規矩準縄(読み)キクジュンジョウ

デジタル大辞泉 「規矩準縄」の意味・読み・例文・類語

きく‐じゅんじょう【規×矩準縄】

《「孟子」離婁上から。「準」は平をはかるみずもり、「縄」は直をはかるすみなわ》物事行動規準になるもの。法則規則手本
[類語]規則決まり定め規定規程条規定則規約約束規準規律ルールコード本則総則通則細則付則概則おきて模範的象徴的代表的典型的標準的ティピカル模範手本規範モデル典型亀鑑規矩きく文範見本かがみ範例標本サンプル雛形ひながた書式好例適例スタンダードフォーマット王道師表基準り所類型定型様式化スタイルフォーマル公式正則正統正統派正調本式本格的正規正式まっと正道折り紙付き太鼓判をパーフェクト非の打ち所が無い完璧万全完全無欠傑出大出来紋切り型腐ってもたい

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精選版 日本国語大辞典 「規矩準縄」の意味・読み・例文・類語

き‐く‐じゅん‐じょう【規矩準縄】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「規」はぶんまわし。「矩」はさしがね。「準」はみずもり。「縄」はすみなわ ) 物の標準となるもの。法則、てほん、のり、の意に用いる。
    1. [初出の実例]「職墨、墨は縄墨ぞ。規矩準縄を本にするぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
    2. 「大みせには小みせしたがひ、姉女郎には妹そむかず、きくじゅんじゃうの法きびしく」(出典:洒落本・淫女皮肉論(1778)深川の密談)
    3. [その他の文献]〔孟子‐離婁・上〕

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四字熟語を知る辞典 「規矩準縄」の解説

規矩準縄

物事や行為などの標準となるもの。法則、てほん、のり、の意に用いる。

[使用例] 彼らは自ら少しの反省をなすこともなしに、人間はこんなもの、社会はこんなもの、女はこんなものなどと勝手に決めてしまい、そしてそれにかなった幾つかの規矩準縄を作ってひたすらにそれを実行しようとしておる[三木清*語られざる哲学|1919]

[使用例] 他人行儀でありすぎもしないし、無礼講というのでもない。私などは、そういうふうにして、穏かに、和気藹々あいあいとして一生を送りたいのである。そういうところにとどまっていると、デカダンスの面白さもわかるし、てんで杓子定規な、規矩準縄の厳粛さにも一脈の同情を持つことができる[福原麟太郎*人生の幸福|1959]

[解説] 「孟子」に出てくることばで、四つの道具の名前が並んでいます。「規」はコンパス。「矩」は物差し。「準」は水準器(水平を測る道具)。そして、「縄」はすみなわ(墨をつけた縄をはじいて直線を引く道具)のことです。
 ここから、「規矩準縄」は、ものごとの規準を表すようになりました。この「規準」ということば自体、「規矩準縄」の一部を取り出して作られています。
 新聞社では「規準」と「基準」を区別せず、後者に統一しています。ただ、両者の意味は本来、微妙に違います。
 「規準」は、それに従うように定められたものです。一方、「基準」はもとを示すもので、場合によっては、そのとおりでなくてもいい場合があります。
 辞書は、よく前者の「規準」、つまり「規矩準縄」だと思われがちです。でも、実際は違います。辞書はあくまで、ひとつの「基準」を提案するものです。決して偉そうな「規準」ではありません。

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改訂新版 世界大百科事典 「規矩準縄」の意味・わかりやすい解説

規矩準縄 (きくじゅんじょう)
guī jǔ zhǔn shéng

規はコンパス,矩は直角定規のことで,それぞれ円形と方形を作り出すための器具。準は水準器,縄は下げ振り縄のことで,それぞれ水平と垂直を作り出すための器具。とくに古代中国では,これらが世の中の物事を統制維持する標準の意味を象徴した。《孟子》をはじめ多くの古典に,規矩準縄が天下治平には必要であると説かれている。また画像石や壁画には神話天子伏羲ふくき)と女媧(じよか)がそれぞれ矩と規をもった図がある。
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