精選版 日本国語大辞典 「鮮やか」の意味・読み・例文・類語
あざ‐やか【鮮やか】
〘形動〙 (「やか」は接尾語)
① ほかのものよりよく目に立つさま。はっきり見えるさま。鮮明な印象を与えるさま。
② 目に立って美しいさま。いきいきして美しいさま。
※枕(10C終)二三「濃き紫の固紋(かたもん)の指貫、白き御衣(おんぞ)ども、うへには濃き綾(あや)のいとあざやかなるをいだして」
③ 新しくて気持がよいさま。新鮮であるさま。いきのいいさま。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「少将、あさのよそひあざやかにて、たいめんし給へり」
※枕(10C終)三六「いとつややかなる板の端近う、あざやかなる畳一ひら、うち敷きて」
④ 容姿などが、すっきりと水際立って立派なさま。
※源氏(1001‐14頃)藤裏葉「いづれとなくをかしきかたちどもなれど、なほ人にすぐれてあざやかに清らなるものから」
⑤ 性質、言動などが、きっぱりしているさま。はきはきしているさま。
※源氏(1001‐14頃)柏木「うちひそみつつぞ見給ふ。御さま、例は心強うあざやかに、誇りかなる御けしき、なごりなく、人わろし」
※浮世草子・西鶴織留(1694)一「長口上あざやかに」
⑥ 際立って見事であるさま。非の打ちどころがない様子。
※歌舞伎・傾城浜真砂(1839)三幕「『痣はあるし平(ひらた)い顔ぢゃが、それでも大の色事師でござります』〈略〉『それと云ふが、これが鮮(アザヤ)かからの事ぢゃ』ト三絃(さみせん)弾く真似をする」
[語誌](1)アザは「あざけり」「あざむき」と同根で、心情に関わりなく強烈にあらわれることをいうか。
(2)語幹を同じくする「あざらか」が魚肉などの鮮度をいうのに対して、「あざやか」は美的形容をもっぱらとしていたが、中世にヤカとラカの区別がうすれるにつれて、「あざらか」が消滅して、「あざやか」が新鮮なの意味でも用いられるようになる。
(2)語幹を同じくする「あざらか」が魚肉などの鮮度をいうのに対して、「あざやか」は美的形容をもっぱらとしていたが、中世にヤカとラカの区別がうすれるにつれて、「あざらか」が消滅して、「あざやか」が新鮮なの意味でも用いられるようになる。
あざやか‐さ
〘名〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報