デジタル大辞泉 「結」の意味・読み・例文・類語
けつ【結】[漢字項目]
[学習漢字]4年
1 ひもなどでむすぶ。むすびつける。「結髪/直結・連結」
2 組み立てる。構造物・組織体を造る。「結構・結社・結成・結党」
3 ばらばらのものを一つにまとめる。まとまる。「結合/集結・妥結・団結」
4 固める。固まる。「結石・結節・結氷・結露/凝結・凍結」
5 しめくくる。終わりになる。「結果・結局・結末/完結・帰結・終結」
6 ふさがる。「
[名のり]かた・ひとし・ゆい
[難読]
( 1 )「けち」の「ち」は漢字の入声音「t」を仮名表記するとき字音の後に母音「i」を添えたもので、「質(しち)」「節(せち)」と同様。
( 2 )①と②は勝負を決着させるという共通の意味をもつが、賭弓や囲碁の特定の世界での語であり、一般の用語で決着の意味に用いた例は見出しがたい。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
家々の間で労働力を交換しあって作業を相互に手伝うこと。ユイの発音が変化してイイ,エエ,ヨイあるいはヨイコなどと各地で呼ばれる。沖縄でユイーマールというのもユイに発した言葉である。またテマガエ(手間替え),テマガリ(手間借り)などともいう。ユイは複数の家が組んで,同じ人数の労働力を同じ日数だけ互いに提供しあって同じ作業を行うもので,短期決済による労働力の等量交換に特色があり,各家が多くの労働力を集中的に必要とする場合に採用される。田植のユイがその代表であるが,稲刈りや脱穀など種々の農作業,屋根ふきなどの際にも行われた。ユイを結ぶ相手の家は,ユイが労働力の等量交換であることに対応して,対等な社会関係にある家々に求められるのが普通である。本家と分家,地主と小作という上下関係にある家々の間で結ばれることは少なく,村内在住の親類や近隣の家々と行うのが一般的である。とくに村内の親類は,その対等性により,ユイを結ぶもっとも重要な関係である。したがって,ユイは超世代的に組織された労働組織や集団ではなく,必要に応じて親族関係や近隣関係を基礎にして結ばれるものであり,作業によって結ぶ範囲は異なり,また世代交替によって組む相手も変化することが多い。
ユイという言葉は古いが,その意味はしだいに変化してきた。短期決済による労働力の等量交換の意味としてユイが確定したのは,小農経営が日本農業の基本となった近世前期であろう。労働力の等量交換を内容とする小農的ユイが一般化する以前は,本家や手作地主に対し分家や名子・被官という従属農民が労働力を提供し,奉仕することがユイの中心であったと考えられる。平安時代の歌集《堀河院百首》に〈残り田はそ代に過ぎじ明日は只ゆひもやとはで早苗とりてむ〉(隆源)とあり,ユイは雇うものとして歌われている。それは本家や手作地主が分家,従属農民に労働力を提供させることを東北地方や北九州でヤトイといったことに通じるものである。かつてはこのように,労働力の提供とそれに対するさまざまな反対給付という形で結ばれた本家末家的ユイが基本であり,それに加えて分家や従属農民が互いに結ぶ小農的ユイが併存していたといえよう。近世になり後者のみがユイと呼ばれるようになり,本家末家的ユイはヤトイとかスケ,テツダイと呼ばれるようになったものと考えられている。それ以降のユイにあっては,労働力の提供に対しては同じ量の労働力で返すのが原則であるが,家々の間で経営形態や規模に大きな相違が出てくると,牛馬等の家畜の提供に対し,人間の働き手が行くとか,さらに労働の提供に対し物資,ときには金銭で返すユイも行われるようになった。そして,ユイに加えて臨時雇いの労働力も出現した。ユイと臨時雇いのヒヨウ(日傭)とは久しく併存してきたが,田植機はじめ農機具の機械化によっていずれも急速に姿を消しつつある。
執筆者:福田 アジオ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
語源的には結う、結ぶ、結合、共同などを意味し、地域社会内の家相互間で行われる対等的労力交換、相互扶助をいう。地方によってはイイ、ユイッコ、エエなどとよばれ、また中国・四国地方のように手間換(てまがえ)、手間借(てまがり)と称する所もある。結は催合(もやい)とともにわが国の伝統的な共同労働制度の一つであるが、催合の慣行がかつて漁村で盛んで現在は衰退しつつあるのに対し、結は農山村で盛んで、現在も田植、稲刈りなどさまざまな機会に行われている。結における労力交換では、多くの場合、働き手として出動する個人の労働力の強弱はあまり問題とはされないが、一人前の人間が1日提供してくれた労力に対しては、かならず1日の労働で返済することが基本で、金銭や物で相殺することを許さない点に特徴がある。結は農耕作業で行われることが多く、起源もそこにあると考えられるが、実際の機会はそれにとどまらず、屋根の葺替(ふきか)え作業における茅(かや)の切出しや縄ないなどでもよく行われた。
そのほか奇抜なものとして、秋田県では共同で按摩(あんま)の練習をすることを結按摩とよんでいたし、結で髪を結い合うなどの例もあり、結の意味が共同という範囲にまで拡大して解釈されることが少なくなかった。
[野口武徳]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
共同や結合の意味を表し,とくに交換労働の慣行をさすことが多い。結返しの言葉があるように,かならず返す必要があると考えられている点で,共同作業である模合(もやい)とは異なる。結は労働力の等価交換が原則で,作業によっては牛馬1匹と人間2人などの交換もある。田植や稲刈など,季節内や年内など短い間に返す結と,屋根普請など数十年という長い期間で返せばよい結とがある。結をくむ相手は,隣近所の家,気のあった仲間,近隣組織,講仲間,親類などが一般的だが,ユイシュ(結い衆),エドシ(ユイ同士すなわちユイ仲間)など,親戚・姻戚関係を示す言葉としてユイの語を用いる地方があり,元来は族縁関係に発生した合力(ごうりき)と考えられる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…朝鮮独特の土地面積表示法。起源は,人間の手で一握りの量の穀物を租税として負担すべき広さの土地を1把の土地とし,10把を1束,10束を1負,100負を1結としたことに始まると思われる。三国時代から1918年までの長い期間使用されたが,その内容は時代により異なる。…
…面積=2266.04km2(全国44位)人口(1995)=127万3440人(全国32位)人口密度(1995)=562人/km2(全国10位)市町村(1997.4)=10市16町27村県庁所在地=那覇市(人口=30万1890人)県花=デイゴ 県木=リュウキュウマツ 県鳥=ノグチゲラ日本の最南西に位置し,沖縄島(本島)ほか160の島々からなる島嶼(とうしよ)県で,そのうち40島が有人島,他は無人島である。…
…建具は板戸が中心で,外への開口部は少なく,片袖壁の裏に板戸1枚と障子1枚を引き込む形式で,外側に格子を打つこともあった。屋根は茅を使うことが多く〈ゆい〉と呼ばれる相互労働奉仕が行われていた。床は板を得ることが難しかったため,土間に籾や藁を敷き,蓆(むしろ)を延べた土座(どざ)や竹簀の子が使われる例も多い。…
…〈助〉の字をあてる。他人に対して一方的に無償で労働力を提供することであるが,とくに主従関係にある者の間で従属している者が主家に対して提供する労働をいう。農地改革前の主として東北地方の農村にしばしばみられた。スケという言葉で主家への労働提供を表すのは岩手県の一部であるが,同様の労働をヤトイ(雇い),テツダイ(手伝い),テマヅトメ(手間勤め),オヤク(お役)などともいう。スケの内容は,岩手県二戸郡のある村の例では,田植,田の草刈り,稲刈りなど,毎年ほぼ一定の日数に決まっている農作業と薪伐り,すす掃き,屋根の草取りなど,必要に応じて働きに出る家事の諸作業であった。…
…もともと農家は,個々に孤立して農業生産を営んできたわけではない。今日でも用水路や農道を補修し整備する〈むら〉仕事としての共同作業が多少ともあるが,かつては田植や稲刈などの農繁期は〈ゆい〉や手間替えなどの共同体的相互扶助で乗り切ってきたものであった。共同体的枠組みのなかで,それに支えられて生産活動は行われてきたのであるが,農業,農村の近代化が進められるなかで,こうした共同体的諸関係は多くの面で後退し解体した。…
…田植や夏の除草などの農繁期に,農民どうしが労力を提供し合って農作業にあたること。日本の〈ゆい〉に似ている。プマシは部落内の親しい者どうしで組織される比較的少人数の共同労働であるが,同様の共同労働が全部落的に行われる場合には,トゥレtureと呼ぶ。…
…しかし,共同出資して共有の道具や機械を購入することをモヤイといったり,その品物や施設をモヤイ道具,モヤイ車,モヤイ井戸などということにその感覚は示されている。ゆい【福田 アジオ】。…
※「結」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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