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マニア

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マニア

(1) mania「狂気」の意のギリシア語。 entheos (神的霊感を受けている) ,enthousiasmos (神的霊感) と密接な連関をもつプラトン哲学の主要概念で,病人の気とは異なる神の贈り物としての神的狂気をいう。マニアは有限的存在,死すべき存在としての人間に日常性,時間性の軛を断って永遠的なるもの (価値,イデア) と出会う超越的な力を与える。神によりマニアに与えられたものとして mantikē (予言術) ,oiōnistikē (占い術) ,mousikē (ムーサの神にかかわる文芸,技芸) ,erōtikē (エロスにかかわる術) があげられる。 (2) 一般に,1つのことに熱中する人をさす。 (3) 躁うつ病のこと。

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デジタル大辞泉の解説

マニア(mania)

ある物事に熱中している人。「カメラマニア」「オーディオマニア

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大辞林 第三版の解説

マニア【mania】

特定の分野・物事を好み、関連品または関連情報の収集を積極的に行う人。 「鉄道-」 「切手-」 → おたく(御宅)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マニア
まにあ
maniaギリシア語

「狂気」の意。古代ギリシアでは肉体の病による狂気のほかに、神に由来する狂気があると考えられていた。そこには涜聖(とくせい)の罪や魂の汚れの報いとしての狂気(ホメロス、ヘロドトス、エンペドクレス学派)と神の贈与としての狂気(ディオニソス信仰――エウリピデスの『バッカスの巫女(みこ)たち』に典型的描写がみられる)の両方が含まれる。[尼ケ紀久子]

神的狂気の四形態

プラトンはその『パイドロス』において、人間にとって最大の善の源泉となる神的狂気の四形態をあげている。すなわち、(1)アポロンによる予言的狂気、(2)ディオニソスによる祭儀的狂気、(3)ムーサの女神による詩的狂気、(4)アフロディテとエロスによる愛の狂気である。このうち(1)~(3)は、当時のギリシア人にとってすでになじみの深い狂気であった。これらの狂気は人間の知識や技術を超えて、価値高きものを生み出すために、超自然的起源として措定される。他方(4)の狂気は、美しい恋人への愛(エロス)を通して美のイデアへの根源的な愛が発現した状態としてソクラテス哲学の本質にかかわるものであり、美的経験は人が自己の神的本性とその本性からの離反を自覚するための重要な契機であって、そこから神的境位への還帰の運動としての哲学が生まれるのである。このとき下界の秩序を忘れて上方のイデアの世界にあこがれるさまがはた目には狂気と映るが、その理性はむしろ人間的狂気の段階よりも覚醒(かくせい)した本来の相にある。したがってエロスの狂気は、神の恵みであると同時に理性本来の主体的活動を要請するものである。
 このように神の恵みとしての狂気には、いわば理性を放棄した状態に与えられる狂気と、理性自体に与えられる狂気があることになり、後者にあずかって高次の生へ参入することこそ哲学する者の最善の選択である。
 (3)のムーサの狂気、すなわち詩人が神がかりの熱狂状態で詩作するという観念は、プラトン以前にデモクリトス『断片17、18』にみられるが、詩神と詩人の関係そのものはさらに古く叙事詩の伝統にまでさかのぼる。芸術の自律的価値を認めたアリストテレスは詩人の天分・素質と結び付いて現れる狂気をもまた積極的に認める(『詩学』『弁論術』)。ただし、このような創作の自然的ないし超自然的契機は技術的契機(技巧)と相補的関係に置かれなければならず、人間の制作の努力は放棄されない。霊感による詩作という観念はローマ時代のキケロ『詩人アルキアース弁護』、ホラティウス『詩について』に受け継がれ、中世に断絶したが、ルネサンスとともに復活して後のロマン主義的な天才概念の胚種(はいしゅ)となる。[尼ケ紀久子]

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