを」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))

訝しいの派生語

いぶかし‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙

訝しいの派生語

いぶかし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

訝しいの派生語

いぶかし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

訝しいの派生語

いぶかし‐み
  1. 〘 名詞 〙

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