鮮やか(読み)アザヤカ

デジタル大辞泉 「鮮やか」の意味・読み・例文・類語

あざ‐やか【鮮やか】

[形動][文][ナリ]《「あざ」は新鮮の意》
ものの色彩・形などがはっきりしていて、目立つさま。「鮮やか若葉の緑」「印象鮮やか短編小説
技術動作などがきわだって巧みであるさま。「鮮やかな包丁さばき」
容姿などがきわだって美しいさま。
「いと―に男々しきさまして」〈真木柱
鮮度が高いさま。生き生きとしたさま。
「童子、かの浦に行きて―なるなよし八隻はちしゃくを買ひ取りて」〈今昔・一二・二七〉
[派生]あざやかさ[名]
[類語](1鮮明くっきり綺麗はっきりありありまざまざしか明らかきわやか定かさやか明瞭めいりょう分明顕著顕然歴然歴歴瞭然りょうぜん亮然りょうぜん判然画然かくぜん截然せつぜん見るから明快平明簡明明晰明白明明白白端的めっきり浮き彫りクリア鮮明明確明解自明彷彿鮮烈一目瞭然手に取るようたなごころを指すまがう方ない隠れもない火を見るよりも明らか目に見える言わずと知れたまぎれもない/(3身綺麗綺麗美しい美美びびしいきらやか美麗華麗華美鮮麗流麗壮麗清麗優美美的麗しい見目好い見目麗しい端正端麗秀麗佳麗艶美艶麗あでやか妖麗豊麗妖美見好い小綺麗美妙典麗ビューティフルピトレスクピクチャレスクラブリービューティープリティー楚楚そそ清楚せいそ瀟洒しょうしゃあか抜けこざっぱり洒落しゃれ小洒落こじゃれスマートシックドレッシー純美玲瓏れいろう着映えきらびやか洒落しゃれ薄皮のけたよう

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精選版 日本国語大辞典 「鮮やか」の意味・読み・例文・類語

あざ‐やか【鮮やか】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「やか」は接尾語 )
  2. ほかのものよりよく目に立つさま。はっきり見えるさま。鮮明な印象を与えるさま。
    1. [初出の実例]「高麗縁(かうらいばし)の〈略〉縁(へり)の紋いとあざやかに黒う白う見えたるを」(出典:枕草子(10C終)二七七)
    2. 「目すこし腫(は)れたる心ちして、鼻などもあざやかなる所なうねびれて、にほはしき所も見えず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
  3. 目に立って美しいさま。いきいきして美しいさま。
    1. [初出の実例]「但し朝野(みやこひな)の衣冠、未だ鮮麗(アサヤカ)にすることを得ず」(出典:日本書紀(720)雄略二三年八月(前田本訓))
    2. 「濃き紫の固紋(かたもん)指貫、白き御衣(おんぞ)ども、うへには濃き綾(あや)のいとあざやかなるをいだして」(出典:枕草子(10C終)二三)
  4. 新しくて気持がよいさま。新鮮であるさま。いきのいいさま。
    1. [初出の実例]「少将、あさのよそひあざやかにて、たいめんし給へり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)あて宮)
    2. 「いとつややかなる板の端近う、あざやかなる畳一ひら、うち敷きて」(出典:枕草子(10C終)三六)
  5. 容姿などが、すっきりと水際立って立派なさま。
    1. [初出の実例]「いづれとなくをかしきかたちどもなれど、なほ人にすぐれてあざやかに清らなるものから」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
  6. 性質、言動などが、きっぱりしているさま。はきはきしているさま。
    1. [初出の実例]「うちひそみつつぞ見給ふ。御さま、例は心強うあざやかに、誇りかなる御けしき、なごりなく、人わろし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
    2. 「長口上あざやかに」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)一)
  7. 際立って見事であるさま。非の打ちどころがない様子。
    1. [初出の実例]「ままこにておやのかたきなれば、道理もあざやかなり」(出典:愚管抄(1220)三)
  8. 動作や技術がさえていて、非常にたくみなさま。
    1. [初出の実例]「『痣はあるし平(ひらた)い顔ぢゃが、それでも大の色事師でござります』〈略〉『それと云ふが、これが鮮(アザヤ)かからの事ぢゃ』ト三絃(さみせん)弾く真似をする」(出典:歌舞伎・傾城浜真砂(1839)三幕)

鮮やかの語誌

( 1 )アザは「あざけり」「あざむき」と同根で、心情に関わりなく強烈にあらわれることをいうか。
( 2 )語幹を同じくする「あざらか」が魚肉などの鮮度をいうのに対して、「あざやか」は美的形容をもっぱらとしていたが、中世にヤカとラカの区別がうすれるにつれて、「あざらか」が消滅して、「あざやか」が新鮮なの意味でも用いられるようになる。

鮮やかの派生語

あざやか‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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