覗く(読み)ノゾク

デジタル大辞泉 「覗く」の意味・読み・例文・類語

のぞ・く【×覗く/×覘く/×窺く/臨く】

[動カ五(四)]
物陰やすきま、小さな穴などから見る。「鍵穴から―・く」「部屋を―・く」
装置を用いて物体を見る。「望遠鏡を―・く」
高い所から低い所を見る。「谷底を―・く」
ひそかにようすをうかがう。また、隠しごとや秘密にしている物などをこっそりと見る。「私生活を―・く」「娘の日記を―・く」
ちょっと見る。また、本格的でなくほんの一部分だけを知る。「大人の世界を―・く」「経済学を―・いたことがある」
ちょっと立ち寄る。ついでに訪れる。「古本屋を―・く」
一部分が現れ出る。一部が外から見える。「葉の間から青空が―・く」「襟元からスカーフが―・いている」
臨む。目の前にする。
「水に―・きたる廊に造りおろしたる橋の」〈・椎本〉
[可能]のぞける
[類語](1垣間見る盗み見るのぞき込むうかがのぞき見透き見物見高い物好き物好きしゃ好事こうず好事家こうずか酔狂道楽数寄すき多趣味悪趣味好奇好奇心新しがり新しがり屋新し物好き初物食い心寄せ好き好き気に入りお気に入り趣味好み嗜好しこう同好横好き愛惜こだわるこだわりいかれる凝り性偏執狂マニアマニアックモノマニアックモノマニアむしおたくつうれ者凝り屋愛好のぞき見る野次馬野次馬根性興味本位興味津津しんしんの目たかの目目を輝かす目を奪われる見る目ぐ鼻ぎ回る助平根性物珍しい/(7現れる出現する現出する登場する現前する顕現する生ずる現ずる出来る台頭デビュー誕生登板お目見えのし上がる躍り出る頭角を現す頭をもたげる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「覗く」の意味・読み・例文・類語

のぞ・く【覗・覘・臨】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. ( 臨 ) それに向かって見えやすい位置をしめる。間近にさしかかる。臨む。
      1. [初出の実例]「この平張はかはにのぞきてしたりければ、づぶりとおちいりぬ」(出典:大和物語(947‐957頃)一四七)
      2. 「人々、渡殿より出でたる泉にのぞきゐて、酒飲む」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    2. 一部分があらわれ出る。
      1. [初出の実例]「上塗をせぬ土塀から見越しの赤松が覗(ノゾ)いた門構への平家造りの家だった」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. すきまや穴を通して向こうを見る。
      1. [初出の実例]「林、佇(ノソキテ)看れば、草の中に太快しく肥えたる女有り。〈真福寺本訓釈 佇 乃曾支天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
    2. ひそかに様子を見る。うかがい見る。また、他人のかくしごとや秘密などをそっと見る。「娘の日記を覗く」
      1. [初出の実例]「ヲソロシナガラ nozoite(ノゾイテ) ミレバ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. ちょっと見る。ざっと見る。ちょっと立ち寄って見る。
      1. [初出の実例]「わざとなく忍びやかにうちふるまひ給ひてのぞき給へるもめづらしきに添へて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)花散里)
      2. 「両側の夜見世を窺(ノゾ)きながら、文三がブラブラと神保町の通りを通行した頃には」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
    4. 身をのり出して低い所を見る。見おろす。また、首をのばすようにしてそれを見る。
      1. [初出の実例]「河ちかき所にて水をのぞき給ていみじうなき給き」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)
    5. 写したり見たりする装置や道具に目を近づけて、物を見る。「望遠鏡を覗く」
      1. [初出の実例]「水中眼鏡で覗(ノゾ)くと、五六尾の背の黒い魚等が」(出典:自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉湘南雑筆)
    6. 将棋で、角行が端の筋に動いて敵陣脅威を与える。また、囲碁で、一路あけて並んでいる相手の石の連絡をおびやかす位置に石を打つ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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