普及版 字通 「安(漢字)」の読み・字形・画数・意味
安
常用漢字 6画
[字訓] やすらか・おく・いずくんぞ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
宀(べん)+女。〔説文〕七下に「靜かなり」とあり、宀に従うのは中の儀礼である。宀は家(かびょう)。新しく嫁する女は、中で鬯(かんちょう)(清め)の儀礼をし、祖霊に対して受霊の儀礼をする。卜文に水滴を垂らす字、金文に下に衣をそえる字形があるのは、その安寧の儀礼を示す。里帰りすることを帰寧(きねい)という。
[訓義]
1. 安寧の儀礼より、やすらか、安んずる意。
2. おちつく、しずか。
3. その家に安んずる、居る、おく、安置する。
4. (えん)・晏(あん)に通じて、たのしむ意。
5. 焉に通じて、いずくんぞ、なんぞ。
6. 抑に通じて、そもそも。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕安 ヤスシ・イヅクゾ・シヅカナリ・ヒロシ・イカゾ・スウ・ヤウヤク・ヨシ・トドム・シタガフ・オク 〔字鏡集〕安 ヤスシ・サダム・アツシ・ヒロシ・シヅカナリ・ヲダヤカナリ・ヲサフ・トドム・ヲク・スウ・キビシ・ヨシ・トヅ・ヒラ・イヅクゾ・イヅクンゾ・ナンゾ・イカゾ・ヤウヤク
[声系]
〔説文〕に安声として宴・晏・案・按・など十一字を収め、おおむね安の声義を承ける。宴の初文は。秘匿の聖所(匸(けい))で、女子が頭上に玉(日の形)を戴いて魂振りする形で、安の字義と近い。晏は安ととを兼ねる形。按は安撫、は〔説文〕八上に「宴(たの)しむなり」とみえる。
[語系]
安・anは同声。晏ean、宴()ianも声義が近い。燕ianは宴の仮借通用の字。字はまた讌に作る。安an、焉ianは声近く、いずれも疑問副詞に用いる。
[熟語]
安安▶・安易▶・安慰▶・安怡▶・安燠▶・安佚▶・安逸▶・安穏▶・安歌▶・安駕▶・安臥▶・安懐▶・安閑▶・安危▶・安吉▶・安居▶・安近▶・安敬▶・安固▶・安行▶・安康▶・安坐▶・安止▶・安肆▶・安車▶・安▶・安処▶・安徐▶・安舒▶・安詳▶・安帖▶・安心▶・安神▶・安靖▶・安静▶・安全▶・安然▶・安息▶・安泰▶・安宅▶・安置▶・安定▶・安諦▶・安適▶・安▶・安寧▶・安排▶・安否▶・安轡▶・安分▶・安平▶・安便▶・安歩▶・安民▶・安眠▶・安命▶・安愉▶・安楽▶・安和▶
[下接語]
晏安・慰安・永安・悦安・燕安・懐安・乂安・閑安・帰安・久安・吟安・好安・安・坐安・清安・静安・請安・大安・治安・長安・鎮安・定安・恬安・偸安・撫安・文安・平安・偏安・便安・問安・養安・楽安・隆安
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報