浅ましい(読み)アサマシイ

デジタル大辞泉 「浅ましい」の意味・読み・例文・類語

あさまし・い【浅ましい】

[形][文]あさま・し[シク]《動詞「あさ(浅)む」の形容詞化
品性が卑しい。さもしい。下劣だ。「―・い了見」「―・い根性
見苦しく情けない。嘆かわしい。「―・い世の中」
身分姿形が卑しい。みすぼらしい。「―・い姿」
予想と違った結果に驚きあきれる気持ちをいう。
㋐意外だ。あきれる。驚くべきさまだ。
「取りがたき物をかく―・しくもて来る事をねたく思ひ」〈竹取
㋑興ざめである。がっかりして、あきれかえる。
「物うちこぼしたる心地いと―・し」〈・九七〉
㋒あまりにもひどい。程度がはなはだしい。
「―・しく貧しき山国にて」〈読・春雨海賊
(「あさましくなる」の形で)思いがけないことになる。死んでしまう。
「かひなくて、三月二十日、終にいと―・しくならせ給ひぬ」〈増鏡・春の別れ〉
[派生]あさましがる[動ラ五]あさましげ[形動]あさましさ[名]
[類語]下品さもしい卑しいはしたないあられもないしどけない下種下等低級低俗卑俗野卑低次元猥雑見苦しいみっともない醜悪ほこりっぽい汚いむさくるしい汚らしい小汚い薄汚いけがらわしいばっちいむさい泥まみれ不潔不浄不衛生不純尾籠みすぼらしいぼろいぼろぼろおんぼろよれよれぽんこつ老朽化汚穢おわい汚れ物汚濁けがれよごれ汚点汚染くすむ薄汚れる汚れる煤けるあかじみるまみれる油じみる汗じみる醜態老醜無様ぶざま不格好醜いしゅうばばっちい目障りじじむさいかっこ悪いださい野暮野暮ったい泥臭い不細工田舎臭い不体裁グロテスク不器量弊衣破帽だらしない醜怪見辛い見るに見兼ねる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「浅ましい」の意味・読み・例文・類語

あさまし・い【浅】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あさま〘 形容詞シク活用 〙 ( 動詞「あさむ(浅)」の形容詞化。意外なことに驚いたり、あきれたりする意が原義。よい場合にも悪い場合にも用いたが、現代語では悪い意味にだけ使う )
  2. 意外である。驚くべきさまである。
    1. [初出の実例]「取がたき物をかくあさましくもて来る事をねたく思ひ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「物の心知り給ふ人は、『かかる人も、世に出でおはする物なりけり』と、あさましきまで、目をおどろかし給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. 興ざめである。あまりのことにあきれかえる。
    1. [初出の実例]「かくあさましき空ごとにてありければ、はや返し給へ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「あさましきもの。刺櫛すりて磨く程に、ものにつきさへて折りたる心地。〈略〉ただ夢の心地して、あさましうあへなし」(出典:枕草子(10C終)九七)
  4. ( 「あさましくなる」の形で用い、思いもかけないことになる、何とも言いようのないさまになるの意から ) 死ぬことをいう。
    1. [初出の実例]「御心もなきやうにておはしましけるが、夜に入りて、あさましくなり給ひぬ」(出典:海人刈藻物語(1271頃)二)
  5. ( 程度、状態が驚きあきれる程であるというところから ) はなはだしい。ひどい。
    1. [初出の実例]「浅猿(あさまし)くふるく成りたる寺あり」(出典古今著聞集(1254)七)
  6. 情けない。嘆かわしい。見苦しい。
    1. [初出の実例]「とばかし来し方行く先を思ひ続くるに、さもあさましく果無かりける契りの程を、など、かくしも思ひ入れけんと」(出典:うたたね(1240頃))
    2. 「冷い他人の手から手へと渡たされて揚句の果が浅間しい売淫婦」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉前)
  7. 生活がみじめである。貧乏でいたましい。
    1. [初出の実例]「『扨々浅ましい形(なり)で御ざる』『誠にはかない体(てい)で御ざる』」(出典:虎寛本狂言・鈍太郎(室町末‐近世初))
  8. 品性がいやしい。がつがつしている。さもしい。
    1. [初出の実例]「一切人の心はよいをねたみきらうぞ。あさましいことぞ」(出典:玉塵抄(1563)一六)
  9. 地位や身分が低い。
    1. [初出の実例]「わらはは大磯の君、あさましき物の子なれば」(出典:曾我物語(南北朝頃)六)

浅ましいの派生語

あさまし‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

浅ましいの派生語

あさまし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

浅ましいの派生語

あさまし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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