デジタル大辞泉 「年齢」の意味・読み・例文・類語
ねん‐れい【年齢】
[補説]「年令」とも当てて書く。特定の年齢の異称として、次のようなものがある。
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[類語]
生まれてから今日までの経過した年数。法律上、年齢の数え方は、出生の日から起算して(「年齢計算ニ関スル法律」)暦に従い、日をもって計算される(民法143条)。したがって、誕生日の午前0時に1歳を増すことになる。かつては、生まれた年を1歳とする数え年を年齢の呼び方とすることが行われていたが、1950年(昭和25)に、誕生日の到来を1歳とする満年齢を推奨する法律(「年齢のとなえ方に関する法律」)が施行されたこともあって、現在は法律上、年齢が問題となる場合は、すべて満年齢である。
年齢は種々の法律的効果と結び付けられる。
(1)胎児 人は出生によって権利能力を取得する(民法3条)が、年齢以前の胎児も損害賠償の請求権(同法721条)、相続(同法886条)、および遺贈(同法965条)については権利能力を有するものとして取り扱われる。
(2)6歳 親権者または未成年後見人は就学させなければならず、それは15歳になるまで続く(学校教育法17条)。
(3)15歳 養子縁組、協議上の離縁につき法定代理人は代諾できなくなる(民法797条・811条)。また、労働契約を結ぶこともできる(労働基準法56条)。
(4)18歳 成人に達し、完全な行為能力を取得する(民法4条以下)とともに、婚姻適齢に達し(同法731条)、親権を脱する(同法818条)。また、選挙権を取得するに至る(公職選挙法9条)。
[淡路剛久・野澤正充 2022年4月19日]
2022年(令和4)3月31日までの民法においては、満20年をもって成年としていた(民法旧4条)。しかし、2007年(平成19)の「日本国憲法の改正手続に関する法律(通称、国民投票法)」(平成19年法律第51号)では、「日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する」(同法3条)とされた。また、選挙権に関しては、2015年の「公職選挙法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第43号)により、公職の選挙の選挙権を有する者の年齢について、満20年以上から満18年以上に改められた(公職選挙法9条)。こうした流れを踏まえ、市民生活に関する基本法である民法においても、18歳以上の者を成人として取り扱うのが適切ではないかとの議論がなされ、2018年6月に、民法の定める成年年齢を18歳に引き下げること等を内容とする「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号)が成立し、2022年4月1日から施行された。婚姻開始年齢(婚姻適齢)についても、それまでは、男は満18歳、女は満16歳以上であることが要件とされていたが(民法旧731条)、社会的には、婚姻年齢に男女差を設ける合理的根拠に乏しく、また、平等の理念からも差を設けるべきではないとの意見が多く、男女の婚姻開始年齢が18歳に統一された(同法731条)。
[野澤正充 2022年4月19日]
人の出生からの経過期間。年齢の計算上,出生当日については出生時間を問わず,つまり早朝に出生した者と夕方に出生した者とを区別することなく,1日として計算する。したがって,昭和30年4月1日に出生した者は昭和50年3月31日の満了と同時に満20歳に達したこととなる(1920年公布の〈年齢計算ニ関スル法律〉)。年齢の呼び方については生まれた年を1歳として計算する数え年によることも行われたが,現在では誕生日の到来を1歳として計算する満年齢によるのが通常であり,昭和25年以降は満年齢によるべきことが法律によって推奨されている(1950年公布の〈年齢のとなえ方に関する法律〉)。民法上の成年,選挙権・被選挙権その他法律上年齢が問題となる場合はすべて満年齢を意味する。
なお,多くの法律において,それぞれの法律の目的に応じて,一定の年齢が一定の意義を有している。とくに満20歳未満の未成年者については多様である。そのいくつかを年齢順に列挙すると次のとおりである。(1)満1歳未満 児童福祉法では乳児とし,その福祉施設として乳児院が設けられている(37条)。(2)満3歳以上 学校教育法では幼稚園の入園資格が与えられている(80条)。(3)満12歳未満 映画・演劇の仕事に行政官庁の許可を得て就労することができる(労働基準法56条)。(4)満13歳未満 女児に関しては性交渉についての承諾能力を欠くとされ,その者との性行為は本人の同意があっても強姦となる(刑法177条)。(5)満14歳未満 刑法上の処罰の対象とならない(刑法41条)。ただし,少年法により保護処分の対象となる場合がある。(6)満15歳未満 原則として労働者として使用することが禁止される(労働基準法56条)。(7)満16歳未満 少年院のうち初等少年院に収容される(少年院法2条)。(8)満18歳未満 午後10時以降の深夜業および坑内労働への就労が禁止される(労働基準法62,64条)。
執筆者:栗田 哲男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…幕府には男子のときには出生届に相当する丈夫届を提出するが,ときには10歳以上になってからのときもある。その場合も実際の年齢よりは2,3歳上の年齢として届ける。遺跡相続のときに幼少という理由で減封されたり移封されたりするからである。…
※「年齢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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