(読み)イワイ

デジタル大辞泉 「祝」の意味・読み・例文・類語

いわい〔いはひ〕【祝(い)/斎】

めでたいとして喜ぶこと。祝賀。「米寿の―」
祝う気持ちを示す言葉や金品。「お―を述べる」
(斎)心身を清らかにして神を祭ること。
「朕みづからうつし―をなさむ」〈神武紀〉
(斎)神を祭る所。また、人。
「是の皇女ひめみこ、伊勢の大神おほむかみの―に侍り」〈雄略紀〉
[下接語]内祝いうぶ祝い産衣うぶぎの祝い快気祝い賀の祝い喜の字の祝い心祝い名付け祝い八十八の祝いへこ祝い祝い前祝い身祝い水祝いよねの祝い
[類語]祝賀よろこび満悦愉悦喜悦喜色歓喜歓心狂喜驚喜随喜大悦恐悦法悦愉楽悦楽愉快大喜び糠喜び空喜び

しゅく【祝】[漢字項目]

[音]シュク(呉)(漢) シュウ(シウ)(漢) [訓]いわう はふり ほぐ
学習漢字]4年
シュク
いわう。いわい。「祝宴祝賀祝辞祝日祝杯祝福祝勝会慶祝奉祝
のりとをあげる。神に祈る。「祝祷しゅくとう
神主。神官。はふり。「巫祝ふしゅく
〈シュウ〉いわい。「祝儀祝言
[名のり]い・いわい・とき・のり・はじめ・ほう・よし
[難読]酒祝さかほが祝詞のりと祝部はふりべ

はふり【祝】

《罪やけがれをはふり清める意》神社に属して神に仕える職の一。ふつう神主禰宜ねぎより下級の神職をいう。

しゅく【祝】

祝うこと。多く、名詞に冠して、その事柄を祝う意を表す。「開店」「御入学」

しゅう【祝】[漢字項目]

しゅく

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精選版 日本国語大辞典 「祝」の意味・読み・例文・類語

はふり【祝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はふる(放)」の連用形名詞化したもの。後世「はうり」「ほうり」とも ) 神社に属して神に仕える職。また、その人。しばしば神主(かんぬし)・禰宜(ねぎ)と混同され、三者の総称としても用いられるが、区別する場合は、神主の指揮を受け、禰宜よりもより直接に神事執行に当たる職をさすことが多い。その場合、神主よりは下位であるが、禰宜との上下関係は一定しない。はふりこ。はふりし。はふりと。はふりべ。ははり。
    1. [初出の実例]「祝三人、起正月一日七月卅日」(出典正倉院文書‐天平二年(730)大倭国正税帳)
    2. 「春日のねぎ・はうり、かうぶり給はりてくらゐまさせ給ふ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)もとのしづく)

しゅく【祝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神をまつって願いごとをすること。また、神をまつることをつかさどる人。かんぬし。はふり。
  3. めでたいよろこび事を祝うこと。多く名詞の上に付けて、その名詞の示す事柄を祝う意に用いる。
    1. [初出の実例]「日章旗を交叉した間に勘亭流で『祝開店、佐渡屋さん』と書いたびらを」(出典:星座(1922)〈有島武郎〉)

ゆわいゆはひ【祝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ゆわう(祝)」の連用形の名詞化 ) 祝うこと。祝賀。いわい。
    1. [初出の実例]「くひにんの時おびめされ候事〈略〉御ゆわゐの御酒、三献参候」(出典:娵入記(1443‐73頃))

ほうりはうり【祝】

  1. 〘 名詞 〙はふり(祝)

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普及版 字通 「祝」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)
人名用漢字 10画

[字音] シュク・シュウ(シウ)
[字訓] いのる・はふり・いわう

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
示+兄。示は祭卓。兄は祝の器である(さい)を戴く人の形で、巫祝。〔説文〕一上に「祭に贊詞を(つかさど)るなり」とあり、〔詩、小雅、楚茨〕に「工、致す」とみえるものである。女巫を巫、男巫を祝といい、また覡(げき)という。〔段注〕に「人の、口を以てはるなり」とするが、祝の奉ずるものは、祝詞を収めた器である。祝の長官は大祝。祭政的な政治が行われた古代には、大祝が聖職者として最高の地位にあり、周公の子伯禽の作器に〔大祝禽鼎〕がある。また〔禽(きんき)〕に「某(はか)(謀)り、禽(いの)る」とあって、周公父子が神事に当たる聖職者であった。王朝滅亡の後には、その祝は賤官とされ、〔儀礼〕には夏祝・商祝は喪祭の末事に従うものとされた。

[訓義]
1. いのる、ねがう、のろう、のりと。
2. はふり、神官、神主。
3. いわう、いわい。
4. 注と通じ、そそぐ、つける。
5. (しよく)と通じ、断つ。

[古辞書の訓]
名義抄 イハフ・ハフリ・シク・マサル・ネグ・イノル・マツル・シルシ・イタル・オクル。今呪に作る

[語系]
・呪tjiukは同声。tjiu、tiudiuも声義近く、みな呪詛・祝に関する字である。は呪祝のときには(しゆう)の音でよむ。tiokと通じ、切る意に用いることがある。

[熟語]
祝詛・祝噎・祝饐・祝延・祝宴・祝・祝・祝賀・祝官祝祈・祝規・祝敬・祝慶・祝・祝号・祝宰・祝冊・祝史・祝師・祝祠・祝辞・祝寿・祝祝・祝捷祝誓・祝宗・祝・祝白・祝髪・祝板・祝付・祝祓・祝文・祝幣・祝薬・祝融・祝釐・祝郎
[下接語]
祈祝・慶祝・工祝・宰祝・尸祝・史祝・寿祝・瑞祝・宗祝・喪祝・大祝・致祝・祝・祝・巫祝・奉祝・卜祝

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改訂新版 世界大百科事典 「祝」の意味・わかりやすい解説

祝 (はふり)

古代以来の神職の名称の一つ。〈ほうり〉ともいい,祝部(はふりべ)とも称した。一般には禰宜(ねぎ)の下位に属した。その語義については,〈はらう〉の義,〈放り,葬り,屠り〉に通じる語,あるいは〈羽振〉であるとして,神前に衣の袖を振り,舞を奏したことから起こる語ともいうが未詳。初見は《日本書紀》仲哀天皇8年正月条で,海路安全を祈るため〈倭国の菟田(うだ)の人伊賀彦を以て祝として祭らしむ〉とある。令制下において,諸社の祝は国司が神戸から簡定することになっており,もし神戸に人がいない場合は庶人を採ることになっていた。諏訪大社には大祝,権祝,擬祝,副祝などの職名があり,また阿蘇神社には一祝から十祝に及ぶ職階と国造祝,金凝祝があった。
執筆者:

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「祝」の解説


はふり

「はぶり・ほうり」とも。神職一般をいうが,神主・禰宜(ねぎ)につぐ神事奉仕者を表すことが多い。罪や汚れを放る人の義の「はぶり」,斎(いわ)い祭る義の「いはふり」,葬祭・埋葬の「はふる」などを語源とするともいう。古代においては,神憑(かみよ)りして託宣を告げる者や,祭主ではないが仲介的に神へ奉仕する者を意味する一方で,神職を示す場合もある。中世には男性を祝・祝人(はふりと),女性を祝女(はふりめ)・祝子(はふりこ)と称し,とくに女性は巫女(みこ)としての機能をもった。信濃の諏訪大社や伊予の大山祇(おおやまづみ)神社には,大祝(おおはふり)・小祝・権祝(ごんのはふり)・擬祝(ぎはふり)などの別称があり,肥後の阿蘇神社では一祝(いちのはふり)から十祝まである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祝」の意味・わかりやすい解説


はふり

古く神社に奉仕した神職の一つ。「ホウリ」ともいい、祝部とも記した。仲哀(ちゅうあい)天皇紀8年正月条には、伊賀彦(いがひこ)を祝として神を祭らしめたとある。古くは宮司(ぐうじ)、禰宜(ねぎ)、祝など、神職の職名は神社によって異なり、祝も一部の神社に置かれた。諏訪(すわ)大社には、鎌倉時代初期に、大祝(おおほうり)、権祝(ごんのほうり)、擬(こりの)祝、副(そえの)祝などの職名がみえ、このうち大祝だけは生き神のように扱われた。大祝は大山祇(おおやまづみ)神社にもいた。阿蘇(あそ)神社、鹿島(かしま)神宮ほかに祝がいた。

[沼部春友]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「祝」の意味・わかりやすい解説


はふり

古代における神職の一つ。ほうりともいい,祝人とも書き神社に奉仕する者をいう。大祝,権祝,擬祝,副祝,一祝,二祝,三祝,四祝などの序列があった。神主,禰宜などと連称されるが,神主,禰宜との職掌的,階層的相違は必ずしも明確ではない。


しゅく
zhu

中国の打楽器。下方がやや狭くなっている木製の箱で,木の棒で底を突いて音を出す。古代の雅楽で,演奏の開始や終止の合図として用いられた。祝は雅楽と一緒に朝鮮にも伝えられ,側板も打つなどの新しい工夫が加えられている。

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デジタル大辞泉プラス 「祝」の解説

祝(いわい)

酒造好適米の品種のひとつ。京都府立農事試験場で1933年に育成。在来品種である野条穂から純系分離された。長棹で収穫量に問題があったため、1974年に栽培中止となっていたが、1991年に復活した。

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百科事典マイペディア 「祝」の意味・わかりやすい解説

祝【はふり】

斎(いつき)・祝

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【民謡】より

…(6)道歌 馬子歌,牛方歌,木遣(きやり)歌(木遣り),道中歌など。(7)祝(いわい)歌 座敷歌,嫁入歌,酒盛歌,物吉歌など。(8)祭歌 宮入歌,神迎歌,神送歌など。…

※「祝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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