醜(読み)シュウ

デジタル大辞泉 「醜」の意味・読み・例文・類語

しゅう〔シウ〕【醜】

[名・形動]
1 みにくいこと。また、そのさま。
「日本服には美な運動も見えるけれど―な運動も見える」〈子規・墨汁一滴〉
2 はじ。「醜を天下にさらす」
[類語]見苦しい・みっともない・はしたない・醜悪・埃ほこりっぽい・汚い・むさくるしい・汚らしい・小汚い・薄汚い・汚けがらわしい・ばっちい・むさい・泥まみれ・不潔・不浄・不衛生・不純・尾籠・みすぼらしい・ぼろい・ぼろぼろ・おんぼろ・よれよれ・ぽんこつ・老朽化・汚穢おわい・汚れ物・汚濁・けがれ・よごれ・汚点・汚染・くすむ・薄汚れる・汚れる・煤ける・垢あかじみる・まみれる・油じみる・汗じみる・醜態・老醜・無様ぶざま・不格好・醜い・ばばっちい・しどけない・目障り・爺じじむさい・かっこ悪い・ださい・野暮・野暮ったい・泥臭い・不細工・田舎臭い・不体裁・グロテスク・不器量・弊衣破帽・だらしない・醜怪・浅ましい・見辛い・見るに見兼ねる・無粋・無骨・無風流・無作法・無造作・むくつけし・プリミティブ・地味・冴さえない・見るに堪えない・目も当てられない・惨憺さんたん・貧相・貧乏臭い・貧乏たらしい・うらぶれる・貧弱・しがない・忌まわしい・馬鹿正直・しょぼい・しょぼくれる・興醒きょうざめ・興醒きょうざめる・味気ない・俗っぽい・素人臭い・うざい・時代遅れ・流行遅れ・陳腐・殺伐・稚拙・無味乾燥・鈍臭い・低俗・俗悪・ちんけ・かったるい・芋・きもい・悪趣味・田舎侍・山猿・卑俗・世間知らず・アナクロ・アナクロニズム

しゅう【醜】[漢字項目]

[常用漢字] [音]シュウ(シウ)(漢) [訓]みにくい しこ
姿や行いが悪くて不快感を与える。みにくい。「醜悪・醜怪・醜状・醜態・醜聞/美醜」
[名のり]むね
[難読]醜名しこな

しこ【▽醜】

(多く接頭語的に、また「しこの」の形で用いて)醜悪なもの、憎みののしるべきものなどにいう。また、卑下の気持ちを込めて用いることもある。「醜女め」「醜草」「醜の御楯みたて」
[補説]本来は、他に、強く恐ろしいことの意もあり、神名などに残る。→しこお2

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精選版 日本国語大辞典 「醜」の意味・読み・例文・類語

しこ【醜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( 特に人について ) 強く恐ろしいこと。強く頑丈なこと。「古事記‐上」の「大国主神。亦の名は大穴牟遅神〈略〉と謂ひ、亦の名は葦原色許男神(あしはらシコをのかみ)〈略〉と謂ひ」に見える「葦原色許男」の「色許」は、神名の一部として用いられた例。
  3. ② 醜悪なこと。けがらわしいこと。多く、接頭語的、または「しこの」「しこつ」の形で、ののしったりへりくだったりする場合に用いられる。「醜女(しこめ)」「醜草(しこぐさ)」「醜手(しこて)」「醜(しこ)ほととぎす」「醜屋(しこや)」「醜(しこ)つ翁(おきな)」「醜(しこ)の御楯(みたて)」など。

しゅうシウ【醜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( 形動 ) 顔だちや姿のみにくいこと。美しくないさま。また、その人。
    1. [初出の実例]「幸にして汝が面貌、醜(シウ)ならざれば」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
  3. ② 性質や行為などがけがらわしく、恥ずべきこと。欠点。恥。
    1. [初出の実例]「もしは好、もしは醜(シウ)(〈注〉アシキ)、もしは美、もしは不美」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)六)
    2. 「自己の醜を自白するのは中々見あげたものだ」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九)
    3. [その他の文献]〔戦国策‐魏策上・文侯〕

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普及版 字通 「醜」の読み・字形・画数・意味

醜
常用漢字 17画

[字音] シュウ(シウ)
[字訓] みにくい・わるい・はじる・たぐい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(酉)(ゆう)。はともと同字であった。〔説文〕九上に「惡(にく)むべきなり」とし、声とする。金文の図象に「亞醜形」とよばれるものがあって、亞(亜)字形の中に醜の字形を加える。鬼の部分は鬼の形ではなく、礼冠を著けた人の形で、に従うのは鬯酌(ちようしやく)(礼酒を酌む)の意であるらしい。卜辞に、邑に祟(たたり)があると考えられるとき、醜の儀礼を行うことを卜するものがあり、その鬯酌によって祓うことが行われたのであろう。と同声であることからいえば、呪詛に関する意をもつ字である。また州は醜竅(しゆうきよう)(尻の穴)で、醜にもその意がある。〔孟子、公孫丑下〕「今、天下、地醜(ひと)しく、齊(ひと)し」は、おそらく儔の仮借義であろう。〔詩〕に「執訊(しつじん)醜(くわくしう)」「醜」「戎醜」「醜」「群醜」、また〔礼記〕に「醜夷」「醜」などの語がある。また讐と声義の通ずるところがある。

[訓義]
1. 酒を酌む、礼貌して鬯酌する形。
2. みにくい、あやしい、わるい。
3. にくむ、きらう。
4. はじ、はじる。
5. 儔と通じ、たぐい、なかま、とも。
6. 州・尻と通じ、尻の穴。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕醜 日本紀私記に云ふ、醜女、志古女(しこめ)、或いは(い)ふ、泉の鬼なり。今世の人、小兒をれしめんが爲に許々女(ここめ)とふは、此の語の訛(なま)れるなり 〔名義抄〕醜 カタナシ・ハヂ・モロモロ・ミニクシ・アシ 〔字鏡集〕醜 タノシ・ココメ・カタクナシ・ハナツ・モロモロ・ミニクシ・ツタナシ・アシ・ニクム

[語系]
醜thjiu、呪・(祝)tjiukは声近く、醜は呪祝のとき鬯酌する形。ゆえに醜悪などの意となる。tjiu、tiuもまた呪祝に関する字。儔儕の意は讐zjiu、儔diuと通仮の用法であり、また醜悪・醜竅の意は(臭)thjiuと同声であり、また州tjiu(醜竅の意)は声近くして通用の義である。

[熟語]
醜悪▶・醜夷▶・醜裔▶・醜汚▶・醜禍▶・醜怪▶・醜漢▶・醜逆▶・醜語▶・醜好▶・醜行▶・醜黒▶・醜叉▶・醜儕▶・醜諡▶・醜事▶・醜辞▶・醜女▶・醜称▶・醜辱▶・醜譖▶・醜人▶・醜▶・醜生▶・醜声▶・醜石▶・醜拙▶・醜▶・醜扇▶・醜俗▶・醜態▶・醜恥▶・醜詆▶・醜徒▶・醜毒▶・醜比▶・醜婦▶・醜誣▶・醜聞▶・醜末▶・醜名▶・醜虜▶・醜類▶・醜▶・醜麗▶・醜陋▶・醜老▶・醜穢▶
[下接語]
遺醜・怪醜・獲醜・猾醜・奇醜・咎醜・凶醜・狂醜・群醜・醜・好醜・詬醜・黒醜・戎醜・衰醜・壮醜・美醜・俘醜・貌醜・余醜・虜醜・類醜・老醜

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改訂新版 世界大百科事典 「醜」の意味・わかりやすい解説

醜 (しゅう)
ugliness

美に対立する概念である。だが美には,ふつう〈美しい〉と連想される狭義の美と,美的価値すべてをつつむ広義の美とが区別される。対立は前者に対してのことであり,感性および精神にかかわる両面的価値の総称たる後者においては,醜は美学や芸術研究における重要な論題である。醜の形式的特徴は無形態や歪曲や構成破壊と指摘されるが,いずれにせよ力強く現れてはじめて醜と認められる。狭義の美は人々の仰ぐ積極的価値であり,これと対立する以上,醜は消極的で否定的となるが,しかしその現れは美が薄れて弱まった状態どころでなく,むしろ美を圧伏するほどの迫力をみなぎらせている。消極的価値ながら積極的現象というのが醜の特質である。美に対するこのようなあり方は,古来,善に対する悪,形式に対する素材,存在に対する無などと類比的に醜を扱う伝統を培ってきた。善や形式や存在の圧倒的優位を信奉するところでは,醜は美の引立て役,美的印象全体の生動感を強める刺激剤と位置づけられるのが常であり,主要な美的範疇たる崇高や悲壮や滑稽に混入するものとして論じられる。また特性美や近年ではグロテスクとの相関性も注目されている。

 芸術にすすんで醜を登場させたことは近代の特質に数えられる。ルネサンスの古典美尊重をみたのち,新たな表現をさぐるマニエリスムやバロックの時代に醜はその勢いをみせはじめ,やがて,写実主義とか自然主義の美術や文芸は真理探究を唱え,醜悪な素材をも直視して表現にもたらした。これと並行しつつ〈芸術のための芸術〉を謳歌し,ひいてはデカダンスを強調する一派は,不快,悪,虚偽,背信など醜の相貌いちじるしい精神的内容にまで立ち入って,これを独特の魅惑につつんで呈示した。20世紀に入るや諸流派の激動を経て美術における醜の表現は日常事と化し,文芸でも世界を不条理とみる立場では醜を美と称揚する者さえ現れている。醜を主要な美的範疇と数えるべきか否か,芸術の現況に照らしてみると,醜はいよいよ切実な哲学的主題の一つである。
→美
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「醜」の意味・わかりやすい解説

醜
しゅう
ugliness; das Hässliche

美学上,美と相関的に扱われる概念。普通は反美的なものとされ,美的形成を拒み,作品の内容と形式を乖離させて,不快感をもよおさせるものをいう。 1853年 K.ローゼンクランツが『醜なるものの美学』 Ästhetik des Hässlichenにおいて醜を美的範疇の一つとして以来,美をきわだたせる補助手段 (概念) としてその積極的価値が論じられている。しかし,これらは作品を形式と内容に分け,内容あるいは素材の醜から類推的に行われる判断であり,美的判断に別の判断が介入しているといえる。作品を不可分な統一体としてみる B.クローチェなどの美学では,作品であるかぎり美であり,醜は論外とされる。

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世界大百科事典(旧版)内の醜の言及

【美】より

…一瞬きらめいてたちまち消えてゆくはかなさも美の特性であり,ここから美は私のあずかり知らぬところという態度も生じようが,ästhetischの意味での美ならば,上記の規定からこれは人間の必ずかかわらざるをえぬ価値である。また醜は美の反対概念であるが,これが醜として成り立つには感性を強烈に刺激する力をもたねばならず,したがって精神的価値としては否定方向をとるとはいえ醜さえも〈美的なるもの〉には含まれる。こうして〈美的〉なる概念の確立後,美については狭義の美(純粋美beauty,Schönheit)と広義の美(美的なるもの)とが語られることになった。…

※「醜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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