はしたない(読み)ハシタナイ

デジタル大辞泉 「はしたない」の意味・読み・例文・類語

はした‐な・い

[形][文]はしたな・し[ク]
1 慎みがなく、礼儀にはずれたり品格に欠けたりして見苦しい。みっともない。「―・い言葉遣い」「些細ささいなことで―・く言い争う」
2 どっちつかずで落ち着かないさま。中途半端である。
「人の、心とどめ給ふべくもあらず―・うてこそ漂はめ」〈源・真木柱〉
3 間が悪く、恥ずかしい。ばつが悪い。
「―・きもの、異人ことひとを呼ぶに、我ぞとてさし出でたる」〈枕・一二七〉
4 自分に向けられる他人の言動を、不快に感じたり迷惑に思ったりするさま。
「度々強ひ給へば、―・くてもて煩ふ」〈源・若菜下〉
5 人に対する配慮が欠けるさま。つれない。むごい。
「宮の思ほしたるさまなどを見奉るに、え―・うもさし放ち聞こえず」〈源・紅葉賀〉
6 程度がはなはだしい。ひどい。激しい。
「雨風―・くて、帰るに及ばで」〈宇治拾遺・一〉
「布施―・く多くとりて」〈著聞集・一二〉
[類語]見苦しい・みっともない・下品・浅ましい・さもしい・卑しい・あられもない・しどけない・下種・下等・低級・低俗・卑俗・野卑・低次元・猥雑・醜悪・埃ほこりっぽい・汚い・むさくるしい・汚らしい・小汚い・薄汚い・汚けがらわしい・ばっちい・むさい・泥まみれ・不潔・不浄・不衛生・不純・尾籠・みすぼらしい・ぼろい・ぼろぼろ・おんぼろ・よれよれ・ぽんこつ・老朽化・汚穢おわい・汚れ物・汚濁・けがれ・よごれ・汚点・汚染・くすむ・薄汚れる・汚れる・煤すすける・垢あかじみる・まみれる・油じみる・汗じみる・醜態・老醜・無様ぶざま・不格好・醜い・醜しゅう・ばばっちい・目障り・むさい・爺じじむさい・かっこ悪い・ださい・野暮・野暮ったい・泥臭い・不細工・田舎臭い・不体裁・グロテスク・不器量・弊衣破帽・だらしない・醜怪・見辛い・見るに見兼ねる・無粋・無骨・無風流・無作法・無造作・むくつけし・プリミティブ・地味・冴さえない・見るに堪えない・目も当てられない・惨憺さんたん・貧相・貧乏臭い・貧乏たらしい・うらぶれる・貧弱・しがない・忌まわしい・馬鹿正直・しょぼい・しょぼくれる・興醒きょうざめ・興醒きょうざめる・味気ない・俗っぽい・素人臭い・うざい・時代遅れ・流行遅れ・陳腐・殺伐・稚拙・無味乾燥・鈍臭い・低俗・俗悪・ちんけ・かったるい・芋・きもい・悪趣味・田舎侍・山猿・卑俗・世間知らず・アナクロ・アナクロニズム

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精選版 日本国語大辞典 「はしたない」の意味・読み・例文・類語

はした‐な・い

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]はしたな・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「ない」は接尾語 )
  2. ① どっちつかずで、中途はんぱなさま。しっくりしない。
    1. [初出の実例]「おもほえず、ふる里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり」(出典:伊勢物語(10C前)一)
  3. ② きまりが悪くていたたまれないようなさま。間(ま)が悪く、引っ込みがつかないさま。
    1. [初出の実例]「わが様のいといらなくなりにたるを思ひけるに、いとはしたなくて、蘆もうち捨てて逃げにけり」(出典:大和物語(947‐957頃)一四八)
  4. ③ 思いがけないことで、不都合なさま。困惑するさま。迷惑だ。
    1. [初出の実例]「用なき物ども取り出でてけるかな。はしたなし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
  5. ④ 慎みがなく見苦しいさま。不作法だ。浅はかだ。みっともない。
    1. [初出の実例]「ひといみじきものぞや。さばかり乱れてはしたなかりつるに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  6. ⑤ そっけなく、つれないさま。無情だ。無愛想だ。むごい。
    1. [初出の実例]「我はた、えはしたなうも言はで見るこそ心もとなけれ」(出典:枕草子(10C終)一五二)
  7. ⑥ 物事の程度がはなはだしい。はげしい。したたかだ。大したものだ。
    1. [初出の実例]「松風はしたなくひびきあひたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)

はしたないの語誌

語尾の「なし」は語源としては否定の意味をもたないが、形容詞「無し」と同形のため、次第に否定的な表現と一般に理解されるようになり、語意が変化した。「今昔物語」などに「无」「無」と記されているところからも、当時の意識がうかがわれる。

はしたないの派生語

はしたな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

はしたないの派生語

はしたな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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