窺う(読み)ウカガウ

デジタル大辞泉 「窺う」の意味・読み・例文・類語

うかが・う〔うかがふ〕【×窺う】

[動ワ五(ハ四)]
すきまなどから、ひそかにのぞいて見る。「鍵穴から中を―・う」
ひそかにようすを探り調べる。「顔色を―・う」「ライバル会社の動きを―・う」
一部分から全体を推し量って知る。それとなくようす、状況を察する。「意気込みのほどが―・われる」「その一斑いっぱんを―・うことができる」
ようすを見て、好機の訪れるのを待ち受ける。「逃走時機を―・う」
一応心得ておく。
弓射、馬に乗ること…必ずこれを―・ふべし」〈徒然・一二二〉
調べ求める。調べ探す。
「近く本朝を―・ふに」〈平家・一〉
[可能]うかがえる
[類語](1覗く垣間見る盗み見るのぞき込む覗き見透き見/(2ねらうつけねらう探る狙い澄ます狙いを付ける虎視眈眈の目たかの目物見高い物好き物好きしゃ好事こうず好事家こうずか酔狂道楽数寄すき多趣味悪趣味好奇好奇心新しがり新しがり屋新し物好き初物食い心寄せ好き好き気に入りお気に入り趣味好み嗜好しこう同好横好き愛惜こだわるこだわりいかれる凝り性偏執狂マニアマニアックモノマニアックモノマニアむしおたくつうれ者凝り屋愛好のぞのぞき見のぞき見るのぞき込む盗み見る透き見野次馬野次馬根性興味本位興味津津しんしん目を輝かす目を奪われる見る目ぐ鼻ぎ回る助平根性物珍しい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「窺う」の意味・読み・例文・類語

うかが・ううかがふ【窺・伺】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. [ 一 ] ( 窺 ) ( 古くは「うかかう」 )
    1. 様子などをひそかにさぐる。
      1. (イ) 物のすきまなどから、そっと様子をのぞき見る。
        1. [初出の実例]「御間城入彦はや〈略〉一に云ふ、大き戸より 于介伽卑(ウカカヒ)て 殺さむと すらくを知らに 姫遊(ひめなそ)びすも」(出典:日本書紀(720)崇神一〇年九月・歌謡)
      2. (ロ) (それとなく)様子をさぐる。
        1. [初出の実例]「御使に人を添へ、あか月の道をうかがはせ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
        2. 「政清先まかり向候て、ことの躰伺(ウカガヒ)候べし」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
    2. ひそかに時機の来るのを待つ。
      1. (イ) ある状態になるのを、そっと待つ。
        1. [初出の実例]「もののふのねしづまるをうかがひて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
      2. (ロ) 機を見て何かを得ようとねらう。すきをねらう。
        1. [初出の実例]「蘇我臣入鹿が〈略〉社稷(くに)(ウカカフ)(はかりこと)を挟(わいはさ)むことを憤(いく)みて」(出典:日本書紀(720)皇極三年正月(岩崎本訓))
        2. 「西寂(さいじゃく)を打ちとらんとぞうかがひける」(出典:平家物語(13C前)六)
    3. 調べ求める。調べ捜す。
      1. [初出の実例]「其の是非を窺(ウカカヒ)て、還りて我が衆に帰く」(出典:守護国界主陀羅尼経巻八平安初期点(900頃))
    4. 物事の一端を知る。いちおう知っておく。また、推定する。察知する。
      1. [初出の実例]「弓射(ゆみい)・馬に乗ること、六芸に出せり。必ずこれをうかがふべし」(出典:徒然草(1331頃)一二二)
  3. [ 二 ] ( 伺 ) [ 一 ]から転じて、貴人、目上の人などに対する謙譲語として使われるようになったもの。
    1. 「問う」「聞く」の謙譲語で、その動作の相手を敬う。
      1. (イ) 神仏や目上の人などに指図、意見などを仰ぐ。うかがいをたてる。
        1. [初出の実例]「院宣うかがはうに一日が逗留(とうりう)ぞあらんずる」(出典:平家物語(13C前)五)
      2. (ロ) 目上の人に対して質問する。お尋ねする。とくに健康や安否などを尋ねる。
        1. [初出の実例]「キゲンヲ vcagǒ(ウカガウ)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
      3. (ハ) 目上の人の話や歌などを聞く。聞かせていただく。
        1. [初出の実例]「お嬢さん〈略〉は、お琴がとんだお上手ださうでございますが、竟(つひ)に私は伺(ウカガ)ひません」(出典:人情本・花筐(1841)三)
    2. 「訪問する」の謙譲語で、相手をうやまっていう。目上の人をお訪ねする。
      1. [初出の実例]「お帰京と聞たから、早速伺(ウカガ)はうと思ったが」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一六)
    3. 相手にとっていやなものを与える。お見舞いする。
      1. [初出の実例]「君を一太刀うかがひ奉て、後生のうったへに仕るべきか」(出典:曾我物語(南北朝頃)一〇)
    4. ( 「ごきげんをうかがう」の意から転じて ) 寄席などで客に話をする。さらに転じて、一般に、あることについて大勢に説明する。講義する。「一席伺う」の形で用いることが多い。
      1. [初出の実例]「是れからが肝腎要(かなめ)、回を改めて伺ひませう」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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