可成り(読み)カナリ

デジタル大辞泉 「可成り」の意味・読み・例文・類語

か‐なり【可成り/可×也】

《許し認める意の「可なり」から》
[形動][文][ナリ]相当程度まで行っているさま。また、相当の程度以上に達しているさま。「―な収入がある」「―な数にのぼる」
[副]極端ではないが、並の程度を超えているさま。思ったより以上に。相当。「今日は―人が出ている」「―酔っているようだ」
[用法]かなり・だいぶ――「台風の影響で海はかなり(だいぶ)荒れている」「病気はかなり(だいぶ)重い」などでは相通じて用いられ、物事の程度が「非常に」「とても」「大変」ほどではないが、平均以上であることを表す。◇「かなり」は「かなりな金額」「かなり出来る」のように、平均を超えたある程度を示すが、「だいぶ」は「夜になって、気温がだいぶ下がってきた」「だいぶ片付いた」のように、進行している事柄でさらに程度が進む可能性のある場合にぴったりする。◇類似の語に「相当」がある。「相当」は「かなり」「だいぶ」と同じように用いるが、より程度が上回っている感じがあり、「相当金のかかる大学だ」「相当な切手マニアだ」などでは、驚きあきれる感情がこもっている。◇また、類似の語「随分」の用法には「かなり」「だいぶ」と相通じるものがある。
[類語]比較的割と割に割りかし割方割合相当大幅結構随分なかなか大分だいぶ・だいぶん大層すこぶいやにやけにえらい馬鹿ばか余程余っ程まあまあまあまずまずどうにかこうにかどうかこうかどうやらこうやら曲がりなりにもかすかすどうやらなんとかかんとかなんとかようやっとどうにかそこそこかろうじて辛くもそれなりやっとやっとこさようやくあやうく危なく増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないまだしもまだえんやらやっとやっとのことでようようすんでのところ間一髪かつがつすんでのことすんでにあわや九死に一生を得るすれすれよっぽどなかなかいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ最早もはや畢竟ひっきょう結局やはり所詮どの道いずれにしても結句遂にとどのつまり詰まるところ帰するところ詮ずるところ要するにいずれどうせつまりとうとういよいよ挙げ句挙げ句の果て差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道とにかく何しろ何せ何分なにぶん何分なにぶんにもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれほとんど

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精選版 日本国語大辞典 「可成り」の意味・読み・例文・類語

か‐なり【可成・可也】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( よいとして許す意味の「可」に断定助動詞「なり」の付いてできたもの )
    1. 十分ではないが一応の程度までいっているさまにいう。相当の水準に達している状態。〔雑筆略注(1561)〕
      1. [初出の実例]「甘蔗を作らば〈略〉甘味薄くても、ケ成(カナリ)に出来ざる事あるべからず」(出典広益国産考(1859)二)
    2. 相当、はなはだしい程度に達している状態にいう。
      1. [初出の実例]「何でも麻布辺の可也(カナリ)にしてゐる官吏の娘で」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後)
      2. 「中津川辺へはまだかなりの距離があり」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 思ったより以上に。相当な程度に。
    1. [初出の実例]「夫(それ)から可也ゆるりと、出たり這入ったりして」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉四)

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