徳島[県](読み)とくしま

百科事典マイペディア 「徳島[県]」の意味・わかりやすい解説

徳島[県]【とくしま】

四国地方東部の県。県庁所在地徳島市。4146.65km2。78万5491人(2010)。〔沿革〕 かつての阿波国にあたり,中世には佐々木氏,細川氏などが支配,1585年に蜂須賀氏が封ぜられて以後,アイ(藍),塩,タバコの生産を基礎に阿波25万石余を支配した。1871年徳島県,次いで名東県となり,香川・高知両県との合併・編入ののち1880年再び阿波全域が徳島県となった。〔自然〕 県面積の80%は山地で,中央構造線に沿う吉野川地溝帯の北側は香川県境をなす讃岐山脈,南側は剣山地である。平地は北部を東流して紀伊水道に注ぐ吉野川の中・下流域(徳島平野),東部の勝浦川,那賀川,南部の海部(かいふ)川の流域に限られる。海岸は東端の橘湾以南が岩石海岸,以北が砂浜海岸。北部は瀬戸内式気候に近く,雨量が少なく,特に冬は乾燥し,夏は夕なぎがある。東部と南部は太平洋岸式気候で,雨量が多く,冬も温暖。〔産業〕 産業別人口構成は第1次9.8%,第2次25.5%,第3次62.9%(2005)。第1次産業の比率が全国平均の約2倍と高いが,農業の経営規模は小さく兼業が多い。徳島平野では米作のほかホウレンソウ,ダイコンレンコンニンジンなどの野菜栽培が盛んで,阪神市場,一部は東京市場へ出荷される。吉野川中流や山間部ではサツマイモ,タバコ,那賀川と勝浦川流域山地ではミカン,ハッサク,スダチ,太平洋岸ではサヤエンドウなどの促成栽培が行われる。林業は那賀川上流の木頭(きとう)地方の杉材が主。水産業は沿岸漁業と養殖業が中心。鳴門ワカメは有名。工業は化学,食品,木工などが中心であるが,第1次産業に比べると立ち遅れている。交通体系の整備に合わせ,工業団地造成などの基盤整備や高度化が進む。鳴門海峡を含む瀬戸内海国立公園剣山国定公園室戸阿南海岸国定公園の2国定公園,四国八十八ヵ所に属する多くの霊場があり,阿波踊阿波浄瑠璃は全国的に有名。〔交通〕 徳島線,高徳線,土讃線,牟岐線,四国縦貫自動車道,国道11,55号線が主要幹線で,いずれも平野部や海岸,河谷に通じるが,山間部の交通は不便。徳島市から阪神,和歌山,小松島市から和歌山,大阪へ船便がある。本州四国連絡道路神戸・鳴門ルートは1998年に開通した。
→関連項目四国地方

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