ガラス(英語表記)glass

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改訂新版 世界大百科事典 「ガラス」の意味・わかりやすい解説

ガラス
glass

非晶質でかつガラス転移点をもつ無機固体をいう。結晶では原子配列が規則的であるのに対し,非晶質ではこの規則性がきわめて低く,ほんの数原子を超えた距離では無秩序になっている。ガラスもこのような非晶質の一種であり,一般的には,溶融体を結晶化させることなく固体状態まで冷却するという方法で作成される。この過程を,横軸に温度,縦軸に体積をとって表現したものが図である。すなわち融点以上の温度から融液を冷却すると,結晶が析出する場合には融点で大きな体積収縮を示し,この温度以下では,結晶の熱膨張率にしたがって体積が減少する。ガラスが生成する場合には,融点での体積収縮を示さずかつ融点以下でも液体に近い熱膨張率を示し,ある温度以下になってはじめて結晶に近い熱膨張率を示すようになる。この温度をガラス転移点と呼ぶ。融点とガラス転移点との間では,過冷却液体としての性質を示し,ガラス転移温度以下をガラス状態と呼び,固体としての性質を示す。ガラス状態になる物質は多く,最近では,冷却速度が十分速ければすべての物質はガラス化すると考えられている。有機高分子や,ある種の合金もガラス化するが,一般にガラスという言葉は無機物質に対して使用される。比較的容易にガラス化する物質をまとめると表1になる。実用上有用なガラスの大部分は酸化物ガラスであり,とくにSiO2,B2O3,P2O5を含有するものである。しかし,硫化物,セレン化物などのカルコゲナイド系ガラスや,最近では,フッ化物,塩化物のガラスなども実用化をめざしている。
有機ガラス

ガラスの基本的組成はNa2O-CaO-SiO2系であって,板ガラス,瓶ガラスなどに使用されている。この組成を基礎として,使用目的に応じた組成が開発され使用されてきた。またガラスを出発原料として取り扱い,後に述べる分相現象や結晶化を応用して新しい材料が作られてきた。表2におもなガラスの組成と用途を示す。

 板ガラスは安定に製造でき,かつ耐候性にすぐれていることの必要性から,この表2に示すような組成が選ばれている。ビーカーなどの理化学用ガラスは,耐薬品性,耐熱衝撃性が重要な要素である。一般にNa2Oなどのアルカリイオンを多量に含有するガラスはこれらの性質がよくないので,アルカリ量を減少させる必要があるのだが,そのために生ずるガラス化の困難さを解消するためにB2O3成分を加えたものが,理化学用ホウケイ酸ガラスである。封着ガラスのように低融点を目標として開発されたガラスは,SiO2成分を減らし,B2O3,PbOなどを大量に加えた組成になっている。テレビ等に使用されるブラウン管用ガラスは,X線吸収能が高く,かつ,電子線などによる着色の少ないものが使用される。X線吸収能は,一般に原子番号の大きな元素がすぐれているので,BaO,SrO,PbO等を大量に含有しているガラスが使用されている。光学ガラスはレンズ設計の自由度を増すために,さまざまな屈折率と分散の組合せを有するガラスが必要になる。古くから使用されてきたK2O-PbO-SiO2系ガラスでは,高屈折率低分散,低屈折率高分散のガラスが得られないため,前者のためにはLa2O3含有ガラス,後者にはフッ化物を含有するガラスが開発された。光の強さによって透過率が変化するフォトクロミックガラスは,ガラス中にハロゲン化銀微粒子を析出させたものであって,この微粒子が光化学的に分解し銀コロイドを生じ光吸収を起こす。したがって母ガラス組成としては,ハロゲン化銀の溶解度や,析出のしやすさなどが問題となる。結晶化ガラスあるいはデビトロセラミックスは,ガラスの加工性のよさを生かしたまま,耐熱性などの物性の改善を目標として開発されたものである。熱処理によって,目的の結晶が目的の大きさで析出するような組成が選択され,かつ核生成剤が加えられている。

ガラスの製造プロセスは,一般に原料配合→溶融→成形→徐冷→加工である。ガラスの主たる原料は,ケイ砂SiO2,ソーダ灰Na2CO3,石灰石CaCO3,鉛丹Pb3O4,ホウ酸B2O3,ホウ砂Na2B2O7などであり,そのほかに,溶融ガラス中の気泡を除去するための清澄剤,あるいは溶解促進剤として,硝酸ソーダNaNO3,硫酸ソーダNa2SO4,亜ヒ酸As2O3などが少量添加される。これらの粉体原料のほかに,カレットculletと称する同じ組成のくずガラスが加えられる。カレットは溶解を促進する作用をもつため,重要な原料の一つである。大量生産される板ガラス,瓶ガラスの溶融は,タンクがまによる連続溶融方式で,入口から原料を連続投入し,出口からはガラスを連続的に取り出している。一方,ある種の光学ガラスのように多品種少量生産のもの,あるいは工芸ガラスなどは,るつぼに原料を入れて炉中で溶融する方法がとられている。溶融のための熱源は重油バーナーが一般的であるが,最近では溶融ガラスに直接電流を通じジュール熱で加熱する電気溶融法も増加している。

 ガラスの成形には,引張成形,ロール成形,型吹成形,押型成形等が工業的に用いられている。成形開始時および終了時の粘度はそれぞれ1034ポアズ,107ポアズ程度である。成形はかなり温度勾配の大きな状態でなされるから,成形後そのまま冷却すると残留ひずみと応力によって割れることがある。たとえ破壊に至らない場合でも残留ひずみは物性値のゆらぎと直接関係するので,徐冷(なまし)を十分行う必要がある。加工は,切断・研磨などのように機械的に行う場合,エッチングのように化学的に行う場合があり,そのほかに,金属や異種ガラスとの接合といったプロセスも加工に含まれる。機械加工にはダイヤモンド工具,カーボランダム工具が用いられ,またさまざまな砥粒も用いられる。

ガラスは非晶質であるから,その原子配列は結晶の場合のように整然としたものではなく乱れている。X線・電子線・中性子線回折や,核磁気共鳴常磁性共鳴,赤外吸収などのスペクトルから構造研究がなされている。古くは,〈ガラスは三次元に不規則に広がった網目状構造をもつ〉と単純に考えられていたが,現在では,全体としてはそのような不規則性をもつものの,数Å以下での構造の秩序はかなり高く,その構造も組成によってさまざまであるという考え方になりつつある。ガラスを構成している構造単位に関する理論はかなり古くからあり,ツァカリアーゼンW.H.Zachariasenが1932年に提案した構造説は,いまだに基本的には正しいとされている。それはMOxという組成の酸化物がガラス化するときの条件を構造的に示したもので,次のように表現できる。(1)陽イオンMの酸素配位数は3か4である。それが3のときにはMO3という三角形あるいはピラミッド型,4のときにはMO4という四面体が構造単位になる。(2)それぞれの酸素イオンは二つの陽イオンと結合する。(3)これらの構造単位は互いに頂点の酸素を共有して連結して三次元的に連続した網目構造を作り,稜や面を共有することはない。--実際,SiO2,GeO2,B2O3などの1成分からなるガラスは,これらの条件を満たしているものと考えられている。

 ガラスは各種の酸化物からなるが,それらのガラス構造中での役割を考慮し,次のように分類している。(1)網目形成酸化物 単独でツァカリアーゼンの条件を満足し,ガラスを形成するもの。酸化物としては共有結合性が強い化合物。SiO2,B2O3,P2O5,As2O3,Sb2O3,GeO2など。(2)網目修飾酸化物 イオン結合性の強い化合物で,むしろ網目構造を切断する作用をもつ。Li2O,Na2O,K2O,Rb2O,Cs2O,MgO,CaOなど。(3)中間酸化物 単独でガラス化することはないが,網目形成酸化物とともに網目を形成したり,場合によっては,修飾酸化物的挙動をするもの。PbO,Al2O3,TiO2,SnO2,ZrO2,BeOなど。

 以上のそれぞれの酸化物のガラス構造に対する寄与は次のように考えられている。Na2O等の網目修飾酸化物は,Si-O-Siという結合に対して,

のように作用し,余分な酸素を一つ導入することによって網目を切断する。このようにして生じた酸素を非架橋酸素という。中間酸化物はAl2O3を例にとると,

という形でSiと同様に四面体を作って網目中に入り,Na⁺イオンがその近傍に存在するという形をとる。このようにして,ガラス構造は金属原子の最近接,すなわち第一配位構造についてはかなり明確になっている。しかし,それ以遠の構造,とくに構造単位である多面体の連結様式や構造の不規則性については,やっと研究が始まったばかりであり,今後の課題である。

ガラスの密度は,アルキメデス法や重液法で測定される。板ガラスや瓶ガラスの密度はだいたい2.5g/cm3と考えてよいが,組成と熱履歴により変化する。密度は化学組成についての加成性が成立するといわれている。すなわち,ガラスを構成する酸化物の重量含有率をfMとすると,ガラスの密度dは近似的に次式で表せる。

vMは比体積で,それぞれの酸化物についての定数である。

ガラスを光学レンズ用に利用するときに最も重要な物性が屈折率と分散である。屈折率は第一近似として,構成イオンの分極率とその単位体積あたりの存在数との積を,すべての元素について加え合わせたものに比例する。一般に陰イオンのほうが分極率が大きく,したがって網目構成元素であるSi,B等の寄与は無視できるが,陽イオンでもイオン半径の大きなCs,Ba,La等の寄与は大きい。分散とは屈折率の波長依存性をいい,分散能あるいはその逆数であるアッベ数で測られる。可視光のうち,長波長(C線656.3nm)と短波長(F線486.1nm)における屈折率の差を平均分散と呼ぶ。これらの値はガラスの紫外吸収特性と関連しており,一般のPbO-SiO2系ガラスでは,屈折率を高めると分散能も増加する。

ガラス中に遷移元素などの着色成分が存在すると,可視光の一部が吸収されるため着色が起こる。このほかにも放射線によって色中心ができたり,ある種のコロイドがガラス中に存在することによっても着色する。近年,光ファイバーの実用化とともに,着色成分をほぼ完全に取り除いた純粋なSiO2ガラスの吸収が明らかになってきたが,赤外域では0.5dB/km以下の損失であり,ガラス自体はほぼ完全な透明体と考えてよい。着色の一例として遷移元素を添加したときの酸化物ガラスの色をまとめると,Fe2⁺(青緑),Fe3⁺(褐色),Co2⁺(ピンク,青),Cr3⁺(緑),Mo3⁺(だいだい),Ti3⁺(青),Cu2⁺(青),Mn2⁺(赤紫)などとなる(色ガラス)。

ガラスを成形したり,またひずみを除く際に重要な要素が粘性である。たとえば,ガラスのひずみ点とは,粘度が4×1014ポアズのときの温度をいい,この温度以下ではガラスは固体としての挙動を示し,ひずみを除去できない。徐冷点とは粘度が1013ポアズで,この温度にガラスを保持すると15分間でひずみが除去されることを意味している。軟化点とは粘度が4.5×107ポアズのときの値で,ガラスを成形加工する際の最低温度であって,この温度から104ポアズになる温度までを作業温度範囲と呼ぶ。ガラスの粘性は,ガラス組成によって大きく変化する。純粋のSiO2ガラスの粘性はきわめて大きく,これにNa⁺,K⁺等のアルカリイオンやCa2⁺,Ba2⁺等のアルカリ土類イオンを加えると粘性は急激に小さくなる。板ガラス等の実用ガラス組成であるNa2O-SiO2-CaO系ガラスに対しては,粘性も組成についての加成性が成立するとされている。

ガラスに引張応力を加えると,金属にみられるような塑性変形をほとんど示すことなく,弾性変形の限度内で破壊が起こる。ガラスの破壊強度は,原子間の結合力から予想されるいわゆる理論強度と比較すると1/10~1/100であり,その理由としては,ガラス表面には他の物質と接触したときに生成するきわめて微小なきず(通常〈グリフィスのきず〉と呼ばれる)が存在し,応力下ではその先端に応力集中が起こり,このきずが成長し,ついには全体的な破壊が起こると考えられている。ガラス繊維にして表面積を小さくすれば,このようなきずの存在確率も減少するから高い強度が得られ,これを強度のサイズ効果と呼ぶ。また,他の物質に接触しないようにきわめて注意深く測定されたガラス繊維の強度は,理論強度の数分の1に達し,これが本質的強度であると考えられている。

ガラスは一般的には電気的絶縁体と考えてよいが,高温では,ガラス中のアルカリイオンが移動することによるイオン伝導を示すようになる。Ca2⁺,Ba2⁺等のアルカリ土類イオンが添加されると,このイオン伝導はかなり抑えられる。またガラス中に2種類以上のアルカリイオンを導入することによっても,抵抗率を3~6けた高めることができる。この効果は混合アルカリ効果と呼ばれ,実用上重要な現象であるから研究例も多いが,その機構の完全な説明はなされていない。遷移金属元素を含むガラスは電子伝導性を示す。Fe2O3,MnO,V2O5等を含有するガラスはその例で,なかでもV2O5を大量に含有するガラスは,この種のガラス中で最も高い伝導度をもつ半導体である。硫化物,セレン化物,テルル化物からなるカルコゲナイド系ガラスは,電圧-電流特性が非直線性を示すこと,また光伝導を示すことから興味深い物質である。

ガラスは瓶用などの容器に使用されることから,化学的な安定性は高いものと考えがちである。しかし,ガラス組成によっては,水によってもはげしく侵食を受けるものもある。酸性の水溶液に接触しているガラスは,ガラス中のアルカリイオンと溶液中の水素イオンがイオン交換し侵食が進むと考えられている。したがってアルカリ成分が多くなると化学的耐久性が低下する。アルカリ性の水溶液に対しては,通常のケイ酸塩ガラスもかなり侵食される。この場合には,ガラスの骨格構造を構成しているSiO2が溶け出してくる。近年セメントの補強用にガラス繊維を使用した複合材料であるGRC(glass fiber reinforced cementの略)があるが,セメントは強アルカリ性のため通常のSiO2系ガラスではまったく使用できず,ZrO2を10~20%含有する特殊な耐アルカリ性ガラス繊維が用いられている。

液体どうしの場合,水とエチルアルコールのようにどのような混合比でも混ざり合う場合と,水とベンゼンのように分離してしまう場合がある。同様のことがガラスについてもあり,あるガラスを熱処理すると組成の異なる2種類のガラスに分離してしまうことがある。この現象を分相と呼ぶ。分相ガラスは2種類のガラスが互いに100~1000Åの大きさで共存した組織をもち,どちらか一方の相の化学的耐久性がいちじるしく低い場合には,酸で処理をすることによって一方の相のみを溶解し,多孔性ガラスを得ることができる。

ガラスは熱力学的には安定相ではなく,非平衡状態にあるから,条件によっては結晶化することがある。析出させる結晶の組成を選択することによって,耐熱性を向上させたり,電磁気的特性を与えたりすることが行われる。このようなガラスを一般に結晶化ガラス,デビトロセラミックスと呼ぶ。

 なお,ガラスの歴史については〈ガラス工芸〉の項を参照されたい。
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百科事典マイペディア 「ガラス」の意味・わかりやすい解説

ガラス

広義には,溶融状態にある液体を冷却するとき,一定の凝固点を示さずに凝固する非晶質の固体の総称。一般には,ケイ砂,ソーダ灰,石灰石,ホウ酸などを原料とし,高温で溶融し冷却したもので,透明で硬くもろい物質。有機高分子物質の場合は有機ガラスという。ふつう無機物の場合をさし,実用ガラスとしては大体酸化物ガラス(ケイ酸塩,ホウ酸塩,リン酸塩が主)に限られる。一般に硬くてもろく,加熱すると軟化し一定の融点を示さずに徐々に粘性を失って液体状態に移行。常温では吸水性,通水性,通気性などは全くなく,電気の絶縁体で,色ガラスや乳白ガラスなど特殊なものを除いては無色透明。鉛ガラスなど比重の大きいものは高屈折率,高分散性を示す。化学的にはかなり安定であるが,水,酸,アルカリ,大気中の炭酸ガスなどによって徐々に侵され,フッ化水素酸には著しく腐食される。酸化物ガラスの内部構造は三次元の不規則な網目構造。ガラスはその組成によりホウケイ酸ガラス鉛ガラス石英ガラス,無アルカリガラスなど,性質により硬質ガラス軟質ガラス色ガラス乳白ガラス強化ガラス合せガラス耐熱ガラスクリスタルガラスなど多くの種類に分類され,特殊用途のものに理化学用ガラス光学ガラスガラス繊維などがある。ガラスが初めてつくられたのはエジプトで前24―前22世紀ころといわれ,ルブラン法によるソーダの生産が始まってから近代的な工業として発展。製法には種々あるが,一般に原料を調合・溶融し,器物の場合は人の呼気を利用する宙吹き法や型吹き法,押型法などにより成形,びん類等は自動製びん機で量産,成形後徐冷を行う。ガラス製造の際に現れる欠陥には失透脈理,気泡,ひずみなどがある。→ニューガラス板ガラスガラス工業ガラス工芸
→関連項目セラミックス

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化学辞典 第2版 「ガラス」の解説

ガラス
ガラス
glass

過冷却液体が結晶化することなしに固化したもの,およびその状態.狭義には,二酸化ケイ素を主成分とし,ソーダ石灰やB2O3などの酸化物を副成分として含む非晶質の固体をさす.等方性.過冷却液体との境界温度をガラス転移点(Tg)とよび,熱膨張,粘度などの温度特性に屈曲を生じる.酸化物では,化学結合がイオン結合性と共有結合性との中間にあるSiO2,B2O3などがもっともガラス化傾向が大きく,これから離れるに従ってガラスになりにくい.構造的には,原子配列に2~3 nm を超える長距離の規則性がない.X線,電子線回折などで結晶性を証明できない物質を非晶質(またはアモルファス)とよぶ.この場合には,ガラス転移点(Tg)の存在を必要としない.実用的なものは,ケイ酸塩,ホウ酸塩,リン酸塩,およびその混合系のガラスが大部分を占めるが,このほかカルコゲン化物ガラスがその特異な物性からしだいに応用範囲を広げている.なお,ガラスの構造ガラスのひずみなどガラスの性質に関する事項,およびホウケイ酸ガラス色ガラス耐熱性ガラス光通信用ガラス繊維など,特殊な成分,機能,用途をもつガラスについてはそれぞれの項目を参照.

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岩石学辞典 「ガラス」の解説

ガラス

液体を結晶化させずに過冷却して,その粘度が固体と同じ程度に達した非晶質状態または無定形状態をガラス状態という.過冷却した液体では非常に細かい10-6~10-7cm程度の構造単位が不規則に集合した非晶質固体である.天然の珪酸塩熔融体が急冷すると固化してガラスとなる.しばしば熔岩の石基の粒間に形成され,SiO2成分に富む場合は熔岩全体がガラス質となる.黒曜岩や粗面岩などはその例である.ガラスは准安定状態で長時間経過すると内部に結晶が析出し,脱ガラス化して細かい結晶の集合体となる.天然ではデボン紀以前の古い時代の岩石にはガラス質のものは知られていない[Teall : 1888, George : 1924].

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リフォーム用語集 「ガラス」の解説

ガラス

ロート板ガラス(溶融金属にガラス素地を流してつくられた平滑でゆがみの少ない透明板ガラス)、安全ガラス(普通ガラスより強度が高く割れにくく、万一割れても飛散して人に重症を負わせないように配慮されたガラス。強化ガラス・合わせガラス製品に多い)、防音合わせガラスなど、さまざまな機能のガラスがある。→網入ガラス、合わせガラス、強化ガラス、複層ガラス(ペアガラス)、防火ガラス

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栄養・生化学辞典 「ガラス」の解説

ガラス

 食器などに使われる素材で,石灰,ケイ砂,炭酸ソーダなどを原料に製造.

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世界大百科事典(旧版)内のガラスの言及

【鏡】より

…ヨーロッパの諸言語で〈鏡の中に〉という表現と〈鏡を通して〉という表現と二つがあって,両者に区別がないという事実は,実体と映像,ひいては主体と客体との区別がそれほど明確ではなかったという事情を暗示しているかもしれない。また,英語(glass)でも,日本語でも(たとえば,凹面鏡と凸レンズ両方を意味しうる〈拡大鏡〉の用例),映して見る鏡と通して見るレンズとがどちらも〈鏡〉と呼ばれるのは,もう一つの暗示的なことである。とにかく人類は,鏡の向こう側の世界のふしぎな実体性に魅せられ,またそれを恐れ続けてきた。…

【グラス】より

…飲み物に用いるガラス製の食器で,英語glassはガラスと同義。コップという呼名もあるが,これはオランダ語kopに由来し,いまは平底の円筒型のものを指す。ガラス容器は繊細で色彩感に富み,また透明のものは中の溶体も見える特徴があり,多様なデザインと用途がある。一般的には材質はほとんどがソーダガラスであるが,カリクリスタルガラス,鉛クリスタルガラスも用いられる。後者は酸化鉛を含んだもので,含有率25%以上が上質とされ,カット加工をほどこしてカット・グラスとも呼ばれることが多い。…

【採光】より

…ゴシックの大聖堂の美しいステンドグラスをはめた高窓は,尖頭リブ・ボールトとフライング・バットレスという構造技術によって可能となった。近代建築を成立させている鉄やコンクリートは,さらにこのような構造的可能性の範囲を広げ,今日では,ガラスのカーテンウォール建築など,全面窓ともいえる建築構造を出現させている。 構造と並んで採光の発達に関する要因は,光の透過材料としてのガラスである。…

※「ガラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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