好事(読み)コウズ

デジタル大辞泉 「好事」の意味・読み・例文・類語

こう‐ず〔カウ‐〕【好事】

珍しい変わった物事を好むこと。また、風流を好むこと。物好き。こうじ
「余裕ある人に共通な―を道楽にしている」〈漱石
[類語]物見高い物好き物好きしゃ好事家こうずか酔狂道楽数寄すき多趣味悪趣味好奇好奇心新しがり新しがり屋新し物好き初物食い心寄せ好き好き気に入りお気に入り趣味好み嗜好しこう同好横好き愛惜こだわるこだわりいかれる凝り性偏執狂マニアマニアックモノマニアックモノマニアむしおたくつうれ者凝り屋愛好のぞのぞき見のぞき見るのぞき込む盗み見るうかが透き見野次馬野次馬根性興味本位興味津津しんしんの目たかの目目を輝かす目を奪われる見る目ぐ鼻ぎ回る助平根性物珍しい

こう‐じ〔カウ‐〕【好事】

よいこと。喜ばしいこと。
よい行い。
こうず(好事)
[類語]吉事慶事おめでた寿ことぶききちめでたい喜ばしい慶賀恭賀謹賀奉賀奉祝慶祝大慶同慶御慶ぎょけい慶福祝賀祝着しゅうちゃく祝福祝勝喜ぶ大吉祝い事晴れの日賀する祝う祝することほぐ佳日吉日恐悦

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精選版 日本国語大辞典 「好事」の意味・読み・例文・類語

こう‐じカウ‥【好事】

  1. 〘 名詞 〙
  2. よいこと。都合のよいこと。結構なこと。
    1. [初出の実例]「好事をば譲他人、悪事をば向己志気有るべき也」(出典正法眼蔵随聞記(1235‐38)二)
  3. よい行ない。善事。善行。
    1. [初出の実例]「ただ鬢髪をそるなほ好事なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)法華転法華)
    2. [その他の文献]〔五代史‐唐明宗紀〕
  4. こうず(好事)
    1. [初出の実例]「傷巨三郎、寄北堂諸好事」(出典:菅家文草(900頃)二)
  5. こうずか(好事家)
    1. [初出の実例]「洛陽好事、可五六輩」(出典:詩序集(1133頃)感懐詩序〈藤原明衡〉)
  6. 仏事。法事。
    1. [初出の実例]「棺材を買、好事(〈注〉ホウジ)を修する」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)五)

いい‐こと【好事】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. よいこと。おもしろいこと。楽しいこと。特に男女の事柄についていう。
      1. [初出の実例]「忠五久しいの。いい事でもあるか」(出典:洒落本・辰巳之園(1770))
    2. よいめぐりあわせ。好運。
    3. ( 「に」を伴って ) 口実にして付け込むこと。よい機会。好都合。
      1. [初出の実例]「某(わたし)がずるけると、またいい事にして、若いものもずるけますし」(出典:人情本・孝女二葉錦(1829)初)
  2. [ 2 ] 〘 感動詞 〙 相手に念を押す時に用いる女性語。おもに同等以下の相手にいう。→こと(事)[ 二 ](ハ)。「いいこと。あの角を右にまがるのよ」

こう‐ずカウ‥【好事】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. めずらしいことや変わったことに興味を持つこと。また、風流を愛すること。こうじ。
    1. [初出の実例]「好事之倫、各正其志詠性情者、可思無邪之一助焉」(出典:連理秘抄(1349))
    2. 「京・大坂の好事(カウズ)の者潮干の遊に集り」(出典:仮名草子浮世物語(1665頃)二・六)
  3. こうじ(好事)

すき‐ごと【好事】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 色好みの行為。また、色恋のことば。すきわざ。
    1. [初出の実例]「かの宮にすきごといひける女」(出典:伊勢物語(10C前)七一)
  3. 物好きなこと。
    1. [初出の実例]「『たつのくびの玉取りえずは、帰り来な』とのたまへば、〈略〉かかるすき事をしたまふ事とそしりあへり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))

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普及版 字通 「好事」の読み・字形・画数・意味

【好事】こう(かう)じ・こう(かう)ず

よいこと。〔北夢瑣言、六〕晉の相和凝、少年の時好んで曲子詞を爲(つく)る。~丹(きつたん)夷門に入り、號して曲子相と爲す。謂(いはゆる)好事門を出でず、惡事千里に行くなり。

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