甚く(読み)イタク

デジタル大辞泉 「甚く」の意味・読み・例文・類語

いたく【甚く】

[副]形容詞「いたし」の連用形から》
程度のはなはだしいさま。非常に。ひどく。「甚く感動する」
(あとに打消しの語を伴って)それほどには。たいして。
「わがため面目あるやうに言はれぬる虚言そらごとは、人―あらがはず」〈徒然・七三〉
[類語]迚も大層大変極めて至って非常にはなはすこぶ至極しごくごくいとも実にまことに大いに・ひどく・恐ろしくすごくものすごく滅法めっぽうさんざっぱらさんざんさんざこってりやけに比較的割と割に割りかし割方割合結構大幅随分かなり相当なかなか大分いやにえらい馬鹿余程余っ程とってもうんと極みこの上ない極極ごくごく無上至上むやみむやみやたらやけっぱちやけくそ捨て鉢無性にめったやたら闇雲ひときわ盲滅法飛び切り限り無い底抜けとりわけことさらことに取り立てて全く以て途方もない途轍とてつもない著しいべらぼう

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精選版 日本国語大辞典 「甚く」の意味・読み・例文・類語

いたく【痛・甚】

  1. 〘 副詞 〙 ( 形容詞「いたい」の連用形から ) 程度のはなはだしいさま。ひどく。はなはだしく。ずいぶん。→いとう
    1. [初出の実例]「豊葦原之千秋長五百秋之水穂国は、伊多久(イタク)さやぎてありなり」(出典古事記(712)上)
    2. 「大弐の乳母の、いたく煩ひて尼になりにける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)

甚くの語誌

( 1 )「いたし」は極度である意も表わすが、上代では肉体的・精神的苦痛を表わす例がめだつ。中古に入ると程度のはなはだしさを示す用法は連用形「いたく」にかたよるようになり、これが上代の「いた」の副詞的用法にも通じる副詞となった。
( 2 )音便化して「いたう」となるが、韻文では後まで「いたく」の形が好んで使われ、特に「いたくな…そ」の禁止表現は、一つの定まった表現のように用いられた。
( 3 )「いたく」は動作・作用の程度のはなはだしさを表わす語としてもっぱら動詞修飾に用いられ、形容詞についてその状態のはなはだしさをいう場合は「いと」が使用された。

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