精選版 日本国語大辞典「更に」の解説
さら‐に【更に】
〘副〙
① 一つの事実が、もう一度繰り返し成り立ち、あるいは他の類似の事実に加わって成り立つことを表わす。重ねて。加えて。もう一度。
② 一つの事実が、時間の経過と共にその程度を増すことを表わす。いっそう。ますます。
③ 一つの事実が決定的となった時点で、その事実への拒否、抵抗、疑惑などの感情が、もはや新鮮な意味を失ったことを表わす。今さらのように。事新しく。ことあらためて。いまさら。
※枕(10C終)一四二「いでさらに、言へば世の常なり」
④ 一つの事実が、もはや決定的に成立しがたい、という強い否定の気持を表わす。二度と(…しない)。絶対に(…でない)。全く(…ない)。さらにさらに。
※古事記(712)下「然らば更(さら)に為むすべ無し。今は吾を殺(し)せよ」
※土左(935頃)承平五年二月一六日「このかは、あすかがはにあらねば、ふちせさらにかはらざりけり」
⑤ あまり好ましくなく名誉でない一つの事実が、決定的に完全に成立することを認める肯定の気持を表わす。いやでも。すっかり(…してしまった)。
※枕(10C終)一四三「御返りごと書きてまゐらせんとするに、この歌の本(もと)さらにわすれたり」
[語誌]→「さらさら(更更)」の語誌
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報