(読み)シュク

デジタル大辞泉 「粛」の意味・読み・例文・類語

しゅく【粛】

[ト・タル][文][形動タリ]多く「粛として」の形で用いる)
静まり返っているさま。「場内として声なし」
つつしみかしこまるさま。「として襟を正す」
[類語]物物しい厳めしいおごそ厳粛粛粛厳然森厳荘厳荘重重厚重重しい厳として重量感どっしりずっしりずしりずしっとどっかとがっしり重み広量堂堂大度太っ腹マッシブ存在感睥睨へいげい厳しい厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげん峻烈しゅんれつ苛酷険しい辛辣しんらつ粛然貫禄威厳威徳尊厳威儀権威威信威名威望名望威光威力権力勢威重圧すご脅威威圧威風威風堂堂威容偉容英姿雄姿勇姿仰仰しいご大層息が詰まる大風呂敷を広げる

しゅく【粛〔肅〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]シュク(呉)(漢) [訓]つつしむ
心・規律などを引き締める。つつしむ。「粛啓粛正粛清粛党自粛
身が引き締まるほど厳しい。「粛殺厳粛
物音を立てない。「静粛
[名のり]かく・かた・かね・きよし・すすむ・すみ・ただ・たり・とし・はや・まさ

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精選版 日本国語大辞典 「粛」の意味・読み・例文・類語

しゅく【粛】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙
  2. 心をひきしめてかしこまるさま。つつしむさま。うやうやしいさま。
  3. 静まりかえっているさま。
    1. [初出の実例]「満廷粛(シュク)として水を打ちたる如くなれば」(出典:義血侠血(1894)〈泉鏡花〉二六)

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普及版 字通 「粛」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)肅
12画

[字音] シュク
[字訓] つつしむ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
旧字は肅に作り、聿(いつ)+規(き)の初形。規は象形的にとかかれ、それがのち(えん)の形とされた。聿は筆。は規の字形では夫とされている形で、ぶんまわし。もと筆とぶんまわしとで規画する意である。方形の盾に文様を刻することを・雕)といい、画くことを畫(画)という。畫の田の部分が雕飾を施したところである。肅とは盾に雕・畫を加える形である。〔説文〕三下に「事を持すること振なるなり。聿の(ゑん)の上に在るに從ふ。戰戰兢兢たるなり」という。〔詩、小雅、小旻〕「戰戰兢兢として 深淵に臨むが如く 冰を履むが如し」の句によって附会したので、肅の字の形義とは何の関係もない。淵は回水、水の旋回する形をとる字で、肅の従うところのとはもと同じでない。肅を粛敬の意に用いるのは、文様を加えることが、ものを聖化する方法と考えられたからであろう。

[訓義]
1. おごそかにかざる、文様を施して聖化する。
2. つつしむ、うやまう。
3. きびしい、おごそか、しずか。
4. ひきしまる、ととのう。
5. すすむ、しずかにすすむ。
6. 拝礼の一。
7. 縮と通用する。縮に縦直の意がある。

[古辞書の訓]
名義抄〕肅 イツクシ・シジム・ススム・ツトム・ウヤマフ・ウルハシ・ツツシム・トトノホル・シヅカニ〔立〕肅 カゾフ・ススク・スク・ウヤマフ・カザル・イツクシ・ツツシム・ウルハシ

[声系]
〔説文〕に肅声として・嘯・簫・など九字を収める。嘯・簫はその吹く音をとり、は文様の繁縟なる意をとり、縮の義と近い。

[語系]
肅siukとsiuとは声が近い。肅は規を用いて文様を画くこと、これを織物に施すことをという。縮shiukは〔説文〕十三上に「亂るるなり」とするが、刺によって伸縮の生ずることをいう。

[熟語]
粛遏粛焉・粛粛駕粛戒・粛・粛客・粛恭・粛敬・粛啓・粛虔・粛坐・粛殺・粛此・粛祗・粛爾・粛粛・粛如・粛森・粛慎・粛正・粛清・粛斉・粛整・粛静・粛然・粛・粛霜・粛聴・粛呈・粛拝・粛風・粛覆・粛奉・粛睦粛穆・粛揖・粛雍・粛容・粛・粛立・粛・粛烈・粛和
[下接語]
允粛・恪粛・恭粛・勤粛・緊粛・敬粛・謙粛・厳粛・祗粛・自粛・振粛・森粛・震粛・斉粛・清粛・静粛・整粛・荘粛・端粛・忠粛・貞粛・平粛・明粛・容粛

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