マルクス(カール)(英語表記)Karl Heinrich Marx

山川 世界史小辞典 改訂新版 「マルクス(カール)」の解説

マルクス(カール)
Karl Marx

1818~83

ドイツの社会主義者。トリーアに生まれる。大学で哲学を学び急進的な民主主義者となる。『ライン新聞』によって政府批判を行ったが禁止されてパリに行き,文筆活動を続けながら経済学を勉強し,プロレタリアートの歴史的使命資本主義没落の必然論を説くマルクス主義理論を完成。ベルギーで国際共産主義運動を始め,『共産党宣言』起草し,「共産主義者同盟」の指導者となる。1848年の革命(二月革命)ではパリに,ついでドイツに行き,『新ライン新聞』の主筆として活躍。革命失敗後パリをへてロンドン亡命,終生ここに住んだ。64年「国際労働者協会」(第1インターナショナル)ができるとその理論的指導者となり多くの宣言を起草。しかしバクーニン無政府主義者との対立は激しく,パリ・コミューンののち協会の活動は停止した。大英博物館の図書館で研究を続け,彼の主著『資本論』を執筆,第1巻のみ生前刊行,2,3巻は死後エンゲルスの編で出された。その続きは『剰余価値学説史』としてカウツキーが編集した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マルクス(カール)」の解説

マルクス(カール)
Karl Heinrich Marx

1818〜83
社会主義の革命家・哲学者・経済学者で,第1インターナショナルの指導者
フランス国境に近いプロイセン領トリールの裕福なユダヤ人弁護士の家庭に生まれた。ベルリン大学で法律と哲学と歴史を学び,プロイセンの封建的・反動的体制に反対して自由主義的「ライン新聞」の主筆となり,民衆の利益を擁護して政府と争った。弾圧によってパリに移り,このころヘーゲル哲学の弁証法を弁証法的唯物論に発展させて唯物史観を確立し,友人エンゲルスと共同で『ドイツ−イデオロギー』『共産党宣言』を著した。1848年三月革命が始まると,「新ライン新聞」の主筆として活動し,民主主義革命のためにたたかった。しかし,反革命の勝利により,ドイツを追われて再びパリに赴き,さらにロンドンに亡命。大英博物館の図書館で経済学の研究に専念し,『資本論』(第1巻,1867年)を刊行した。この間,アジアの動乱をはじめ,国際問題にも鋭い分析を加えた評論を数多く発表した。1864年に第1インターナショナルが創立されると,その中心となり,社会主義理論にもとづく革命運動の発展のために指導を続けた。晩年ロシア動向に強い関心をよせつつ,極貧の中で没した。

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