デジタル大辞泉 「今」の意味・読み・例文・類語

いま【今】

[名]副詞的にも用いる)
過去と未来との境になる時。現在。ただいま。
㋐時間の流れをとらえた瞬間。この時。「はちょうど一〇時だ」「は手が離せない」「考えているところだ」
㋑近い過去から近い未来へ継続している現在の時。目下。「は学生です」「も変わらない友情」「桜は花盛りだ」
現代。現今。今の世。「科学万能の時代だ」「の若者」「はやりのファッション
ごく近い未来。もうすぐに。やがて。じきに。「終わるから待っていてくれ」「行きます」
ごく近い過去。少し前に。いましがた。さっき。「の人は誰かしら」「帰ったところだ」
さらに。そのうえ。もう。副詞的に用いる。「一度考えてみる」「しばらくの間」「ひとり参ります」
[接頭]主として人を表す名詞に付く。
現在の、当世の、という意を表す。「小町」「浦島
新しい、という意を表す。「参り」
[類語]1只今ただいま現在現時点現時現下目下刻下即今そっこん時下/(2現今当今当節今日日きょうび今日こんにち現代当世当代近代同時代今の今様モダンコンテンポラリー時代/(3もう/(5あと更になおまだもっとよりなおさらますます一層一段と余計いやが上にいよいよも少しもう少しずっと然ももう今一つもう一ついまいち今少しもそっとぐっとぐんと

こん【今】[漢字項目]

[音]コン(呉) キン(漢) [訓]いま
学習漢字]2年
〈コン〉
いま。現在。「今後今昔こんじゃく現今古今昨今当今方今
このたび。この。「今回今月今次今春今生こんじょう今般今夜
〈キン〉いま。現在。「今上今体古今
〈いま〉「今様只今ただいま
[難読]今際いまわ今宵こよい

こん【今】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「今」姓の人物
今官一こんかんいち
今東光こんとうこう
今日出海こんひでみ
今和次郎こんわじろう

こん【今】

[連体]
現在の。いまの。「国会」「世紀」「シーズン
本日の。きょうの。「夜半」

むま【今】

いま」に同じ。
篠塚しのづかの―や―やと待ちわびし君はむなしくなりぞしにける」〈大和・七〇〉

ま【今】

[副]《「いま」の音変化》さらに。もう。なお。
「―一度見てから」〈虎明狂・抜殻

きん【今】[漢字項目]

こん

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精選版 日本国語大辞典 「今」の意味・読み・例文・類語

いま【今】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 過去と未来との境になる時。現在。
      1. (イ) ただいま。現在の瞬間。
        1. [初出の実例]「伊麻(イマ)こそは 我鳥(わどり)にあらめ 後(のち)は 汝鳥(などり)にあらむを」(出典:古事記(712)上・歌謡)
      2. (ロ) 現在の時点に少し幅をもたせた時間。「今はむりだが、半年後ならひきうけよう」
      3. (ハ) ( 「昔」に対して、(イ)を含んだある期間を表わす ) 現代。今の時代。現今。今日(こんにち)
        1. [初出の実例]「蓴(ぬなは)繰り 延へけく知らに 我が心しぞ いや愚(をこ)にして 伊麻(イマ)ぞ悔しき」(出典:古事記(712)中・歌謡)
        2. 「当時(そのかみ)の世界の景情(ありさま)をしり時勢を知り〈略〉現世(イマ)とことなる所以をしる」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)
    2. ( 「古いもの」に対して ) 新しいこと。また、そのもの。
      1. [初出の実例]「信濃道は伊麻(イマ)の墾道(はりみち)刈株(かりばね)に足踏ましむな履(くつ)はけわが背」(出典:万葉集(8C後)一四・三三九九)
      2. 「ほとりに松もありき。〈略〉かたへはなくなりにけり。いま生ひたるぞまじれる」(出典:土左日記(935頃)承平六年二月一六日)
    3. ( ごく近い過去に関して用い、互いに経験や知識で知っているものをさしていう )
      1. (イ) ( 副詞的に用い ) ちょっと前。いましがた。たったいま。
        1. [初出の実例]「今さけぶものは何ものぞ。きっと見て参れ」(出典:平家物語(13C前)六)
      2. (ロ) ( 多く「いまの」の形で用い ) いましがた。ただいま。さきほど。
        1. [初出の実例]「新発意(しんぼち)は宵の事をわすれず、『今(イマ)の三色の物をたまはらずは、今夜のありさまつげん』といふ」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)四)
    4. いま(今)の上(うえ)」の略。
      1. [初出の実例]「春宮をば、いまのみこになしてなど、宣はせおきしかば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. ( ごく近い未来に関して ) すぐに。今すぐに。直ちに。
      1. [初出の実例]「島つ鳥 鵜飼(うかひ)が伴 伊麻(イマ)(す)けに来(こ)ね」(出典:古事記(712)中・歌謡)
      2. 「いま、この花のをり過ぐさず、参り来む」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
    2. さらに。その上に。あと。もう。
      1. [初出の実例]「わが宿の萩花咲けり見に来ませ今二日許(だみ)あらば散りなむ」(出典:万葉集(8C後)八・一六二一)
      2. 「貝のいろは蘇芳(すはう)に、五色にいまひといろぞたらぬ」(出典:土左日記(935頃)承平六年二月一日)
  3. [ 3 ] 〘 接頭語 〙 ( 名詞の上につけて用いる )
    1. 「新しい」「こんどの」の意を表わす。「今参り」「今内裏」「今姫君」 〔小右記‐万寿四年(1027)九月六日〕
    2. ( 現代の人を、昔の著名人になぞらえていう ) 「現代の」「今の世の」の意を表わす。「今牛若
      1. [初出の実例]「般若院は事外なる剛の者、〈略〉今弁慶と戯しも宜ならずや」(出典:太閤記(1625)四)

ま【今】

  1. ( 「いま(今)」の変化した語か )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙いま(今)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「まはなき歟、まはさて歟など、いへるま、如何。いまはといふべきいをいひけちて、まとばかりいへる也」(出典:名語記(1275)二)
  3. [ 2 ] 〘 副詞 〙 限定した数量を示す語を直接伴って、ある状況をさらにそれだけ続けよう、または、ある数量に、さらにそれだけ加えようとする気持を表わす語。さらに。いま。もう。まあ。
    1. [初出の実例]「ま四卦をなせにいわぬぞと云に」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)七)

今の補助注記

「ますこし」「まそっと」「まちっと」のように、程度副詞に付いたものは一語の親見出しとした。


いんま【今】

  1. 〘 名詞 〙 「いま(今)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「お袋ぶって鼻高ふお家をありたいままにして、おくさまを踏みつけるは今(いンま)のこと今のこと」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)中)

こん【今】

  1. 〘 名詞 〙 いま。現在。また、今日。
    1. [初出の実例]「今(コン)五日でイタリーの国民が救はれるか審判の日が来るんだ」(出典:ブルジョア(1930)〈芹沢光治良〉三)

こん【今】

  1. 姓氏の一つ。

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普及版 字通 「今」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] コン・キン
[字訓] いま・もし

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 仮借
もと象形の字で、壺などの蓋栓の形。酒壺に蓋栓を施した形を(あん)という。飮(飲)の初形はに従い、に作り、飲酒をいう。今は蓋栓の形であるが、その意に用いることはなく、のちもっぱら時の今昔の意に用いる。すなわち仮借の用法である。昔も肉の象であるが、のち仮借して今昔の意にのみ用い、初義には別にの字を作ってそれにあてた。〔説文〕五下に「是の時なり。(しふ)に從ひ、(きふ)に從ふ。は古なり」と字を会意とするが、字は蓋栓の形にすぎず、によって字の初義を考えることができる。今声の字に、上より蓋(ふた)して閉塞する意をもつものが多い。

[訓義]
1. いま、ただちに、きょう。
2. 近と通じ、この、これ、ここに。
3. もし、かりに問題を設定するときにいう。

[古辞書の訓]
名義抄〕今 イマニ・コレ・ヒトリ・アラタム・マタ・ケフ/方今 イマニ・イママデニ・マサニイマ 〔字鏡集〕今 イマ・ヒトリ・コヨヒ・マタ・コレ・ケフ・コノトキ・アラタム・コノコト

[声系]
〔説文〕に今声として含・吟・念・(いん)・金・禽など二十五字を収め、なお含声・念声・声・金声・禽声などの字がその声系に入る。今声の字はおおむね蓋栓を加え、閉塞する意がある。右のうち金は鋳金の象形で、今とは関係のない字である。

[語系]
今kim、(近)ginは声近く、は場所的に至近の意。今は時間的に至近のときをいう。ともに代名詞「この」という指示の用法がある。

[熟語]
今韻・今雨・今音・今学・今曲・今古・今故・今士・今者・今上・今是・今世・今草・今体・今代・今天・今文・今様・今隷・今夏・今回・今暁・今月・今後・今歳・今時・今・今次・今事・今日・今秋・今春・今宵・今生・今人・今夕・今昔・今早・今旦・今朝・今冬・今年・今晩・今番・今般・今夜・今来
[下接語]
現今・古今・昨今・而今・自今・爾今・如今・即今・通今・当今・方今・目今・来今

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