我・吾(読み)われ

精選版 日本国語大辞典 「我・吾」の意味・読み・例文・類語

われ【我・吾】

〘代名〙
自称。わたくし。あれ。わ。
古事記(712)中・歌謡「須須許理が 醸みし御酒に 和礼(ワレ)酔ひにけり 事無酒 笑酒に 和礼(ワレ)酔ひにけり」
源氏(1001‐14頃)桐壺「我なくなりぬとてくちをしう思くづほるな」
② (反射指示) その人自身。自分自身。
※伊勢物語(10C前)八九「昔、いやしからぬ男、我よりはまさりたる人を思かけて、年へける」
平家(13C前)一一「和田小太郎がわれにすぎて遠矢射るものなしとおもひて」
対称。多く中世以後に用いられ、目下身分の低い者に呼びかける語。そなた。のちには、相手を卑しめて用いる。おまえ。
狭衣物語(1069‐77頃か)二「われさへ、かくの給ふこそ心憂けれ」
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「シュクラウ vareua(ワレワ) ドコエ ユクゾト トウニ」

わろ【我・吾】

〘代名〙 自称。「われ(我)」の上代東国方言か。一説に、代名詞「わ」に接尾語「ろ」の付いたものとも。
万葉(8C後)二〇・四三四三「和呂(ワロ)旅は旅と思(おめ)ほど家(いひ)にして子持(め)ち痩(や)すらむ我が妻(み)(かな)しも」

わぬ【我・吾】

〘代名〙 自称。「われ(我)」の上代東国方言。
※万葉(8C後)一四・三四七六「うべ子なは和奴(ワヌ)に恋ふなも立と月(つく)のぬがなへ行けば恋ふしかるなも」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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