谷風(読み)タニカゼ

デジタル大辞泉 「谷風」の意味・読み・例文・類語


こく‐ふう【谷風】

春先東方から吹いて万物を生長させるという風。東風穀風
谷を吹く風。また、谷底から吹き上げる風。たにかぜ。

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精選版 日本国語大辞典 「谷風」の意味・読み・例文・類語

こく‐ふう【谷風】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 東風の異称。〔延宝八年合類節用集(1680)〕〔詩経‐邶風・谷風〕
  3. 谷をわたる風。谷から吹きあげる風。たにかぜ。
    1. [初出の実例]「深谷もさえけく、谷風寒風も便りありとて」(出典:大観本謡曲・氷室(1532頃))

たに‐かぜ【谷風】

  1. 〘 名詞 〙 日中、谷底から山頂に向かって斜面を吹きのぼる風。山の斜面は谷底よりも早く暖められるために吹く。
    1. [初出の実例]「谷風にとくる氷のひまごとに打ち出づるなみやはるのはつ花〈源当純〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・一二)

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普及版 字通 「谷風」の読み・字形・画数・意味

【谷風】こくふう

東風。晋・陶潜〔劉柴桑に和す〕詩 茨(ばうし)(茅ぶきの家)已に治に就き 新疇(しんちう)復(ま)た應(まさ)に(しや)す(焼畑にする)べし 谷風轉(うた)た凄(せいはく)なるも 春(しゆんらう)(春酒)ゑと劬(つか)れとを解く

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百科事典マイペディア 「谷風」の意味・わかりやすい解説

谷風【たにかぜ】

日中,谷の奥に向かって吹きこんでいく風。山の斜面にはさまれた谷の部分大気が,開けた平野部の大気よりも早く加熱されるために起こる。→山谷風

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改訂新版 世界大百科事典 「谷風」の意味・わかりやすい解説

谷風 (たにかぜ)

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世界大百科事典(旧版)内の谷風の言及

【風】より

…また大きな湖においても同じような現象が起こり,これを湖陸風と呼んでいる。(2)山谷風 海陸風が発達するのと同じような気象条件のとき,昼間は麓から吹き上がり,夜間は山頂から吹き降りる風がある。前者を谷風,後者を山風といい,両者を合わせて山谷風と呼んでいる。…

【山谷風】より

…山岳地帯に現れる局地風系の一種。昼間,平野部から谷に,さらに谷から尾根に向かう風(谷風)が吹き,夜間,尾根から谷へ,谷から平野部に向かう風(山風)が吹く。このように日変化する風系を山谷風という。…

※「谷風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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