腐っても鯛(読み)クサッテモタイ

デジタル大辞泉 「腐っても鯛」の意味・読み・例文・類語

くさってもたい

すぐれたものは、いたんでもそれなりの値打ちは保っているということのたとえ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 「腐っても鯛」の解説

腐っても鯛

もともと立派なものや優れた価値のあるものは、落ち目になったり悪条件のもとにおかれても、なおそのよさや品格を保つことのたとえ。

[使用例] でもいくら何をどうしようとて、師匠がいくら骨を折ってくれても真打にしてくれ手もないこの私。三遊派という腐っても鯛の大きな大きな屋体骨を背負って立つには、あまりにも自分というものが非力過ぎた、貧弱過ぎた[正岡容*小説 円朝|1943]

[使用例] 主人の母は景品残りの縞をくれた。これもないわけには行かぬ。ふくれっ面にしぶしぶ小僧の著物を著て父の前へ出たら、慰めてくれるどころか、「さすがは新川、腐っても鯛、とうざんとは渋い渋い」と大笑いに笑われた[幸田文*こんなこと|1950]

[解説] 古くは、中国にならい鯉を最上位の魚としましたが、江戸中期には、姿や色が美しく味もよいことから、鯛を最高級の魚と評価するようになりました。また、「めでたい」に通じることから祝い膳に欠かせないものとなり、進物にも用いられました。福の神の恵比須が抱えているのも鯛で、正月には干鯛二尾を縄で結び合わせ、かまど門松にかけて飾る懸け鯛もありました。
 「腐っても」という背景には、正月に塩焼きにして飾った鯛を、後日吸い物煮物などにする風習があったようです。鯛は身がしっかりしていて、少し古くなって多少臭ってきても、外見があまり変わらず、品位を保っているように見えることから言い出されたものでしょう。ことわざは比喩的に使われ、品物とかぎらず、没落した旧家大店などについていうことが少なくありません。

〔中国〕痩死的駱駝比馬大(やせ細ったラクダでも馬よりは強い)

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