(読み)シ

デジタル大辞泉 「師」の意味・読み・例文・類語

し【師】

[名]
学問技芸教授する人。師匠。先生。「の教え」
僧・神父牧師などを敬っていう語。
中国、周代の軍制で、5りょすなわち2500人の称。転じて、軍隊。「征討を起こす」
[接尾]
技術・技芸などを表す語に付いて、その技術の専門家であることを表す。「医」「理髪
僧侶・神父などの姓氏に付けて、尊敬の意を表す。「ホメイニ
[類語](1師匠師範インストラクターコーチ先生指南役宗匠師父教師教員教諭教授教官講師ティーチャープロフェッサーチューター尊師恩師旧師先師名誉教授・客員教授・助教授准教授助教助手

し【師】[漢字項目]

[音](呉)(漢)
学習漢字]5年
兵士集団。軍隊。「師団王師出師すいし
多くの人々の集まる所。「京師けいし
人を教え導く人。先生。「師事師匠師弟師範恩師教師講師こうし・こうじ先師祖師導師法師牧師老師
専門の技術をもつ人。「医師絵師技師仏師山師やまし猟師漁師
[名のり]かず・つかさ・のり・みつ・もと・もろ
[難読]師走しわす・しはす塗師ぬし香具師やし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「師」の意味・読み・例文・類語

し【師】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 学問や技芸などを人に教授する者。先生。師匠。
      1. [初出の実例]「専心不利徒尋譜、用手多迷数問師」(出典:菅家文草(900頃)一・停習禅琴)
      2. 「学士をかへて、琴の師をつかうまつれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
      3. [その他の文献]〔書経‐泰誓〕
    2. 仏語。道を説いて弟子を導く僧。出家の際にたちあう得戒師、戒定慧の三学を教える依止師などの称。
      1. [初出の実例]「西寺の 老鼠(おいねずみ) 若鼠 御裳(おんしゃう)(つ)むつ 袈裟喰むつ 袈裟喰むつ 法師に申さむ 師に申せ 法師に申さむ 師に申せ」(出典:催馬楽(7C後‐8C)老鼠)
    3. 周代の軍制で、二五〇〇人が一隊の称。転じて、軍隊。また、戦争。
      1. [初出の実例]「畢竟大事いでくる時、兵戦軍法のそなへなくてはあるべからず。これを師(シ)と云」(出典:寸鉄録(1606))
      2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・黍苗〕
    4. 易の六四卦の一つ。師の卦。。上卦は坤(こん)(=地)、下卦は坎(かん)(=水)。地下師ともいう。坤は従順の徳を、坎は艱難を表わし、艱難に際して民が従順に従うさまを示すとされ、君主、戦争、将軍などを象徴するという。
      1. [初出の実例]「我らが本卦師(シ)の卦に当て、師は軍の義也」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)二)
      2. [その他の文献]〔易経‐師卦〕
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. ( サ変動詞「する」の連用形「し」の名詞化したもので、「師」はあて字とも ) 技術、技芸などを表わす語に付けて、その専門家であることを表わす。「画師」「薬師(くすし)」「経師(きょうじ)」「講談師」など。
    2. 僧侶、神父などの姓氏に付けて尊敬の意を表わす。
      1. [初出の実例]「智蔵師者、俗姓禾田氏。淡海帝世、遣学唐国」(出典:懐風藻(751)釈智蔵伝)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「師」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音]
[字訓] いくさ・せんせい

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 会意
(し)+(し)。は軍が出行するとき、軍社に祀った肉の象形。将軍はこの祭肉を携えて出行する。(そう)(めぐる)とは別の字で、把手のある曲刀の刃部に、血止めの叉枝を加えている形で、肉切りの丁の類。肉をこれで切りとって携行する意で、師旅の意となる。〔説文〕六下に「二千五百人を師と爲す。に從ひ、に從ふ。の四なるは、衆のなり」という。を〔説文〕十四上は小阜(ふ)の象と解しており、その阜を(めぐ)るほどの人であるから師衆の意となるとするが、卜文・金文の字形が示すようには肉の形。古くはがそのまま師の意で、卜辞には三軍を三といい、将軍・師長の職を「般」のようによぶ。すなわちは師の初文。卜文に、の下に一・二の横画を加えて、を安置するところを示し、軍の基地・駐屯地を示す。を安置する前に標木の朿(し)を立てたものは。のちが駐屯地を意味した。久しく基地とするところではを建物中に安置し、官という。官はまた将軍の居るところで、(館)という。朿はまた軍門に用い禾(か)という。軍を分遣するときその肉を分与したので、(遣)という。〔説文〕はを阜にして土堆丘陵の意と解したため、系の字形解釈をすべて誤ることとなった。師長が軍職を退いたのち、氏族子弟の教育にあたり、教学や軍楽のことを教えたので、教学・音楽は師氏の職掌とされた。〔周礼〕の師系統の職事は、多くこのような氏族社会の伝統から発している。

[訓義]
1. 軍社の祭肉を切る刀、その刀を扱う人、師官、軍官。
2. 将軍、軍隊、軍団。
3. いくさ、戦争。
4. 師長、先生、楽官、諸学技芸・伝統的な習俗の伝承者、官吏。
5. 師衆、多くの人、大衆、もろもろ
6. ならう、のっとる、したがう。

[古辞書の訓]
名義抄〕師 イクサ・ツカウマツル・キミ・ノリ・シタガフ・モロモロ・イクサダチス 〔字鏡集〕師 モロモロ・シタガフ・ツカサ・ツカフマツル・イクサ・カタチ・ノリ・モロ・ヒトキミ

[声系]
〔玉〕に師声として獅を収め、「猛獸なり」という。漢の順帝のとき、はじめて西域より献じたという。鰤は〔広韻〕に「老魚なり」とあり、わが国ではぶりをいう。

[熟語]
師位・師姨・師役・師恩・師家・師学・師干・師期・師教・師矩・師君・師訓・師兄・師言・師古・師姑・師工・師公・師行・師号・師祭・師子・師氏・師師・師資・師事・師式・師主・師儒・師授・師衆・師術・師胥・師承・師匠・師娘・師職・師心・師人・師説・師宗・師帥・師尊・師長・師弟・師伝・師徒・師道・師婆・師伯・師範・師比・師表・師傅・師巫・師風・師保・師父・師輔・師母・師姆・師姥・師慕・師模・師・師法・師命・師門・師爺・師友・師吏・師律・師旅・師令・師郎
[下接語]
医師・雨師・鋭師・王師・恩師・楽師・技師・吉師・旧師・御師・漁師・教師・軍師・京師・経師・遣師・賢師・厳師・工師・講師・国師・済師・三師・士師・事師・舟師・楫師・少師・常師・心師・真師・人師・水師・出師・成師・請師・先師・僭師・祖師・宗師・大師・太師・陳師・帝師・天師・道師・導師・読師・農師・班師・父師・風師・仏師・法師・卜師・牧師・薬師・輿師・鷹師・律師・良師・猟師・老師・労師

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【グル】より

…〈重い〉という意味のサンスクリットの形容詞で,転じて〈重んずべき人〉をさす名詞となった。インドで父・母をはじめ目上の人一般をさして用いられるが,なかでも〈師〉の意味で用いることがもっとも多い。インドではベーダ時代以来,少年期に師のもとでベーダを学習する定めがあり,グルすなわち師は精神的指導者として最上級の尊敬を受けた。…

※「師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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